塩見陽山 | 赫いわななき〜地獄編〜

赫いわななき〜地獄編〜

80年代歌謡曲をご紹介しているHP『赫いわななき』、こちらでは比較的最近リリースされた演歌・歌謡曲から強力チューンをご紹介していこうと思います。
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『B級歌謡猟色図鑑 赫いわななき』
http://park17.wakwak.com/~nephila-cravata/

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「京の雨」塩見陽山
作詩/下地亜記子 作曲/徳久広司 編曲/南郷達也
C/W 「古都泣きぬれて」
作詩/志紋孟 補作詩/藤原良 作曲/伊戸のりお 編曲/南郷達也
ビクター VICL-36527 2009.09.23.

今回はちょっとユルめにご紹介しましょう、取り上げるのは塩見陽山さんです。

陽山、て珍しい名前ですよね。ご本名かどうかは確認できなかったんですが名家のご一家の生まれとかそういうのかしらん、お顔立ちもどことなくミヤビな感じですし。ちなみに京都・福知山のお生まれだそうです。で、関西を拠点に活動されてるみたいですね。

その塩見さんは現在新曲「涙の波止場」がリリースされたばかり(2017.05.31. コロムビア COCA-17304)なんですが、こちらは未入手。コロムビアからはもう一枚「わたしの子守唄」という曲も出ておりコロムビアの公式サイトで両曲ともちょっとだけ試聴できますので是非お聴き下さいませ。で、今回はそれ以前にビクターよりリリースされた公式デビュー曲「京の雨」をご紹介します。

タイトルからピンとくる方もいらっしゃるでしょうが、ほぼ三善英史「雨」の世界ですね。はんなりと、シトシトと、しっとり濡れた叙情歌謡といった雰囲気でこういうのは好きです。
男性演歌ってここでは結構採り上げてるんですが、安定期の方々の歌ってなかなか触手が伸びないんですよね。若い方は手を変え品を変え色々チャレンジしてくれるんですが、そこを過ぎるとループに潜り込んでしまうのがね…。いやデジャヴ曲でもいいんですけど、焼き直すだけではなくそこに新しいイノチを吹き込んで欲しいのよ。それが有るか無いかで曲の評価はかなり変わってきちゃいます。

…と前置きしたところで塩見さんの歌唱は確かに優しげなんですが、三善さん程のヨロメキ具合・ホグサレ具合は少なめで割とあっさり聴ける感じ。やれば出来るハズですがここは敢えて大人の濡れ感を演出されたのでしょうか。三善さんのねっとりにゅっちりしたのも好きですが、こういう歌い方もあるんだなーとちょっと新たな発見がありました。

曲のキモはやはりサビ部分。
♫待っていましょか(いいえ)
♫忘れましょうか(そうね)
と、カッコ部分に女声コーラスが入ってるのが珍しくもあり懐かしくもあり。やたら耳に残るフレーズなんですが、何をイメージしてのコーラスなんだろう、三善さんのその手の曲だと「細雪」とかかしら。

三善英史さんについてはそんなに深く追ってる訳ではないのでアレですが、このままビクターからリリースを続けてたら「センチメンタルママ」とか「あの人の匂い」とかの路線を踏襲した曲もリリースしてくれたのかなぁ、残念。
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「雨」は未入手なんですよ、スミマセン。下のCM画像は拝借しました。あなた…オンナ?ww


カップリングの「古都泣きぬれて」はまぁ普通にムード歌謡の路線。なんですが、多分どこかがほんの少しだけ狂ってるような些細な違和感が印象に残る作品。実は未だにどこがオカシイのか分かってないんです(和テイストな歌詩とメロディラインの視点のズレかなぁ)。更に聴き込んでいくと深淵な世界に足を踏み入れる事になるんでしょうか。


さてこっからは別の意味で深淵な方向へ(笑)。
上の方で“公式デビュー”という表現をしましたが、実は塩見さん80年代にシングルをリリースされてましたのよ。
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「京都でお酒を」
作詩/西田陽一 作曲/萩原渚 編曲/鞍富誠三
C/W 「強がり女」
作詩/橘たけお 作曲/松原信一 編曲/鞍富誠三
SMS TS00-14

何年リリースかは不明、何しろSMSの中の委託?レーベル・ニューユースレコードのさらにカスタムレーベル(品番はSMSの自主盤枠、ニューユースからのリリースならNY07-XXXですね。盤にはCUSTOMの記載あり)ですから。ニューユースは清水舞子ちゃんのために出来たレーベルと記憶してるんで多分83〜4年のリリースかな。

ジャケットは何だかえなりかずき君みたいな写りなんですが(笑)それを払拭する為のタバコの演出でしょうか。なかなかキマっておりますね。
いやちょっと待ってこの頃で20歳超えって…今の塩見さん、お若い!いや別に吸ってるワケじゃないから20歳以上とは限らんしシガレットチョコかもしんねーし(苦笑

曲についてはいつかHPで書くとして、特筆しておきたいのは作家陣。この方も西田陽一(現・牧奈一慶)先生一派だったのね…。だからニューユースからのリリースなのか、納得。

俺の永遠のアイドルである高原みるき→西陽子→松原あかね→飛鳥あおいちゃんを産んでしまった西田先生、
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そしてその西田先生とのタッグで数々の多幸感溢れる作品を作られている萩原渚先生のお二人については自分にとっての最重要研究課題として作品を追い続けているのですが、何しろドコでどんだけ作品リリースされてるかホント分かんない方々なので。

牧奈氏は90年代に入って三島敏夫さんの歌唱で京都モノのアルバムリリースしてたり、ご自身の書かれた『翔ちゃん空を飛ぶ』を多角映像化されたり(アニメ作品の声優されてた方もアルバム出してたみたいですが未入手)。萩原氏の方もアニメ「企業戦士YAMAZAKI」の音楽監督とかされたりしてたんですが、最近はお名前を見かけませんね。またお二人のタッグで絶滅種の『純粋な少女』路線の楽曲をお聴きしたいところです。あ、歌えるだけのピュアさを持ち合わせた歌手がいないのか…
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これは1993年リリース、飛鳥あおいちゃんの2枚組アルバム。西田陽一作品集という感じで清水舞子ちゃんの「蒼い日記」もカバーしてます。
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こちらは俺の知る萩原渚先生最後のシングル提供曲、水野あおいちゃんの「Ring a Ding〜倫子のテーマ〜」。“あおい”繋がりのお二人、この辺が純粋少女の限界ですかねぇ。

せめて塩見さんにはこのお二人の意志を受け継いで、ピュア感溢れる京都の曲を歌い続けて欲しいものです。頑張って下さい!

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裏ジャケ。いかにも美青年という出で立ちはやはり三善英史ぽいかも。