斉藤和義の10曲 ⑥ジレンマ | 茶々っと!

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斉藤和義の10曲 続きです!


その1 僕の見たビートルズはテレビの中 


その2 君の顔が好きだ 


その3 歩いて帰ろう 


その4 砂漠に赤い花 


その⑥ ジレンマです★


この曲のインタビューは興味深いです!

つっこむインタビュアーとそれに頑張ってるこたえてるせっちゃん!

かみ合ってんのかどうなのかしらん?ともちょっと思いながらも面白いです!



bridge vol.47 WINTER 2006より

「斉藤和義の10曲」 その6


⑥ジレンマ


97年2月26日リリースされた5thアルバム『ジレンマ』のタイトル曲。


<誰かと自分をくらべっこして 結局最後は虚しくなった>で始まり<誰かと自分をくらべっこして 何だか もう疲れた>に行き着く、90年代日本のロック屈指の「自分摘発ソング」。


1種類しかないコード進行とメロディといい、ひとつのことしか言ってない言葉といい、もう本当に一字一句たりともムダなものがない。


シングルではないが「斉藤和義とは何ぞや?」と問われたらこの曲を聴かせるべき。


なお、『黒盤』に収録されているのは、99年8月12日渋谷ON AIR EAST のライブ・テイク。




――次はですね、できればほんとは10曲目に語りたかったぐらいで。

“ジレンマ”、私はすべての斉藤和義の楽曲でこれが一番好きかもしれないぐらいの、大名曲だと思っているのですが。


「ああ、そうですか。ほお」


――この曲の本人的な評価は?


「いや、俺もそれは気に入ってますね。


珍しく詞が先だったっていうのもあったりとか。


もともとどういう曲になるかわからず、詞だけバって書いてたのがあって。


それこそ『FIRE DOG』で、何曲か自分ひとりでやってみて、次のアルバムはプロデュースも演奏も何もかも全部ひとりでやりたいってことで、ディレクターとかに言って。


とは言いつつ、そんな全部できるかどうかめちゃくちゃ不安だったのもあったし。


それでちゃんと、ほんとにお金取っていいようなものができるかどうかっていうのも、大丈夫かなって気持ちもあったんですけど。


何曲かやってくうちに、『うん、いけそうだ』と思ったのがあって。


その何曲かやっていくうちの、最初のほうに録ったのがこれだったんですけど」


――これは新曲書かなきゃってんで書き始めたのか、それともつい書けちゃったのか。


「これはつい書いちゃった感じですね。


なんて言うかな、えー……まあほんとに、その時の心境のそのままというか。


今まで出してきてる曲も全部、実話がどっかに入ってないとイヤだっていうのがあるんですけど、この曲はもうまんま実話というか、ほんとに日記だなあという感じで。


だから最初、見せるのがもんのすごい……」


――恥ずかしい?


「うん。『こんな愚痴聴かせて、それでお金取っていいの?』みたいなことも、当時はすごい思ってて。


『もうちょっとプロとして、そういう気分をもっと別の何かに置き換えて言ったりするべきなんじゃないの?』みたいなのが、すごい最初はあって。


なんか歌作る時、やっぱ最後はオチを考えるじゃなないですか。


で、オチがねえなあと思って。


ま、ないからジレンマなんだろうなと思ったりして。まあいいやと。」


――だって本来オチであるべき場所の歌詞が<誰かと自分をくらべっこして 何だかもう疲れた>ですもんね。


「うん(笑)」


――聴いてて「えええ?!」って。「いっ言っちゃった!」みたいな。「ああ、この曲はオチないんだ。」ってことがそこでわかるっていう。言いっぱなしっていう。


「ああ……そうですね。


言いっぱなしにされたほうはどうなんだろう、っていうのをどっかで考えちゃう時があるから。


まあそれがね、特にこん時とかは、いいのかなと思ったりしましたけどね。


ま、でも……そのぶんオケをポップにしよう!と思ったりして。


なんかいろいろこう、遊びながら、オケは録った感じなんですけどね。


最初に暗い気分で……『ジレンマ』のアルバムを作ってる時の気分とか、


うーん、なんつうのかな……、やっぱ全部自分でやることで、テーマとして当時ディレクターとかも『ケツの穴まで見せようよ』みたいな話になってて。


『そういうことは必要なんじゃないの?』みたいな雰囲気に、なってたんですよね、当時。


それを特に象徴するような曲なんだろうな、とは思うんですけどね。」


――ざっくり言うと、わりとダウンな時期だったんですか。


「うん、そうですね」


――でももうほら、一応“歩いて帰ろう”の頃のわけのわからない忙しさとか「自分の好きなように作れないなあ」とか、そういう時期はもう越えてるないですか。結構もう、好きにやれてる時期でしょ?


「うん、そうですね


――じゃあ何が重かったんでしょうか。こういうことを歌わざるを得ないところに斉藤和義を追い込んだのは何だったんでしょうね。


「うーん……」


――だって、ずーーっとこういう気分なわけじゃないんでしょ?


「そう、ですね。うーん、ま、でも基本的にこういうとこがあるんですけどね(笑)。


でも、特にこのこの頃、それが強かったのは……やっぱあれだろうな、その頃ってそれこそほんとに『いつ大ブレイクをするんだ?』っていうのを結構周りにも言われてたのもあったし。


そこそこヒットする曲はあるんだけど、そんな突き抜けてバーンて、いわゆるミスチルのようにはなんなかったし。


やっぱそういうのって、どっかうらやましかったのもあるし。


でも、俺とは違うし関係ないや、って部分ももちろんあるんだけど。


そういうのもあったと思いますね。


だから焦りもあったと思うし。


あとは単純に、もう根がこういう性格だっていうところもあるんですけど」


――うん。根だと思いますね。<涙も出ない>って、リアルに自分に置き換えると、かなりヘヴィな状態ですよね。


「うん……うん、そうですね」


――だから、なかなか大ブレイクしないとかも原因のひとつとしてっはあったかもしれないけど、それがメインじゃないような気がしますけどね、俺は。


「うん、なんでしょうね。


だから……<不器用といえば聞こえはいいが かくしてみたってただの小器用>とか、そのへんの感じっていうかな。


みんなそうかもしれないけど、自分が好きなんだけど嫌いっていうところがあるじゃないですか。


なんかこう……自分が好きだけど、むちゃくちゃ嫌いっていう感じのとこだったんですかね……うん。


まあだから、自分の性格の根本ていうかね。


ただ楽しんじゃえばいい時でも、なんか横槍入れちゃう感じが自分の中であったりたとか。


そういう感じのことなのかな、うん」


――この曲は、ファンのリアクションは、すごいよかったんじゃないですか?


「そうですね。アルバムもうそうでしたね。


それこそオリコンでベスト10とか入ったのって、このアルバムだけかもしんないし。


だから、それが不思議でしたけどね、なんか。


いちかばちかみたいなところが自分の中であったんで。


それまで聴いてきた人たちからすると、なんかわかんないほうに行っちゃったと言われたりもすんのかなあ、とか。


それこそ“空に星が綺麗”で知りましたとか、そういう人からすると“僕の踵はなかなか減らない”っつってもわけわかんないだろうな。とかね。


“幸福な朝食 退屈な夕食”っつってもついてこれないんだなとか。


そういう感じでしたけどね。」


――そんなことなかったと。


「そうですね、うん」


――ちなみに今あがった2曲を、何でこのこの10曲に入れなかったかというと、『白盤』にも『黒盤』にも入ってないからなんです。


「はあ」


――そういう縛りがなかったら絶対入れてますね。とにかく、この『ジレンマ』ってアルバムは名曲がやたら多いですよね。


「ああ。まあ、暗い曲が多いっていう(笑)」


――だけど、すごく受け入れられたわけじゃないですか、結果としても。


「そうなんですよね、売れたってことはね


……そうだ、思い出した。


あれいつのツアーかあ?


……お客さんが……仙台だったかな。


ライブの途中でこの曲を始めたら、ウワーって泣き始めた子がいて。


それが最前列のどまんなかなんですよ。」


――ははははは。


「もう号泣なんですよ。ワンワン泣いてるんですよ、曲やってる間ずーーーっと。


もう気になって気になって、歌いながら。


『なんかつらいことがあったのかなあ?』とか(笑)」