4個目の夢
気がついたら、全く知らない場所だった。
ぬいぐるみが沢山置かれた子供部屋だろう。
俺はそのぬいぐるみの中に同じ人形として椅子に座らせられていた。
いつの間にか学ランもゴスロリ系の衣装に着せ替えられていた。
膝の上には黒いウサギのぬいぐるみなんか置かれてるし・・・。
「・・・あれ?2人は?」
自分の状況を確認してから、2人がいないことに気がついた。
この部屋には俺とぬいぐるみしか見当たらない。
もしかしたら、いつの間にか空間を越えてしまったのかもしれないな。
1人推測していると、部屋の扉が開いた。
「・・・。」
「あ、だめだよぉ。私のお人形さんなんだから、勝手に逃げちゃ。」
扉を開けて俺に逃げるなと訴えながら抱きついてきたのは、小さな女の子だった。
お人形さんのように可愛らしい女の子。
俺はどうやらこの子のお人形になっているらしい。
女の子は俺の手を引いて、自分のベッドだと思われる小さなベッドに無理矢理座らせる。
そして俺の膝の上に乗ってきて俺の銀色の髪の毛を梳いて右側の横髪で小さな三つ編みを3本ほど作り、後ろへ向って伸ばし、ピンで留めはじめる。
窓ガラスに映る俺の髪型は完全にヴィジュアル系になっている。なんてこったい。
「うふふ。私だけのお人形さん。お名前は何にしようかな?」
「ちょっと待て待て。俺は君の人形じゃないよ。それに俺の名前はシン。勝手に名前をつけるな。」
「何よ。私のお人形さんは随分とお喋りね。その声をまずは失くしてあげるわ。」
そう言って女の子は俺の喉に触れると、不思議な模様を描いた。
(おい!何描いて・・・!!・・・あれ?)
どんなに声を振り絞ろうとしても声が出ない。
その様子を見て女の子はおかしそうに笑っていた。
「その模様がある限り、貴方は喋ることなんて出来ないわ。」
くそっ・・・忌まわしいものつけやがって。
必死に袖で拭ってふき取ろうとするが、全然消えない。
「無駄よ。消えることはないわ。それは私の呪いみたいなものだから。」
くすくす笑いながら女の子は俺の手を掴むと、ぬいぐるみの中にまた戻された。
その時、ふと窓から庭の風景が見えた。
庭にある薔薇園。その中にかかしのようなものが見える。
(なんだ・・・アレは?)
目を凝らしてみてると・・・十字架に貼り付けられた人形。
(ッ・・・!)
思わず息を呑む。
貼り付けられた人形はどれも錆びていたり、バラバラになり、手足がもぎ取れていたりと悲惨な状態だった。
「あら、お庭のお人形さんたちが気になるの?ふふふ。みんな貴方と同じ私のお人形さんだったのよ。みんな可愛いお人形さんだった。このお屋敷に来てからしばらくは混乱していたみたいだったけど、私が体の全部をお人形さんのパーツに替えてあげたの。そしたらね、みんな可愛い可愛いお人形さんになった。でもね、どうしても逃げ出そうとするの。だから、すこしづつ、すこしづつ、魂を削っていったの。使い物にならなくなったお人形さんは可哀想だから、ああやってお庭に飾っているのよ。」
悪気も無く言う女の子。
無邪気な笑顔が恐ろしかった。
(俺も逆らったら、あの姿になってしまうのか・・・?)
そう思うと怖くて動けなくなった。
「あら、怖いの?大丈夫よ。私がいるから何も怖くないでしょ?お化けなんて出やしないし、怖い人なんていないわ。私が守ってあげるからね。」
違う。俺が怖いのはお前だ。
この女の子は何を考えている?
何を考えて俺を人形にする?
「さぁ、お腹が空いたでしょう?お人形遊びにはミルクって決まってるのよ?」
そう言って差し出されたのは哺乳瓶でなかったのが幸いだが、コップの中にあるのは明らかにミルクではない何か。
赤いもの。
「はい、ごっくんしましょうね?」
鋭い目つきで無理矢理流し込まれる。
それを拒もうと女の子を押しのけようとするのだが、どんなに押しても女の子の腕が離れない。
寧ろ、押しのけようとするたびに力強く抑えられる。
首を掴み壁に押さえつけられているため、息が出来ない。
そのため、無理矢理飲まされていたものを吐き出し、女の子の洋服を汚した。
それを見て、女の子の目つきが変わった。
「どうして言うことが聞けないの?悪い子はお仕置きよ。」
ガシャンッ
右手に冷たく重いもの。
ふと、右手を見ると、そこには手錠。壁際にあったピアノの足に繋がれていた。
(嘘!?)
「しばらく反省してね。お人形さん。」
女の子は俺をそのままに、部屋から出ていってしまった。
(・・・ッ!!なんでこんなことに!!)
必死に動かして逃走を図るが、外せそうに無い。
どうやったら・・・。
(そうだ・・・さっきあの女の子が俺の髪の毛をいじった時にヘアピンをつけたよな・・・。)
横髪に手を伸ばして、一本ヘアピンを抜き、それをまっすぐに伸ばすと、手錠の穴に刺しこみ、回してみる。
カシャンッ
外れた。
(・・・何とか外れたけど、シェリルとウェルダーを見つけなきゃな。)
扉のドアノブをまわすが、鍵が開かない。
どうやら外側から施錠されているようだ。
・・・となると。
出口は窓しかない。
窓を開け、窓辺に足をかけて身を乗り出す。
(・・・うっ・・・高ッ!!)
5階くらいはあるだろうか・・・。むっちゃ高い。
がくがくしつつも、意を決して俺は外に出て、落ちないように隣の部屋の窓へと近づく。
中を確認し、誰もいないことを確認すると、首に巻かれていたリボンを手に巻きつけて、窓ガラスを叩き割って侵入した。
(なんだここは・・・?倉庫?)
薄暗く、誇りっぽい。
足元に気をつけながら、出口の扉を探していると、薄暗い室内できらりと光る2つの何か。
(・・・?)
ゆっくり近寄ると、それは、全体的に黄緑色をした人形だった。
瞳を閉ざして、鎖で壁に飾られた美しい装飾の施された剣に撒きつけられながら、ぶら下がっている。
何処か表情が悲しそうだ。
この人形も庭にいた彼らと・・・俺と同じ生きてた人なのかな。
(この人形可哀想・・・。あの女の子にされたんだな。)
鎖は壁に杭で打ちつけられている。これを抜けば、きっと降ろせるに違いない。
何か・・・杭を引き抜ける道具はないだろうか・・・。
辺りを見渡すが、杭を抜けそうなものは何も無い。
(ごめん、今は助けられない。何か、杭を抜けるようなものを見つけてまた戻ってくるから、それまで待っていてくれ。)
言葉が出ない口でそう声をかけて、俺は部屋から出て行った。
その時俺は気がつかなかった。
その人形がこちらを見ていたことに。
ぬいぐるみが沢山置かれた子供部屋だろう。
俺はそのぬいぐるみの中に同じ人形として椅子に座らせられていた。
いつの間にか学ランもゴスロリ系の衣装に着せ替えられていた。
膝の上には黒いウサギのぬいぐるみなんか置かれてるし・・・。
「・・・あれ?2人は?」
自分の状況を確認してから、2人がいないことに気がついた。
この部屋には俺とぬいぐるみしか見当たらない。
もしかしたら、いつの間にか空間を越えてしまったのかもしれないな。
1人推測していると、部屋の扉が開いた。
「・・・。」
「あ、だめだよぉ。私のお人形さんなんだから、勝手に逃げちゃ。」
扉を開けて俺に逃げるなと訴えながら抱きついてきたのは、小さな女の子だった。
お人形さんのように可愛らしい女の子。
俺はどうやらこの子のお人形になっているらしい。
女の子は俺の手を引いて、自分のベッドだと思われる小さなベッドに無理矢理座らせる。
そして俺の膝の上に乗ってきて俺の銀色の髪の毛を梳いて右側の横髪で小さな三つ編みを3本ほど作り、後ろへ向って伸ばし、ピンで留めはじめる。
窓ガラスに映る俺の髪型は完全にヴィジュアル系になっている。なんてこったい。
「うふふ。私だけのお人形さん。お名前は何にしようかな?」
「ちょっと待て待て。俺は君の人形じゃないよ。それに俺の名前はシン。勝手に名前をつけるな。」
「何よ。私のお人形さんは随分とお喋りね。その声をまずは失くしてあげるわ。」
そう言って女の子は俺の喉に触れると、不思議な模様を描いた。
(おい!何描いて・・・!!・・・あれ?)
どんなに声を振り絞ろうとしても声が出ない。
その様子を見て女の子はおかしそうに笑っていた。
「その模様がある限り、貴方は喋ることなんて出来ないわ。」
くそっ・・・忌まわしいものつけやがって。
必死に袖で拭ってふき取ろうとするが、全然消えない。
「無駄よ。消えることはないわ。それは私の呪いみたいなものだから。」
くすくす笑いながら女の子は俺の手を掴むと、ぬいぐるみの中にまた戻された。
その時、ふと窓から庭の風景が見えた。
庭にある薔薇園。その中にかかしのようなものが見える。
(なんだ・・・アレは?)
目を凝らしてみてると・・・十字架に貼り付けられた人形。
(ッ・・・!)
思わず息を呑む。
貼り付けられた人形はどれも錆びていたり、バラバラになり、手足がもぎ取れていたりと悲惨な状態だった。
「あら、お庭のお人形さんたちが気になるの?ふふふ。みんな貴方と同じ私のお人形さんだったのよ。みんな可愛いお人形さんだった。このお屋敷に来てからしばらくは混乱していたみたいだったけど、私が体の全部をお人形さんのパーツに替えてあげたの。そしたらね、みんな可愛い可愛いお人形さんになった。でもね、どうしても逃げ出そうとするの。だから、すこしづつ、すこしづつ、魂を削っていったの。使い物にならなくなったお人形さんは可哀想だから、ああやってお庭に飾っているのよ。」
悪気も無く言う女の子。
無邪気な笑顔が恐ろしかった。
(俺も逆らったら、あの姿になってしまうのか・・・?)
そう思うと怖くて動けなくなった。
「あら、怖いの?大丈夫よ。私がいるから何も怖くないでしょ?お化けなんて出やしないし、怖い人なんていないわ。私が守ってあげるからね。」
違う。俺が怖いのはお前だ。
この女の子は何を考えている?
何を考えて俺を人形にする?
「さぁ、お腹が空いたでしょう?お人形遊びにはミルクって決まってるのよ?」
そう言って差し出されたのは哺乳瓶でなかったのが幸いだが、コップの中にあるのは明らかにミルクではない何か。
赤いもの。
「はい、ごっくんしましょうね?」
鋭い目つきで無理矢理流し込まれる。
それを拒もうと女の子を押しのけようとするのだが、どんなに押しても女の子の腕が離れない。
寧ろ、押しのけようとするたびに力強く抑えられる。
首を掴み壁に押さえつけられているため、息が出来ない。
そのため、無理矢理飲まされていたものを吐き出し、女の子の洋服を汚した。
それを見て、女の子の目つきが変わった。
「どうして言うことが聞けないの?悪い子はお仕置きよ。」
ガシャンッ
右手に冷たく重いもの。
ふと、右手を見ると、そこには手錠。壁際にあったピアノの足に繋がれていた。
(嘘!?)
「しばらく反省してね。お人形さん。」
女の子は俺をそのままに、部屋から出ていってしまった。
(・・・ッ!!なんでこんなことに!!)
必死に動かして逃走を図るが、外せそうに無い。
どうやったら・・・。
(そうだ・・・さっきあの女の子が俺の髪の毛をいじった時にヘアピンをつけたよな・・・。)
横髪に手を伸ばして、一本ヘアピンを抜き、それをまっすぐに伸ばすと、手錠の穴に刺しこみ、回してみる。
カシャンッ
外れた。
(・・・何とか外れたけど、シェリルとウェルダーを見つけなきゃな。)
扉のドアノブをまわすが、鍵が開かない。
どうやら外側から施錠されているようだ。
・・・となると。
出口は窓しかない。
窓を開け、窓辺に足をかけて身を乗り出す。
(・・・うっ・・・高ッ!!)
5階くらいはあるだろうか・・・。むっちゃ高い。
がくがくしつつも、意を決して俺は外に出て、落ちないように隣の部屋の窓へと近づく。
中を確認し、誰もいないことを確認すると、首に巻かれていたリボンを手に巻きつけて、窓ガラスを叩き割って侵入した。
(なんだここは・・・?倉庫?)
薄暗く、誇りっぽい。
足元に気をつけながら、出口の扉を探していると、薄暗い室内できらりと光る2つの何か。
(・・・?)
ゆっくり近寄ると、それは、全体的に黄緑色をした人形だった。
瞳を閉ざして、鎖で壁に飾られた美しい装飾の施された剣に撒きつけられながら、ぶら下がっている。
何処か表情が悲しそうだ。
この人形も庭にいた彼らと・・・俺と同じ生きてた人なのかな。
(この人形可哀想・・・。あの女の子にされたんだな。)
鎖は壁に杭で打ちつけられている。これを抜けば、きっと降ろせるに違いない。
何か・・・杭を引き抜ける道具はないだろうか・・・。
辺りを見渡すが、杭を抜けそうなものは何も無い。
(ごめん、今は助けられない。何か、杭を抜けるようなものを見つけてまた戻ってくるから、それまで待っていてくれ。)
言葉が出ない口でそう声をかけて、俺は部屋から出て行った。
その時俺は気がつかなかった。
その人形がこちらを見ていたことに。