10月の中旬から感染症の勉強が始まりました。

資料も100ページを超え、かなりの感染症を学ばなければならず大変ですが、新型インフルエンザが流行しているこのジャストなタイミングでかなり興味深いです。
しかも、感染症はとても身近なため、授業中の発言やディスカッションも白熱しています。

特に予防接種については肯定派と否定派の様々な意見が交わされています。

自然療法士は人知学的な考えを持つ人が多いため、予防接種はかなり否定的に捉えているようです。
「人知学的」とは、例えばシュタイナー教育に見られる自然に根付いた教育といいましょうか、オーガニックにこだわり、科学技術による発展・成果主義の社会を否定する人達です。こう書いてしまうととってもネガティブなイメージなんだけど、マクロビオティックの考えにかなり近く、少数ではありますが世界中にこのシュタイナー教育は普及しています。日本からもシュタイナー教育に魅せられた教育者がドイツに訪れています。

シュタイナーな人達は薬に頼らずホメオパシーを使用する人も多く、予防接種なんて言語道断!という感じかしら。

しかし、ジフテリアや肝炎などの感染症を詳しく学んでいく過程で、彼女たちの予防接種に対する考えも少しずつ変化しているのではないかなと感じます。

なぜなら、どんな病気に対して予防接種が推奨されているかということがはっきりと学べるからです。
ただ単に副作用が怖いから、罹っても自然治癒力で治せるから、といった理由はもっともに聞こえますが、予防接種が必要と認定されている病気は命に関わる疾患が多いのです。
たとえばジフテリアは喉頭から気道にかけてジフテリア菌が増殖するため、息ができずに窒息してしまう危険性があります。
百日咳も乳児が罹った場合、咳をすることができずに呼吸困難になってしまうこともあります。
小児麻痺に罹った場合、子供は一生運動麻痺をかかえながら生きていかなければなりません。

予防接種を頭から否定するのではなく、どんな病気なのか、危険性はどれくらいあるのか、またその予防接種は副作用がどれくらいあるのか、としっかり調べてから判断する事が必要だと思います。

私自身は予防接種に対してかなり肯定的です。特に子供の予防接種に関してですが。
予防接種のおかげで乳児幼児の死亡率が低下し、親にとっても子供にとっても肉体的/精神的負担が少なくなるという恩恵を受けているからです。
そしてその病気にかかる人も少なくなって、「予防接種をさせない!」と選択することが可能になったのではないかなと思います。
副作用が出るかもしれないという危険性がありながらも予防接種を受けた子供たちが、予防接種を受けない子供たちの、病気から守ってあげる壁となってあげている事は事実だと思います。

息子の予防接種を受けさせた当時、私もとっても無知でした。
お医者さんが勧めているのだし、タダで受けれるし、何かあってからでは困るから、といった単純な理由で接種をさせました。大抵の親がこういった判断なのではないでしょうか。もちろんお医者さんは副作用の危険性も説明してくれました。そしてそのときの判断を私は間違っていたとは思いません。なぜなら、様々な感染症を詳しく学べば学ぶほど、自然治癒力で治せるとはどうも信じられないからです。

しかし今はやりの新型インフルエンザやその他のインフルエンザに対する予防接種については受ける必要がないと判断しています。なぜなら、やはり臨床試験が十分になされていないという事、インフルエンザこそ、自然治癒力で治せるもののひとつなのではないかと考えているからです。そして副作用の危険性と合併症の危険性を比べてみると、やはり副作用の危険性が高いからです。

話変わって:
つい最近、左手薬指が炎症を起こしました。
薬指の第1関節までがどんどん腫れていき、脈とともに痛みがずきずきしていきました。膿がたまっているのも見えます。しかし体全体は元気で発熱もなく、指の先のみがパンパンに腫れて熱を持っていました。
夫は「自然治癒力にまかせたら?そんな炎症程度でインフルエンザの蔓延する病院で長く待つ意味があるかな?」と初めは楽観していましたが、夜眠れぬほどの痛みを訴えると、日曜日に病院へ連れて行ってくれました。
外科医は私の指を見るとすぐに「細菌による感染」と診断したので、興味本位に「なんのバクテリアでしょう?」と聞いたところ、つい最近習ったばかりの「ブドウ球菌の可能性が高い」とのこと。
「では抗生物質は?」と質問すると「このブドウ球菌は患部のみの炎症でそれ以上は増殖しないので必要なし、メスで切ってその膿を出せば治ります」と。あら、そうなの?あとで復習しなきゃと。
薬指の付け根に麻酔をしてしばらく待っていたのですが、緊急病院だったのにも関わらず、そしてインフルエンザが蔓延しているのにも関わらず、日曜の夜は患者がほとんどいなかったため手持ち無沙汰なその老女外科医は、指先まで麻酔がかかっているのを確認せずに、メスで5ミリほど爪の横を切りました。
痛みはかなりありましたが、我慢できないほどではなかったのが幸いでした。
そして外科医の反対を押し切って、患部が切られて膿が出るのをつぶさに観察する事ができました。
最後に破傷風の予防接種です。
いつ破傷風の予防接種を受けたかすっかり忘れていたので、抗原と抗体の2本の予防接種をちょうだいしました。
とてもいい勉強になりました。
これをクラスメートに話すと「あなたは実践で学んでるのね!素晴らしい」と大笑いされてしまいました。
病院へ行くのがこれから楽しみになりそうです。


学んだ事の記録:

1. 衛生学:Sanitation、消毒/殺菌、滅菌/殺菌 の定義、危険物廃棄の方法。

2. 感染症法:自然療法士が治療を許されない感染症、衛生官庁に患者の名前を届け出なければならない感染症、検査機関から名前を届けられる感染症

3. 感染症の様々な定義:感染とは、感染症の蔓延、疫学、病理論、細菌性の毒素、炎症とは、治癒過程、発熱とは、発熱の種類、

4. 微生物:真菌類・細菌・ウイルスの違い、またそれらの特徴と病原としての特徴、 パラサイト(寄生虫)について、プリオン(クロイツフェルトヤコブ病の原因)について、

5. 感染症の診断法

6. 感染症の予防法: 計画的予防(検疫、隔離、消毒滅菌の徹底、殺虫剤の使用、予防接種)、計画的予防方法(予防接種、抗生物質)、予防接種の種類、

7.抗生物質の効果と副作用、微生物の抗生物質に対する抵抗力