2025年12月8日(月)23時15分、青森県東方沖を震源とするマグニチュード7.5の地震があった。
青森県八戸市では震度6強を観測した。
その日私は銀座一丁目界隈で飲んで帰宅し、おこたつでウトウトしていると、横揺れとともにつきっぱなしのTVが騒がしくなった。
「津波危険」
「津波にげて!」
「EVACUATE! TSUNAMI」
横揺れは1〜2分続いた。
とうとう大地震がきたかと心拍数が上がるのを感じる。
TVカメラは八戸漁港を映し、アナウンサーは声を張り急いで高台へ逃げるよう呼びかける。
「今すぐ海岸から離れて安全な高台に避難して下さい!」
TVに映し出されている八戸漁港を見ると、海岸から離れるどころか、海岸に向かう車が見えた。
船に煌々とライトが付き白煙を上げ、全速力で沖に出る。
一隻、又一隻と次々と船が港を出航する。
「沖出し」だ。
「沖出し」とは、港への津波到達前に船を素早く水深が深く海面上昇の影響が小さい沖合に逃し、津波をかわす手法だ。
しかし「沖出し」は津波にのまれ犠牲になった事例もある命がけの危険な方法で、船頭の勘や経験、そして判断力で明暗が別れる死と隣り合わせの行動なのである。
このTV越しにリアルタイムで配信される「沖出し」。
おそらく地震の揺れを感じた直後に命懸けの「沖出し」を決意し、すぐさま車で八戸漁港に向かい出航したのであろう。
またこの「沖出し」をする船頭を送り出す大切な人たちの心情も察するに余りある。
涙が溢れ出す。
「急げ!船よ沖に行け!」
とTVに叫んだ。
幸いにも津波の被害はなかった。
本当に良かった。
ほっと胸を撫で下ろした。
漁師は命懸けとよく言うが、まさに命懸けの瞬間を目撃した。
「沖だし」は専門家でも是が非か別れるとても危険な方法で、全国統一のルール作りはなされていない。
全国各地の港の立地や形状、水深、津波の高さによっても方法やタイミングが違う。
そこに船自体の馬力や船頭の力量が命運を左右する。
内閣府は後発地震注意情報を発表した。
「今後1週間で大規模地震が発生する可能性は普段よりは高いが、100回に1回程度」と冷静な対応を呼びかけている。
どっちなんだ。
意味がよく分からないが、ただただ漁師さんたちが「沖出し」をしないですむことを願うばかりだ。