あの頃は考えられなかった、高校生になった。
一生ありえないと思っていた、桜並木の坂道を今、私は上っている。
「どけええええぇぇぇぇぇぇ!」
「はい?」
と、後ろを振り替えると。
坂を高速で駆け上がっていく少年が。
自転車で、私の横を通りすぎ────。
「─────ッ!」
その勢いで発生した風でスカート捲れた。
そして、少年は勢いよく転んだ。
登校していたまわりの生徒は、私たちに注目している。
いたたまれなくなった私は、無言で彼を
「このっ!大馬鹿!なにしてるのよ!もうっ!」
このように罵倒しながら、蹴り飛ばして坂の下まで転がしてやった。
この恥辱(恨み)、はらさでおくべきか。
「ごめん。なんかいろいろ」
「いや、俺も自重しないで走りまくってたからさ。謝らなくていいよ?」
「ううん、ごめんなさい」
「…………あ、そうだ!俺、巡間 凪(はざま-なぎ)って言うんだ。よかったら今後ともよろしく」
あれから、二人で坂を再び上っている。
さすがに罪悪感が凄かったので、肩を貸してあげている。
「よかったら、君の名前を教えてくれない?」
「私?私は並河 渚(なみかわ-なぎさ)。一応、新入生」
「渚ちゃん、ね。よろしく」
このときは凪と、友達になったのだけれども、まさか学生生活までもが凪によって慌ただしくなるとは微塵にも思わなかったりする。