0個目の夢
2010/08/26 完結済みの作品。
正直gdgd。
深い闇。何処までも続く闇。
ああ、とても暗い。暗い。暗い。
暗いのは嫌だ。何故か、自分まで飲み込まれてしまいそうで。
ただの闇なのに。
どうしてか、闇は好きにはなれないんだ。
闇は悪くないのに。
「人はいつだって闇を嫌う。彼だってそう。」
モノクロームの室内で、水面に向って喋りかける黒いローブを着た死に神はそう言った。
黒い爪が映える指で、チェスのナイトを掴み、投げ捨てる。
何故か捨てられたナイトは4つ。
「4人のナイト。しかし彼らはもう存在しない。もう、私の死亡者リストにも載っていない。」
そして捨てられたナイトの上へポトリと落とされたキング。
「その4人のナイトと共に過ごした名も無きキング。彼ももうこのリストに載っていない。」
死に神は死亡者リストを開きながら、載らない5人のことを考えた。
「果たして彼らはこれでよかったのか・・・。私としては、死亡証明書を受け取っていただきたかったのですけれどね・・・。」
死に神が彼らに渡すはずだった死亡証明書。
それは、とても重要な意味を成している。
しかし彼らをそれを受け取らなかった。
だから彼らの死亡証明書は死に神の手元に残ったまま。
「・・・そうだ。貴方の魂が旅立つ前に、彼らについてお話を致しましょう。私も長いこと生きていますと、時に世間話とか色々したくなるのですよ。どうぞ、私のお相手をしてください。」
そう言って死に神は薄く微笑みながら貴方が座るテーブルの向かい側に腰かけた。
魔法でも使ったのか、何処からかお菓子と紅茶が飛んできて、貴方と死に神の前に舞い降りる。
「貴方には死亡証明書を受け取る意味を知っていただきたい。彼らの話しが参考になるといいのですが。」
死に神は頬杖をつくと、人型クッキーをつまみあげ、語りだす。
「物語の主人公は、何処にでもいるような普通の高校生男子。でも彼にはひとつだけ欠点があった。彼の欠点とはなんだと思いますか?」
くるくると回る人型クッキーを死に神はひょいっと、口の中へ放る。
バキッ という音と共に口から出てきた人型クッキーは頭と同体が切り離されていた。
「彼はね、記憶がないのです。何も覚えていない。まるで白紙のような存在。」
そして、4つの人型クッキーを「彼」の周りに囲むように並べる。
「そこに現れた4人のナイト。彼らも大切なことを忘れている。けれど、それを繋ぎとめたのは、「彼」。」
クスクスと笑う死に神は、そっと貴方に視線を向ける。
「魂は1人1個限り。その魂をどうするかは貴方次第。さぁ、それでは物語をお話しましょう。」
彼は言いました。
超えられない壁なんてない。
開けられない扉なんてない。
じゃあ境界線なんてない。
信じられないならとことん付き合う。
闇は確かに怖いよ。
けれどそれは、闇が悪いわけじゃない。
闇を怖がる俺たちが悪いんだ。
闇は・・・――。