1.基本的人権の本質
【第97条】
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の
努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の
国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
憲法第11条の「基本的人権の永久不可侵性」を再確認しているもの。
2.最高法規性、条約・国際法規の遵守
【第98条】
①この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び
国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
②日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守すること
を必要とする。
(1)憲法が国の最高法規
憲法が最高法規であり、これに反する法令、規則等はすべて効力を有しない。
(2)条約の遵守
国家間においてなされた合意は、自国にとって不利であっても、これを遵守することは
国際社会において「名誉ある地位」を占めたいという、われわれにとって当然のこと。
3.憲法尊重擁護の義務
【第99条】
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を
尊重し擁護する義務を負ふ。
国民が制定した国家の根本規範である憲法を擁護する義務を、国民から国家機関の
構成員に対して要求したもの。

【第97条】
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、
努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、
国民に対し、
憲法第11条の「基本的人権の永久不可侵性」
2.最高法規性、条約・国際法規の遵守
【第98条】
①この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、
国務に関するその他の行為の全部又は一部は、
②日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、
を必要とする。
(1)憲法が国の最高法規
憲法が最高法規であり、これに反する法令、
(2)条約の遵守
国家間においてなされた合意は、自国にとって不利であっても、
国際社会において「名誉ある地位」を占めたいという、
3.憲法尊重擁護の義務
【第99条】
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
尊重し擁護する義務を負ふ。
国民が制定した国家の根本規範である憲法を擁護する義務を、国民
構成員に対して要求したもの。
1.改正
【第96条】
①この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、
これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認
には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、
その過半数の賛成を必要とする。
②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この
憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
憲法改正は、衆議院・参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成 で、国会が
発議し、国民投票における過半数の賛成という厳しい手続きを経なければ成立
しない。
このように、改正に一般の法律制定よりも厳しい条件をつけている憲法を
「硬性憲法」という。
なお、憲法改正の発議については、衆議院の優越は認められていない 。

【第96条】
①この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、
これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。
には、
その過半数の賛成を必要とする。
②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、
憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
憲法改正は、衆議院・
発議し、国民投票における過半数の賛成という厳しい手続きを経な
しない。
このように、
「硬性憲法」という。
なお、憲法改正の発議については、
1.地方自治の原則
【第92条】
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律で
これを定める。
(1)住民自治
その地方の住民が、自らの意思と責任において、その地方の行政を行なうことをいう。
(民主主義的要素)
(2)団体自治
その地方の住民から構成された、法律上国家から独立した団体自身によって、その地方の
行政を行なうことをいう。(自由主義的・地方分権的要素)
2.地方公共団体の機関の直接選挙
【第93条】
①地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
②地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の官吏はその地方
公共団体の住民が直接これを選挙する。
地方公共団体には、議事機関として議会を、執行機関として地方公共団体の長をおく。
どちらも、住民の直接選挙によって選出され、対等関係にある。
3.自治権の保障
【第94条】
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、
法律の範囲内で条例を制定することができる。
(1)地方公共団体の権能
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、行政を執行する権能(自治行政権)と、
法律の範囲内で条例を制定する権能(自治立法権)が認められている。
(2)条例制定権の限界
地方自治法では、「法令に違反しない限りにおいて」(第14条1項)と規定をおいているので、
条例の制定は、法律はもちろん命令にも違反しない範囲内で行使されることが必要。
4.特別法の住民投票
【第95条】
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、 その地方
公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得られなければ、 国会は、これを
制定することができない。
地方自治特別法は、国会の議決だけでなく、その住民の住民投票で過半数の同意が
なければ国会はこれを制定できない。

【第92条】
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律で
これを定める。
(1)住民自治
その地方の住民が、自らの意思と責任において、その地方の行政を行なうことをいう。
(民主主義的要素)
(2)団体自治
その地方の住民から構成された、法律上国家から独立した団体自身によって、その地方の
行政を行なうことをいう。(自由主義的・地方分権的要素)
2.地方公共団体の機関の直接選挙
【第93条】
①地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
②地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の官吏はその地方
公共団体の住民が直接これを選挙する。
地方公共団体には、議事機関として議会を、執行機関として地方公共団体の長をおく。
どちらも、住民の直接選挙によって選出され、対等関係にある。
3.自治権の保障
【第94条】
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、
法律の範囲内で条例を制定することができる。
(1)地方公共団体の権能
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、行政を執行する権能(自治行政権)と、
法律の範囲内で条例を制定する権能(自治立法権)が認められている。
(2)条例制定権の限界
地方自治法では、「法令に違反しない限りにおいて」(第14条1項)と規定をおいているので、
条例の制定は、法律はもちろん命令にも違反しない範囲内で行使されることが必要。
4.特別法の住民投票
【第95条】
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、 その地方
公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得られなければ、 国会は、これを
制定することができない。
地方自治特別法は、国会の議決だけでなく、その住民の住民投票で過半数の同意が
なければ国会はこれを制定できない。
1.財政とは
国の財政は、国民の負担によるものなので、その運営が適切に行なわれるように、国民は
大きな関心を持たざるをえない。また、予算とは、一会計年度における財政行為の予定を
いい、国の活動の経済的基礎をなすもの。
2.財政の処理
【第83条】
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
財政は、国家がその任務を果たすために資金を調達・管理・使用する作用をいう。
国家活動のあり方にかかわるだけでなく、国民の経済生活に大きな影響を及ぼす重要な
作用。したがって、その処理には、国民の代表機関である国会のコントロールが及ぶ。
第83条は、このような財政国会中心主義(財政立憲主義)の原則を宣言したもので、
この原則は、第84条以下で詳しく規定されている。
3.租税法律主義
【第84条】
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件に
よることを必要とする。
租税の種類・根拠・納税義務者・課税物件・課税標準・税率・税収手続き等、租税に関する
事項は、すべて法律で定めなければならない。これを租税法律主義という。
租税法律主義には、以下のような例外がある
①地方税
地方税については、地方公共団体が条例によって定めることとされている。
②関税
関税は、条約によって協定税率を定めめることができ、また、一定の物品の関税率に
ついては、政府が政令できめることができる。
4.国費の支出および国の債務負担
【第85条】
国費を支出し、又は国が債務を負担することは、国会の議決に基くことを必要とする。
国費の支出、国の債務負担には国会の議決が必要(財政立憲主義)。
5.予算
【第86条】
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければ
ならない。
内閣は、毎年、一会計年度に入る前にその年度の収入と支出の予測表を作成して、国会の
議決を経なければならない。
内閣総理大臣は、内閣を代表して予算案を国会に提出する。
予算の発案件は内閣のみにあり、国会議員にはない。
予算は、先に衆議院に提出し(第73条、第60条1項)、議決については、衆議院の優越が
認められている(第60条2項)。
6.予備費
【第87条】
①予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の
責任でこれを支出することができる。
②すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
予備費は、予算の中にその金額が計上されるが(第85条、財政法第24条)、使途内容は
確定していない。。内閣は、内閣の責任でこれを支出することができるが、事後に国会の
承諾を得なければならない。
国会の承諾が得られなかった場合、内閣に政治上の責任問題が発生するが、すでに
なされた支出の法的効果には影響がない。
7.皇室財産・皇室の費用
【第88条】
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を
経なければならない。
皇室の有する財産(生活必需品、日用品などの私費は除く)は国有化されている。
皇室の費用とは、天皇および皇族の公的/私的活動を支えるための費用をいい、予算に
計上して国会の議決を経た後に国庫より支出される。
皇室の費用
①宮廷費-皇室の公的活動費および施設維持費
②内廷費-天皇および皇太子家の日常費
③皇族費-宮家・皇族の日常費
8.公の財産の支出・利用制限
【第89条】
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、
又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその
利用に供してはならない。
国家と宗教との分離を厳密にさせるため、公の財産を教団、教会、修道会、寺院、神社
などの使用、便宜、維持のために支出し、利用することは禁じられている。
私的な事業団体の国家からの自主独立を確保し、あるいは、公財産の濫費を防止する
目的から、国家が公金または公の財産を使って援助し、または利用に供させることは禁じ
られている。
なお、支出制限に反しない場合は以下の通り。
①公益法人の収益事業以外からの収入に法人税を課さない処置
②歴史的・美術的価値のある宗教団体所有建築物に対して保存費を支出すること
9.決算、会計監査院
【第90条】
①国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、
その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
②会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
決算は、予算執行の責任者である内閣の責任を明らかにし、将来の予算編成のための
手がかりを与えるために行なわれる。
会計検査院は、国の収入・支出すべてについて決算検査を行なう。
内閣は次の年度に、検査報告とともにこれを国会に提出しなければならない。
10.財政状況の報告
【第91条】
内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について
報告しなければならない。
財政は、民主主義の立場から、国民とその代表者である国会の前に公開され、批判を受け
得る状態にしておく必要があるため、内閣に対して少なくとも毎年1回の報告義務を課して
いる。

国の財政は、国民の負担によるものなので、その運営が適切に行なわれるように、国民は
大きな関心を持たざるをえない。また、予算とは、一会計年度における財政行為の予定を
いい、国の活動の経済的基礎をなすもの。
2.財政の処理
【第83条】
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
財政は、国家がその任務を果たすために資金を調達・管理・使用する作用をいう。
国家活動のあり方にかかわるだけでなく、国民の経済生活に大きな影響を及ぼす重要な
作用。したがって、その処理には、国民の代表機関である国会のコントロールが及ぶ。
第83条は、このような財政国会中心主義(財政立憲主義)の原則を宣言したもので、
この原則は、第84条以下で詳しく規定されている。
3.租税法律主義
【第84条】
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件に
よることを必要とする。
租税の種類・根拠・納税義務者・課税物件・課税標準・税率・税収手続き等、租税に関する
事項は、すべて法律で定めなければならない。これを租税法律主義という。
租税法律主義には、以下のような例外がある
①地方税
地方税については、地方公共団体が条例によって定めることとされている。
②関税
関税は、条約によって協定税率を定めめることができ、また、一定の物品の関税率に
ついては、政府が政令できめることができる。
4.国費の支出および国の債務負担
【第85条】
国費を支出し、又は国が債務を負担することは、国会の議決に基くことを必要とする。
国費の支出、国の債務負担には国会の議決が必要(財政立憲主義)。
5.予算
【第86条】
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければ
ならない。
内閣は、毎年、一会計年度に入る前にその年度の収入と支出の予測表を作成して、国会の
議決を経なければならない。
内閣総理大臣は、内閣を代表して予算案を国会に提出する。
予算の発案件は内閣のみにあり、国会議員にはない。
予算は、先に衆議院に提出し(第73条、第60条1項)、議決については、衆議院の優越が
認められている(第60条2項)。
6.予備費
【第87条】
①予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の
責任でこれを支出することができる。
②すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
予備費は、予算の中にその金額が計上されるが(第85条、財政法第24条)、使途内容は
確定していない。。内閣は、内閣の責任でこれを支出することができるが、事後に国会の
承諾を得なければならない。
国会の承諾が得られなかった場合、内閣に政治上の責任問題が発生するが、すでに
なされた支出の法的効果には影響がない。
7.皇室財産・皇室の費用
【第88条】
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を
経なければならない。
皇室の有する財産(生活必需品、日用品などの私費は除く)は国有化されている。
皇室の費用とは、天皇および皇族の公的/私的活動を支えるための費用をいい、予算に
計上して国会の議決を経た後に国庫より支出される。
皇室の費用
①宮廷費-皇室の公的活動費および施設維持費
②内廷費-天皇および皇太子家の日常費
③皇族費-宮家・皇族の日常費
8.公の財産の支出・利用制限
【第89条】
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、
又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその
利用に供してはならない。
国家と宗教との分離を厳密にさせるため、公の財産を教団、教会、修道会、寺院、神社
などの使用、便宜、維持のために支出し、利用することは禁じられている。
私的な事業団体の国家からの自主独立を確保し、あるいは、公財産の濫費を防止する
目的から、国家が公金または公の財産を使って援助し、または利用に供させることは禁じ
られている。
なお、支出制限に反しない場合は以下の通り。
①公益法人の収益事業以外からの収入に法人税を課さない処置
②歴史的・美術的価値のある宗教団体所有建築物に対して保存費を支出すること
9.決算、会計監査院
【第90条】
①国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、
その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
②会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
決算は、予算執行の責任者である内閣の責任を明らかにし、将来の予算編成のための
手がかりを与えるために行なわれる。
会計検査院は、国の収入・支出すべてについて決算検査を行なう。
内閣は次の年度に、検査報告とともにこれを国会に提出しなければならない。
10.財政状況の報告
【第91条】
内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について
報告しなければならない。
財政は、民主主義の立場から、国民とその代表者である国会の前に公開され、批判を受け
得る状態にしておく必要があるため、内閣に対して少なくとも毎年1回の報告義務を課して
いる。
基礎法学