4個目の夢 2
女の子に見つからないように、慎重に細心の注意を払いながら屋敷の中を進んでいく。
時折、メイドらしい人影が通り過ぎるので、彼女たちにも見つからないようにしなければならない。
2人も見つけなければならないので、部屋の中に誰かいないかを確認しながら、多くの扉を開けていかないといけないのがある意味困難だ。
まだ上の階があるのかは分からないが、5階もあるこの屋敷で奥行きが広いので、扉の数も多い。
これは時間がかかりそうだ。
とりあえず、片っ端から扉を開けていく。
幾つか扉を開けていると、不思議な部屋を見つけた。
祭壇と何かを置く台。
そして暗くてよく見えないが、床がなにやら汚れている。
この部屋は、いてはいけない気がする。
俺は後ずさりながら、部屋から出ようとした。
その時、ドンッと足に何かが当たった。
「お人形さん。逃げちゃ駄目じゃない。じゃないと、貴方も本当のお人形さんにしちゃうわよ。」
女の子がいた。
掴まれる前に俺は罪悪感が残ったが、近寄ってきた女の子を足払いで転倒させている間に逃走した。
後ろで女の子の奇声が聞こえるが怖くて振り返れない!!
必死になって遥か遠くへと逃げ、階段を降り、4階へ向うと、適当な部屋へと駆け込んだ。
(はぁ・・・はぁ・・・ヤバイ。早くここから逃げないと。)
廊下をパタパタと駆けていく足音がする。恐らく女の子のものだ。
その足音が通り過ぎるのを待っている間、何かないかと部屋を散策していると、シェリルのロッドとウェルダーの首飾りが落ちているのに気付いた。
(2人のものだ・・・やっぱり2人もこの屋敷の中にいるんだ。でも、これだけここにあるってことは・・・何かあったのか?)
不安を覚えるが、今は2人の安全を信じているしかない。
(とりあえず、このロッドを使えばあの杭を抜くことができるはずだ。一旦あの部屋に戻ろう。)
廊下に誰もいないのを確認して忍び足で上の階へと向う。
途中、何処からか騒がしい声が聞こえてきた。何かあったのだろうか。
(待たせたな。今、助けてやるからな。)
あの人形がいた部屋へ着くと、ロッドを使って杭を引き抜いた。
剣に鎖と一緒に巻きつけられた人形は支えを失い、落ちてきた。
壊れないよう受け止めたが、意外と剣の重量があり、受け止めはしたが、背中から床に倒れてしまった。
(いたたたたっ・・・。)
「・・・・・・信じてた。」
(へ?)
突然聞こえた声。それは明らかに胸の上から。
人形を起してみると、口を開いて、喋っていた。
「貴方・・・助けてくれる・・・信じてた。」
ぶつりぶつりとした喋り方で喋っている彼は、人形ではなかった。
(首から首飾りを提げている・・・。彼も神の化身だ。)
「・・・ノエル。」
ノエル?それが彼の名前なのだろうか。
彼はゆっくりとした動作で落とした剣を拾い上げ、背中へとくっつける。
なんでくっつくんだろう。
バンッ!!
激しい音を立てて扉が開け放たれた。
そこにはもう人の顔を保っていない女の子がいた。
「あら、私のノエルを放したの?いけない子ね。もう怒ったわ。お人形さんにしてあげる!!!」
女の子が指を鳴らすと、人形のメイドが複数やって来て、俺を担ぎ上げて部屋から連れ出した。
(やめろよ!!何すんだ!!)
わけも分からないまま連れて行かれたのはさっき入ってしまった祭壇のある薄気味悪い部屋。
中央にある台の上に投げ捨てられるように乗せられたので、背中を打ちつけ息が詰まる。
その間に手足を拘束されてしまった。
カツ。カツ。と、近づく足音にはっとして視線を足音のするほうへ向けると、女の子がナイフを片手に近づいていた。
「まず足を落とすの。次は手足、同体、最後に顔よ。」
冷たい刃物が俺の頬に触れる。
ペチペチと当てられる刃物の感触に、体の奥底から何かがざわつき始める。
『白い素肌を裂いて、そこから咲き乱れる赤のアラベスクは美しいと君も思わないか?』
無いはずの記憶の中で、古びたフィルムのようにジリジリとした映像の中、誰かがこちらに向ってそう言う。
知らないはずなのに知っている。
なんだよこれ。
「―――――――――――――――――ッ!!!」
叫び声にならない叫び声を上げる俺に女の子がナイフを振り下ろす。
駄目だ!もう終わった!!!!
『目は純粋な赤。これは珍しい。ホルマリン漬けで保管しろ。』
『ところで、こいつは何処から運ばれた研究材料だ。』
『ああ、例の裏社会の暗殺部隊の奴らから・・・――』
目の前で起こる状況と、知らないはずの映像が混ざって頭の中が混乱する。
キンッ
「・・・・・・やらせない。」
金属を弾いた音がした。
でも混乱している俺には状況は理解できなかった。
だが、声はノエルのものだということだけは分かった。
ノエルは剣で女の子のナイフを弾くと、剣の切っ先を喉元に突きつけた。
「彼・・・離れる。君・・・許さない。」
虚ろ気な瞳の奥で、殺意の混じった色が見えていた。
女の子はそんなノエルの瞳を見ても動じず、むしろ笑った。
「あはははは!!!もう遅いわ!そのお人形さんはね、私の呪いでもう声を失ったわ!1つでも人としての機能を失うことで、本当のお人形さんになるの!助けても、どうせお人形さんになって、いずれ動けなくなるわ!」
「それはどうでしょうかね。」
ノエルと女の子の会話の中に2人以外の声。
振り返れば、そこにはウェルダーとシェリルがいた。
シェリルは台に乗せられた俺に近寄り、混乱している状態の俺にそっと触れる。
「どういう意味よ。紫色のお人形さん。」
「世界の1つ1つには、神の化身の私たちと、1人の人間の魂が必ず存在します。2人は対となる魂の存在。1人の人間が死ぬと、1人の神の化身がUGで生き抜くための守護者として就くように最高神から言われています。しかし、私たちは契約をしないと、守護者としての力を出せません。例えば、呪いの進行を止めたり、消したり。とかね。」
拘束具を外し、俺を抱き起こすと、シェリルは顎を掴んで上を向かせる。
「シン、私に力をください。私は貴方の守護者。貴方を守りたい。死なせない。」
言葉の出ない俺はシェリルの手を掴んだ。
「嫌!止めて!!!私のお人形さんが!!!!!」
女の子の悲鳴が聞こえる。
そして、キスされた。
時折、メイドらしい人影が通り過ぎるので、彼女たちにも見つからないようにしなければならない。
2人も見つけなければならないので、部屋の中に誰かいないかを確認しながら、多くの扉を開けていかないといけないのがある意味困難だ。
まだ上の階があるのかは分からないが、5階もあるこの屋敷で奥行きが広いので、扉の数も多い。
これは時間がかかりそうだ。
とりあえず、片っ端から扉を開けていく。
幾つか扉を開けていると、不思議な部屋を見つけた。
祭壇と何かを置く台。
そして暗くてよく見えないが、床がなにやら汚れている。
この部屋は、いてはいけない気がする。
俺は後ずさりながら、部屋から出ようとした。
その時、ドンッと足に何かが当たった。
「お人形さん。逃げちゃ駄目じゃない。じゃないと、貴方も本当のお人形さんにしちゃうわよ。」
女の子がいた。
掴まれる前に俺は罪悪感が残ったが、近寄ってきた女の子を足払いで転倒させている間に逃走した。
後ろで女の子の奇声が聞こえるが怖くて振り返れない!!
必死になって遥か遠くへと逃げ、階段を降り、4階へ向うと、適当な部屋へと駆け込んだ。
(はぁ・・・はぁ・・・ヤバイ。早くここから逃げないと。)
廊下をパタパタと駆けていく足音がする。恐らく女の子のものだ。
その足音が通り過ぎるのを待っている間、何かないかと部屋を散策していると、シェリルのロッドとウェルダーの首飾りが落ちているのに気付いた。
(2人のものだ・・・やっぱり2人もこの屋敷の中にいるんだ。でも、これだけここにあるってことは・・・何かあったのか?)
不安を覚えるが、今は2人の安全を信じているしかない。
(とりあえず、このロッドを使えばあの杭を抜くことができるはずだ。一旦あの部屋に戻ろう。)
廊下に誰もいないのを確認して忍び足で上の階へと向う。
途中、何処からか騒がしい声が聞こえてきた。何かあったのだろうか。
(待たせたな。今、助けてやるからな。)
あの人形がいた部屋へ着くと、ロッドを使って杭を引き抜いた。
剣に鎖と一緒に巻きつけられた人形は支えを失い、落ちてきた。
壊れないよう受け止めたが、意外と剣の重量があり、受け止めはしたが、背中から床に倒れてしまった。
(いたたたたっ・・・。)
「・・・・・・信じてた。」
(へ?)
突然聞こえた声。それは明らかに胸の上から。
人形を起してみると、口を開いて、喋っていた。
「貴方・・・助けてくれる・・・信じてた。」
ぶつりぶつりとした喋り方で喋っている彼は、人形ではなかった。
(首から首飾りを提げている・・・。彼も神の化身だ。)
「・・・ノエル。」
ノエル?それが彼の名前なのだろうか。
彼はゆっくりとした動作で落とした剣を拾い上げ、背中へとくっつける。
なんでくっつくんだろう。
バンッ!!
激しい音を立てて扉が開け放たれた。
そこにはもう人の顔を保っていない女の子がいた。
「あら、私のノエルを放したの?いけない子ね。もう怒ったわ。お人形さんにしてあげる!!!」
女の子が指を鳴らすと、人形のメイドが複数やって来て、俺を担ぎ上げて部屋から連れ出した。
(やめろよ!!何すんだ!!)
わけも分からないまま連れて行かれたのはさっき入ってしまった祭壇のある薄気味悪い部屋。
中央にある台の上に投げ捨てられるように乗せられたので、背中を打ちつけ息が詰まる。
その間に手足を拘束されてしまった。
カツ。カツ。と、近づく足音にはっとして視線を足音のするほうへ向けると、女の子がナイフを片手に近づいていた。
「まず足を落とすの。次は手足、同体、最後に顔よ。」
冷たい刃物が俺の頬に触れる。
ペチペチと当てられる刃物の感触に、体の奥底から何かがざわつき始める。
『白い素肌を裂いて、そこから咲き乱れる赤のアラベスクは美しいと君も思わないか?』
無いはずの記憶の中で、古びたフィルムのようにジリジリとした映像の中、誰かがこちらに向ってそう言う。
知らないはずなのに知っている。
なんだよこれ。
「―――――――――――――――――ッ!!!」
叫び声にならない叫び声を上げる俺に女の子がナイフを振り下ろす。
駄目だ!もう終わった!!!!
『目は純粋な赤。これは珍しい。ホルマリン漬けで保管しろ。』
『ところで、こいつは何処から運ばれた研究材料だ。』
『ああ、例の裏社会の暗殺部隊の奴らから・・・――』
目の前で起こる状況と、知らないはずの映像が混ざって頭の中が混乱する。
キンッ
「・・・・・・やらせない。」
金属を弾いた音がした。
でも混乱している俺には状況は理解できなかった。
だが、声はノエルのものだということだけは分かった。
ノエルは剣で女の子のナイフを弾くと、剣の切っ先を喉元に突きつけた。
「彼・・・離れる。君・・・許さない。」
虚ろ気な瞳の奥で、殺意の混じった色が見えていた。
女の子はそんなノエルの瞳を見ても動じず、むしろ笑った。
「あはははは!!!もう遅いわ!そのお人形さんはね、私の呪いでもう声を失ったわ!1つでも人としての機能を失うことで、本当のお人形さんになるの!助けても、どうせお人形さんになって、いずれ動けなくなるわ!」
「それはどうでしょうかね。」
ノエルと女の子の会話の中に2人以外の声。
振り返れば、そこにはウェルダーとシェリルがいた。
シェリルは台に乗せられた俺に近寄り、混乱している状態の俺にそっと触れる。
「どういう意味よ。紫色のお人形さん。」
「世界の1つ1つには、神の化身の私たちと、1人の人間の魂が必ず存在します。2人は対となる魂の存在。1人の人間が死ぬと、1人の神の化身がUGで生き抜くための守護者として就くように最高神から言われています。しかし、私たちは契約をしないと、守護者としての力を出せません。例えば、呪いの進行を止めたり、消したり。とかね。」
拘束具を外し、俺を抱き起こすと、シェリルは顎を掴んで上を向かせる。
「シン、私に力をください。私は貴方の守護者。貴方を守りたい。死なせない。」
言葉の出ない俺はシェリルの手を掴んだ。
「嫌!止めて!!!私のお人形さんが!!!!!」
女の子の悲鳴が聞こえる。
そして、キスされた。