また 風が吹き始めた

川の流れは早くなり

海は波が高くなる

 

 

風の流れを読みながら

さて どうするか 

 

 

川にいたら海まで流される

海にいたら戻れなくなる

陸にいても風は止みそうにない

 

 

それとも台風の目の中にいるのか

 

 

行き着く先はどこも変わりはないだろう

けれど

一人で行くのではないから

誰かの手をとれば渦に飲み込まれる

 

 

思案する時間があるのなら

一日中風が吹いているわけではない

 

 

感覚とさまざまな道具を用いて

流れを読んでみる

 

 

風はどこへ私を連れて行くのだろう

もう一度逆らってみる という手もある

 

 

今日も空を見て 雲の様子を観察する

 

 

 

大伯母から届いたはがきを読んだときから

鬼になった と思っていた

 

 

なった、のではなく 鬼に戻ったのだ

 

 

一度日本語を忘れて

また一から日本語を覚えなおす

年齢、性別、環境に合わせて擬態を始める

 

 

人としての記憶はある時点で止まり

擬態している時は流れない

 

 

鬼に戻り楽になった

 

 

悩むことも迷うことも人である証

悲しみも苦しみも人である証

 

 

喜怒哀楽も鬼の私は擬態する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸苦しい

 

静かに溜まっていくもの

 

 

レントゲンには写らない

 

心という臓器