[HRPニュー スファイル1295]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2065/
文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太
◆シーア派・イランの伸長、アメリカ・イスラエ ルの隙間風
世界める中、イ ランを巡る動きが慌ただしくなっています。
まず、イエメンで事実上のクーデターを起こし、 政権を転覆させた同じシーア派系勢力であるフー シ部族に対して、イランは衣料品や食糧、民間定 期便の就航に合意するなど、本格的な支援を開始 しました。
また、フーシ部族を主体としたイエメン政府の使 節団をテヘランに受け入れ、更に踏み込んだ関係 強化の協議も始まっており、イエメンにおける シーア派の影響力強化を着々と進めています。( 読売3/3)
一方、イランが進める核開発に対して、オバマ政 権は3月末下旬までに外交的解決を目指していま すが、その融和路線を危険視するイスラエルのネ タニヤフ首相がオバマ大統領との調整なしに訪米 するという異例の事態が起こっています。
ネタニヤフ首相は3日の議会演説に先立って「米 国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」の年次 総会で演説を行い、「イランと結ばれようとして いる合意はイスラエルの存続を脅かしかねない」 と訴えました。
それに対し、オバマ大統領は同日、「10年以上は イランの核開発を制限する必要がある」との認識 を示し、イスラエルの理解を得るスタンスを取り つつも、核問題解決に向けての手法は「イスラエ ルとは異なる」という姿勢は崩しておりません。
任期がわずかとなった米大統領は、得てして議会 の抵抗の少ない外交分野でレガシー(政治的業 績)を残そうとしますが、ノーベル平和賞を受賞 し、アメリカに「世界の警察官」をやめさせたオ バマ大統領としては、話し合いと協調をベースに した不介入路線をより強めていくことが予想され ます。
◆「イスラム国」の台頭に繋がったオバマの消極 主義
しかしながら、そうしたオバマ大統領の不介入路 線が、各地で混沌の種を撒きつづけてきたことも 現実です。
「イスラム国」の台頭に関しても、オバマ大統領 のイラク、シリアにおける2つの消極主義が主な 原因になったと言えるでしょう。
一つは、2011年にイラクから完全撤兵したことで す。
ペトレイアス将軍の元、2008年のサージ(大規模 派兵)以降、地元のスンニ派を上手く取り込みつ つ、宗派間のバランスを上手く保っていました が、米軍が撤退したことでスンニ派は後ろ盾を失 い、シーア派政権に虐げられていたため、新たな 後ろ盾として登場した「イラク・イスラム国」が 急拡大したと言えます。
二つ目には、シリア内戦にアメリカが不介入主義 を採ったことです。
シリア・アサド政権の早期打倒を行わず、内戦を 長期化させたことで、「イラク・イスラム国」が シリアに勢力を拡大するチャンスを与え、結果と して「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が 出来上がったのです。
◆イスラム国の台頭で「漁夫の利」を手にしたの はどの国か?
一方、「イスラム国」の台頭で漁夫の利を得てい たのはシーア派・イランであったという見方も出 来ます。
というのも、イランは「イスラム国」掃討の大義 名分を掲げ、同じシーア派が政権側のイラク、シ リアに対する後方支援を行いながら、欧米側とも 共闘姿勢を見せ、核開発交渉で見返りを求めつ つ、時間稼ぎを行ってきました。
今後、「イスラム国」の弱体化が予想されます が、イラク・シリアに生ずる力の空白に対し、 シーア派が今まで以上に伸長し、イランからレバ ノン、そしてイエメンにより強い影響力を持つ可 能性が強いと言えましょう。
その結果、サウジアラビア等、スンニ派国家を包 囲しながら、イスラエルの喉元に刃を突き付ける 格好となるのです。
◆予想されるイラン・イスラエル有事は日本に大 打撃を与える
このような展開が現実化することで、オバマ大統 領のイランに対する融和路線は結局、平和と安定 はおろか、大規模な戦争を招きかねません。
なぜなら、時間の限られたイスラエルにとって、 頼りにならないオバマ政権を見限り、最も警戒し ているイランを始めとするシーア派勢力の伸長に 対し、核攻撃を含めた実力行使は厭わないからで す。
そしてイラン・イスラエル間で有事が発生した場 合、中東へのエネルギー資源依存度が90%近い日 本にとって、国家存亡の根底を揺さぶるようなエ ネルギーショックの到来も、近い将来の現実かも しれないのです。
だから、中東で起こっている一連の有事に対して も、日本は関与すべきでないと考えるのは無責任 なのです。
◆アメリカに代わる「調停者」は日本しかいない
元々は、第一次世界大戦後にヨーロッパとイスラ ム世界の「調停者」として期待されてきたアメリ カでしたが、約1世紀経った今、イスラム圏から の信を失い、もはや「調停者」としての耐用年数 は過ぎたと言えるでしょう。
しかし、スンニ派とシーア派の宗派対立、イスラ ム圏と欧米圏の歴史的遺恨、イスラム教とユダ ヤ・キリスト教の一神教対立など、多層的な対立 構造の中で、いまそこにある深刻な危機を抱える 中東地域には、新たな「調停者」が必要なので す。
その非常に難しい役割を担えるのは世界中を見渡 しても、日本しかないでしょう。
そのためにも、経済・文化的のみならず、日本は 安全保障面においても、しっかりと貢献できる体 制を整えるべきです。
自国の国益をしっかり守るためにも、中東の平和 と安定を保つためにも、新たな「調停者」として 両者を納得させるような「自立国家」となる必要 があるのです。
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