3個目の夢
何処かの草原にたどり着いた。
しかし、未だシェリルは錯乱というか、混乱している。
「駄目!駄目だ!!ああぁぁぁっ!!!」
「シェリル!落ち着け!」
どんなに揺さぶっても、声をかけても聞いてくれない。
仕方ない・・・。
「ごめんっ!」
俺は思いっきりシェリルの頬を殴った。
「・・・っ・・・え?あ・・・あれ?ここは?」
「シェリル、何も覚えていないのか?」
「・・・すみません。何も・・・。」
「・・・仕方ない・・・。いいよ。気にしないで。それと、殴っちゃってごめんな。シェリルに落ち着いて欲しかったから。」
「いえ、構いません。ありがとうございました、マスター。」
何処かでシェリルを休ませよう。まだ息が上がっているようだし。
しかし、ここは草原。何も見当たらない。
休むとしたら、近くに見えるあの木の下がいいだろう。
「シェリル、あの木の下まで我慢な。そしたらちょっと休もう。」
頷いたシェリルの手を引いて俺は木の下まで向った。
離れて見ると小さかった木は、近くまで行くと案外大きかった。
シェリルを木を背にして座らせると、俺も一息をついた。
そういえば、記憶の破片がどうこう言われてたけれど、結局俺には何も戻ってこなかったな・・・。
ふぅ・・・。と一息ついていると、少し眠気に襲われた。
・・・結構動いてるもんな。俺も少し・・・休もう。
甘い香り。何か甘い香りがした。
それと、何か優しい手つきで誰かが俺の髪を撫でている。
「・・・?」
目を覚ますと、知らない天井。知らない部屋。
ふかふかのベッドで俺は寝ていた。
「起きましたか?」
ふいに横から聞こえてきた声。
そちらに振り向けば、ダークブルーの短髪が印象的な優しい顔をした青年がいた。
彼の腕はこちらに伸びて、俺の髪を撫でていた。
ああ、優しい手つきは彼だったのか・・・。
「貴方は?」
「俺はウェルダー。2人ともあんな所で寝てるから心配で俺の家に連れてきたんだ。友人ならお隣のベッドだよ。まだ起きないみたいです。」
指を刺された隣のベッドでは、シェリルがまだ眠っていた。
ずいぶんと眠りが深いようだ。
「ちなみに、俺たちどれくらい寝て・・・ました?」
「うん?そうですね・・・8時間?」
そう言いながらウェルダーさんはキッチンの方へと消えていった。
しかし8時間も眠っていたとは・・・。
それだけ俺たちは疲れていたっていうことだな。
シェリルは俺よりも疲れているの・・・か?何か能力的なもの使っていたみたいだし、それを使うことで体力削っているのかも・・・。
この様子だと、しばらく起きそうにはないな。
「さて、お腹すいてませんか?よかったら、俺の料理でよろしければ食べませんか?」
テーブルに並べられたお袋料理。すごいおいしそう。
もちろん断ることなく、おいしくいただきました。
「そういえば、お名前は?」
「あ、俺シン!本名じゃないんだけど・・・。あっちで眠ってるのはシェリルっていうんだ。」
「シンさんとシェリルさんですね。お2人だどうしてこの空間に?」
俺、何も言っていないのに・・・。
「俺たちが別の空間から来たって、どうして分かったんですか?」
俺がそう言うと、ウェルダーさんはくすりと笑って、シェリルを指差した。
シェリルが一体どうしたというんだろう。
「俺も彼と同じ神の化身。このUGでは1つの空間に神の化身が一体以上存在することは極めて少ない。存在するとすれば、以前の空間でなんらかの以上があり飛び越えてきたということ。また、もうひとつ。今回はこちらの手法で探らせてもらいました。」
そう言い、ウェルダーさんは眠っているシェリルに近づき、胸元に手を突っ込み何か円盤のようなものがついた首飾りを引き出した。
そして、自分の首にも下げていた首飾りを掴み、こちらに見せた。
「俺たち神の化身は、一体に一つ、『シネマティック・メモリー』という、この円盤状のものがあります。俺たちは互いにこの円盤をどんなに遠くに離れていてもリンクしている状態なので、何処にいようが他の仲間たちの現状が分かります。」
「・・・ん?ってことは、神の化身って、まだまだたくさんいるの?」
「はい。空間の数だけ存在します。流石に俺も一体何人いるのかはよくわかりませんが。」
そういい、シェリルに首飾りを戻すと、俺の向かい側の椅子に座り、俺に青色の小さなビー玉のようなものを渡してきた。
「これは?」
「シェリルが休止状態にあるので、私がその間シェリルの代わりをさせていただきますね。指に当ててください。指輪になりますので。仮契約になりますので。」
「・・・仮契約・・・。シェリルは契約とかしてなかったよ?」
「・・・おかしいですね。シネマティック・メモリーには契約した状態になっているのですが・・・契約の口付けは?」
・・・・・・ん?今ウェルダーはなんて言ったのかな・・・?
契約の・・・なんだって?
いやいやいや・・・そんなはずはない。
「してないのですか?口付け。」
「うぉぉぉぉおおおおおぉぉぉい!!してねぇよ!そんなんしてねぇぇぇええ!!俺ホモじゃないからぁぁぁぁああああ!!!!」
全力で否定させていただきます!!!
俺ホモなんかじゃないからね!
「おや?安心なさってください。シェリルは両性具の神の化身です。お望みならば、女性の体にも。」
「そういう問題でもねぇよ。」
ウェルダーさん。貴方の今の発言は素なんですか?
だとしたら貴方は空気を読まないタイプの人間ですね。
「・・・異常なまでの消耗状態。契約の状態が不完全。これは・・・彼に報告したほうがいいですね。」
ウェルダーは目を瞑ると、何かと交信しているかのように、小さく呟いている。
俺がそれをしばらく眺めていると、終わったのか、目を開けた。
それと同時に、玄関の扉が物凄い音を立てて吹き飛ばされた。
そこに立っていたのは、スーツを着た黒い人影と、ゾンビみたいな人たち。
なんだアレ・・・!!!気色悪ッ!!
「おやおや。お早い到着ですね。これは厄介だ。」
ウェルダーは彼らに背を向けてベッドにいるシェリルを抱えると、片手で俺の手を掴み、窓ガラスを突き破り外へ出た。
「あれは?!」
「スーツの方はシェリルを狙っているエネミー。醜い彼らはUGに長く居座り、回収されなかった魂・・・貴方の魂を狙っている。」
「俺とシェリルを?!」
「詳しい話は後です。俺の手を決して離さないで。そして、恐れないで。さぁ、走って!」
背後から俺たちを追いかけてくる奴らから視線を前方へ向け、走り出すと、なにやら違和感。
地面が、ないような。
ゆっくりと視線を足元へと向けると、そこには広がる森。
「うっそぉぉおお!!俺空歩いてるし!!!なんで?!」
「俺が飛んでいるからです。さ、森の中に穴が開いているところがあるでしょう?あそこまで走って!そこから撒きますからね!」
「お、おう!」
確かにウェルダーを見ればいつの間にか背中に黒い6翼を生やして飛んでいた。
俺は、ウェルダーの手を決して離さず、穴目掛けて走っていった。
穴の中に入れば、ウェルダーは一気に加速して森の奥深くに入っていく。
そして、指を鳴らすと、目の前に広がる木々たちが小さな入口を作る。
その中に飛び込み数メートル進むと、広々とした空間にでた。
そこは、白い石で作られた、大きな神殿のようだった。
足音もなく降りるウェルダーに続き、俺も静かに着地する。
上から入ってきたみたいだが、入口は何処にも見当たらなかった。
「入口は封じています。奴らはしばらく俺たちを見つけることはできないでしょう。」
「そうか・・・。」
ウェルダーはシェリルを近くに降ろすと、俺にさっきの話しの続きをはじめた。
「貴方はこの世界・・・UGに来てからまだ何も詳しい説明は聞いていないのですね。本来なら、死に神の助手が受付で説明をしてくれているはずなのですが・・・貴方には記憶が一切ないようですね。もしかしたら、死亡直後に何者かに襲われて、記憶の鎖がバラバラになり飛び散ってしまったのかもしれません。」
「襲われた・・・のかな・・・。」
「ええ。恐らく。本来人の魂とは死亡すると、UGの世界にやってきます。しかしUGの世界に来てすぐ受付に向うわけではなく、49日間生前の世界とUGの間を彷徨います。そして、49日が過ぎた頃に、助手のもとへ向う電車が来て、助手のもとで受付をし、死に神から死亡証明書を受け取り旅立つとされているのですが・・・。」
「そうなんですよ。実は俺も彼の魂を無害で回収できずに・・・本当に申し訳ございません。」
「いえいえ・・・って、え?」
突然2人の会話にシェリル以外の声が入ってきた。
驚いて振り返ると、俺たちの背後に、バーテンダーのような格好をした金髪の男性が立っていた。
片手に分厚い本。胸ポケットに異様な数の万年筆。頬に薔薇のフェイスペイント。
果たしてこの人は・・・?
「えっと・・・どちら様ですか?」
「ああ、申し訳ございません。俺は死に神の助手で、カイトと申します。死に神の助手ですが、俺は天使なので、勘違いをなさらないように。」
そう言って彼、カイトは頭を深々と下げた。
しかし、未だシェリルは錯乱というか、混乱している。
「駄目!駄目だ!!ああぁぁぁっ!!!」
「シェリル!落ち着け!」
どんなに揺さぶっても、声をかけても聞いてくれない。
仕方ない・・・。
「ごめんっ!」
俺は思いっきりシェリルの頬を殴った。
「・・・っ・・・え?あ・・・あれ?ここは?」
「シェリル、何も覚えていないのか?」
「・・・すみません。何も・・・。」
「・・・仕方ない・・・。いいよ。気にしないで。それと、殴っちゃってごめんな。シェリルに落ち着いて欲しかったから。」
「いえ、構いません。ありがとうございました、マスター。」
何処かでシェリルを休ませよう。まだ息が上がっているようだし。
しかし、ここは草原。何も見当たらない。
休むとしたら、近くに見えるあの木の下がいいだろう。
「シェリル、あの木の下まで我慢な。そしたらちょっと休もう。」
頷いたシェリルの手を引いて俺は木の下まで向った。
離れて見ると小さかった木は、近くまで行くと案外大きかった。
シェリルを木を背にして座らせると、俺も一息をついた。
そういえば、記憶の破片がどうこう言われてたけれど、結局俺には何も戻ってこなかったな・・・。
ふぅ・・・。と一息ついていると、少し眠気に襲われた。
・・・結構動いてるもんな。俺も少し・・・休もう。
甘い香り。何か甘い香りがした。
それと、何か優しい手つきで誰かが俺の髪を撫でている。
「・・・?」
目を覚ますと、知らない天井。知らない部屋。
ふかふかのベッドで俺は寝ていた。
「起きましたか?」
ふいに横から聞こえてきた声。
そちらに振り向けば、ダークブルーの短髪が印象的な優しい顔をした青年がいた。
彼の腕はこちらに伸びて、俺の髪を撫でていた。
ああ、優しい手つきは彼だったのか・・・。
「貴方は?」
「俺はウェルダー。2人ともあんな所で寝てるから心配で俺の家に連れてきたんだ。友人ならお隣のベッドだよ。まだ起きないみたいです。」
指を刺された隣のベッドでは、シェリルがまだ眠っていた。
ずいぶんと眠りが深いようだ。
「ちなみに、俺たちどれくらい寝て・・・ました?」
「うん?そうですね・・・8時間?」
そう言いながらウェルダーさんはキッチンの方へと消えていった。
しかし8時間も眠っていたとは・・・。
それだけ俺たちは疲れていたっていうことだな。
シェリルは俺よりも疲れているの・・・か?何か能力的なもの使っていたみたいだし、それを使うことで体力削っているのかも・・・。
この様子だと、しばらく起きそうにはないな。
「さて、お腹すいてませんか?よかったら、俺の料理でよろしければ食べませんか?」
テーブルに並べられたお袋料理。すごいおいしそう。
もちろん断ることなく、おいしくいただきました。
「そういえば、お名前は?」
「あ、俺シン!本名じゃないんだけど・・・。あっちで眠ってるのはシェリルっていうんだ。」
「シンさんとシェリルさんですね。お2人だどうしてこの空間に?」
俺、何も言っていないのに・・・。
「俺たちが別の空間から来たって、どうして分かったんですか?」
俺がそう言うと、ウェルダーさんはくすりと笑って、シェリルを指差した。
シェリルが一体どうしたというんだろう。
「俺も彼と同じ神の化身。このUGでは1つの空間に神の化身が一体以上存在することは極めて少ない。存在するとすれば、以前の空間でなんらかの以上があり飛び越えてきたということ。また、もうひとつ。今回はこちらの手法で探らせてもらいました。」
そう言い、ウェルダーさんは眠っているシェリルに近づき、胸元に手を突っ込み何か円盤のようなものがついた首飾りを引き出した。
そして、自分の首にも下げていた首飾りを掴み、こちらに見せた。
「俺たち神の化身は、一体に一つ、『シネマティック・メモリー』という、この円盤状のものがあります。俺たちは互いにこの円盤をどんなに遠くに離れていてもリンクしている状態なので、何処にいようが他の仲間たちの現状が分かります。」
「・・・ん?ってことは、神の化身って、まだまだたくさんいるの?」
「はい。空間の数だけ存在します。流石に俺も一体何人いるのかはよくわかりませんが。」
そういい、シェリルに首飾りを戻すと、俺の向かい側の椅子に座り、俺に青色の小さなビー玉のようなものを渡してきた。
「これは?」
「シェリルが休止状態にあるので、私がその間シェリルの代わりをさせていただきますね。指に当ててください。指輪になりますので。仮契約になりますので。」
「・・・仮契約・・・。シェリルは契約とかしてなかったよ?」
「・・・おかしいですね。シネマティック・メモリーには契約した状態になっているのですが・・・契約の口付けは?」
・・・・・・ん?今ウェルダーはなんて言ったのかな・・・?
契約の・・・なんだって?
いやいやいや・・・そんなはずはない。
「してないのですか?口付け。」
「うぉぉぉぉおおおおおぉぉぉい!!してねぇよ!そんなんしてねぇぇぇええ!!俺ホモじゃないからぁぁぁぁああああ!!!!」
全力で否定させていただきます!!!
俺ホモなんかじゃないからね!
「おや?安心なさってください。シェリルは両性具の神の化身です。お望みならば、女性の体にも。」
「そういう問題でもねぇよ。」
ウェルダーさん。貴方の今の発言は素なんですか?
だとしたら貴方は空気を読まないタイプの人間ですね。
「・・・異常なまでの消耗状態。契約の状態が不完全。これは・・・彼に報告したほうがいいですね。」
ウェルダーは目を瞑ると、何かと交信しているかのように、小さく呟いている。
俺がそれをしばらく眺めていると、終わったのか、目を開けた。
それと同時に、玄関の扉が物凄い音を立てて吹き飛ばされた。
そこに立っていたのは、スーツを着た黒い人影と、ゾンビみたいな人たち。
なんだアレ・・・!!!気色悪ッ!!
「おやおや。お早い到着ですね。これは厄介だ。」
ウェルダーは彼らに背を向けてベッドにいるシェリルを抱えると、片手で俺の手を掴み、窓ガラスを突き破り外へ出た。
「あれは?!」
「スーツの方はシェリルを狙っているエネミー。醜い彼らはUGに長く居座り、回収されなかった魂・・・貴方の魂を狙っている。」
「俺とシェリルを?!」
「詳しい話は後です。俺の手を決して離さないで。そして、恐れないで。さぁ、走って!」
背後から俺たちを追いかけてくる奴らから視線を前方へ向け、走り出すと、なにやら違和感。
地面が、ないような。
ゆっくりと視線を足元へと向けると、そこには広がる森。
「うっそぉぉおお!!俺空歩いてるし!!!なんで?!」
「俺が飛んでいるからです。さ、森の中に穴が開いているところがあるでしょう?あそこまで走って!そこから撒きますからね!」
「お、おう!」
確かにウェルダーを見ればいつの間にか背中に黒い6翼を生やして飛んでいた。
俺は、ウェルダーの手を決して離さず、穴目掛けて走っていった。
穴の中に入れば、ウェルダーは一気に加速して森の奥深くに入っていく。
そして、指を鳴らすと、目の前に広がる木々たちが小さな入口を作る。
その中に飛び込み数メートル進むと、広々とした空間にでた。
そこは、白い石で作られた、大きな神殿のようだった。
足音もなく降りるウェルダーに続き、俺も静かに着地する。
上から入ってきたみたいだが、入口は何処にも見当たらなかった。
「入口は封じています。奴らはしばらく俺たちを見つけることはできないでしょう。」
「そうか・・・。」
ウェルダーはシェリルを近くに降ろすと、俺にさっきの話しの続きをはじめた。
「貴方はこの世界・・・UGに来てからまだ何も詳しい説明は聞いていないのですね。本来なら、死に神の助手が受付で説明をしてくれているはずなのですが・・・貴方には記憶が一切ないようですね。もしかしたら、死亡直後に何者かに襲われて、記憶の鎖がバラバラになり飛び散ってしまったのかもしれません。」
「襲われた・・・のかな・・・。」
「ええ。恐らく。本来人の魂とは死亡すると、UGの世界にやってきます。しかしUGの世界に来てすぐ受付に向うわけではなく、49日間生前の世界とUGの間を彷徨います。そして、49日が過ぎた頃に、助手のもとへ向う電車が来て、助手のもとで受付をし、死に神から死亡証明書を受け取り旅立つとされているのですが・・・。」
「そうなんですよ。実は俺も彼の魂を無害で回収できずに・・・本当に申し訳ございません。」
「いえいえ・・・って、え?」
突然2人の会話にシェリル以外の声が入ってきた。
驚いて振り返ると、俺たちの背後に、バーテンダーのような格好をした金髪の男性が立っていた。
片手に分厚い本。胸ポケットに異様な数の万年筆。頬に薔薇のフェイスペイント。
果たしてこの人は・・・?
「えっと・・・どちら様ですか?」
「ああ、申し訳ございません。俺は死に神の助手で、カイトと申します。死に神の助手ですが、俺は天使なので、勘違いをなさらないように。」
そう言って彼、カイトは頭を深々と下げた。