いつも 強いドイツのイメージですが、ドイツは第一次世界大戦も 負け、 第二次世界大戦も負け、

そのたびにたくさんの犠牲と負債をしょっています。

ナチズムで非道なことをした負い目から ドイツは経済大国になっても そして ヨーロッパ中央銀行の

資金を60%近く、出していながらも ヨーロッパの会議であまり、意見を言えない立場が 永く続きました。

1989年、東西ドイツが統一し、20年が過ぎ、ようやく 意見を言える立場になったときいたことが

あります。


そして ドイツの長年の古傷といえば、「ネオナチ」

英語ではNeo-Nazism。

ネオナチのイメージは スキンヘッドに ナチスの紋章のいれ墨、そして ドイツの国歌の一番を

大声で歌っている姿です。
  
さて そのドイツ国歌の
一番は 歌われることが法律で規制されています。


グリュース ゴットのブログ  グリュース ゴットのブログ  グリュース ゴットのブログ                       


ドイツの国歌はハイドンの曲の 弦楽四重奏曲「皇帝」に歌詞をつけたものです。

その1番の歌詞は 「ゲルマン民族が集まり、統一の国家を作ろう」という内容ですが、それを

ドイツのナチス時代は ドイツが他民族を支配する優秀な特別な存在であると意味を解し、

ナチズムを正当化する象徴として 国歌の一番だけ歌いました。


その意味合いから 戦後、国歌の一番は 歌うことが禁止され、公の場で 流したら、ネオナチとみなされ、

警察から それなりの扱いを受けるそうです。(法的に処罰)


2番の歌詞はドイツの歴史などを歌っていますが、女性蔑視の意味合いもあり、現在は 歌われません。


ちなみに 4番もあるそうですが、歌詞は「苦難のときもドイツは正義である」と歌っていて ナチス時代に

この4番もときに 歌われていたそうです。

でも 戦後、歌われなくなりました。(法的には規制されていない。)


さて 残った、3番の歌詞は ドイツ民族の統一が歌われ 歌詞中にあるフレーズ「 統一(団結)と

正義(権利、法)と自由」は、ドイツ連邦共和国(西ドイツおよび統一ドイツ)の標語となっているので 

なんとか 歌える。。。。という感じです。

新しく国歌を作ろうかという話もあったそうですが、いいのがなくって その話は 流れたそうです。

なんとも歯切れが 悪い話ですが。。


ちなみに 学校とかでは 国歌を歌うことはありません。(いろんな国の人がいるので)


現在、オリンピックや ワールドカップでは ドイツの国歌は3番の歌詞だけ、歌われます。



さて そのネオナチですが。。



グリュース ゴットのブログ  グリュース ゴットのブログ  グリュース ゴットのブログ


ネオナチズムとは 第2次世界大戦のあのヒットラー率いる、ナチスのイデオロギーのナチズムを

復活しようとする運動のことを言います。 


そして ネオナチとはその運動をする集団を指します。

世の中に不満を抱く若者たちがネオナチの名のもとにスキンヘッドでピアスや入れ墨をし、過激で

破壊的な反社会的行動で 外国人や同性愛者を狙います。

そのネオナチのイデオロギーというのは 外国人排斥、同性愛嫌悪、人種差別(白人至上主義)、

反ユダヤ主義です。

ドイツではもちろんのこと、フランスやイタリアなどヨーロッパの国々では ナチスを擁護する発言や 

人種差別の発言は 法律で禁止されています。

ナチスが第2次世界大戦後、ニュルンベルグ裁判で裁かれ、崩壊したのも関わらず、いまだに

存在し、ドイツだけでなく、フランスやイタリアにも ネオナチ組織は存在するのです。


1989年、東西ドイツが統一された後、東西経済の落差から 不満を抱えた、元東ドイツの若者たちが

一時期、ネオナチに走り、ドレスデンやベルリンの たくさんの外国人が襲われたり、脅されたりして 

かなり、不安な状況となりました。

ベトナム人のレストランが襲撃にあったり、トルコ人の家が放火されてトルコ人の家族が亡くなりました。

当時は他人ごとではなく、日本人も外国人ですから 私も ネオナチにつけられて 部屋のドアに

「でていけ」という、紙を張られたり、友達は 道でどこまでも追いかけられて 外に出れなくなりました。

そして 保身のために催涙ガスを買う友達もいました。


1992年、ミュンヘンの一般の市民たちが 「外国人を排斥する運動(ネオナチの行為)に反対し、

外国人を歓迎する運動」の輪が広がり、数万の人が キャンドルを手に行列を作り、ミュンヘン市内を

練り歩きました。

ミュンヘンを発端にその行列は広がり、いろんな都市で行われ、それまで見てみぬふりをしていた

一般の人たちも ネオナチに対し、厳しい目を向けはじめました。


        グリュース ゴットのブログ    グリュース ゴットのブログ  


ネオナチの行動は抑えられましたが、ネオナチの集団は、警察の厳しい追求の手を逃れて その後も

暗闇で潜伏し続けました。ナチズムの本拠地だったミュンヘンでは時々、ネオナチの集会があり、

日本領事館からもおふれがでて、あまり 近寄らないように 通知されます。


ドイツでここ10年の間に トルコ人やギリシャ人など外国人10人の連続殺人事件があり、ネオナチの

犯行とわかりながらも特定できませんでしたが、ようやく 昨年11月にネオナチの集団が確定され、

逮捕されました。


それを機会にネオナチへの取り組みが強化され ドイツ中で大々的にネオナチのあじとに捜査の手が入り、

たくさんのネオナチが検挙されました。


そして 先月、2月23日 ネオナチによる連続殺人事件の犠牲者を追悼する式典が ベルリンをはじめ、

各地で開かれ、正午には 全国で一斉に黙祷が呼びかけられました。

各省庁では 喪を表す、半旗がかけられ、公共機関は一時運行を停止、いくつかの放送局は

一時番組を中止し、警察官、消防署員も公僕の人たちはすべて 黙祷をささげました。

ここまで大規模な国を挙げての式典は初めてのように思います。


グリュース ゴットのブログ  グリュース ゴットのブログ  グリュース ゴットのブログ

そしてこの式典でメルケルさんは この長年の古傷、ドイツの恥であるネオナチの破壊的な行動を

二度と起こさせないと誓いました。メルケルさんは東ドイツの出ですから 権力の押さえつけられた

共産主義を経験しているので 力がこもります。


ドイツを旅する方たちに お願いがあります。

特にミュンヘンはヒットラーの本拠地でしたが、ビアホールでどんなに酔っても あのナチス独特の片手を

挙げて 「ハイル ヒットラー!」というしぐさは 辞めてください。

それは 法的に禁止されているという意味だけでなく、 傷つく、お年寄りがたくさんいるのです。


あのナチス時代、たくさんの普通の人たちが ナチスに洗脳されて 間違いを起こし、魔女狩りと

称して リンチをした、おぞましい時代があります。

それは 都会より 田舎町のほうが陰湿だったと聞きます。

いまだにバイエルン地方の田舎では その時代のことはタブーになっているところがあります。

ナチスの時代に青い目、金髪の子供を作為的に生産しましたが、その子供を母に持つ友達がいます。


理屈っぽく、自分が正しいと言い張る、謝らない、ドイツ人ですが、ナチス時代の過ちは

ドイツ人には 弁慶の泣き所なのです。

国歌は3番だけしか、 歌わないのは ドイツ人の頑固さであり、もう二度と繰り返さないと

いう戒めでもあります。


                      グリュース ゴットのブログ