秀吉が明経営の拠点として寧波を考えていたように徳川幕府にとっても明との貿易復活は必要であり、琉球の利用価値は十分にあった。島津はその点を突いた。

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1609年、薩摩3000の兵団が南下、奄美を皮切りに次々と島を落とし、琉球に上陸、またたくまに征服した。国王尚寧を連行するとともに検地を実施、掟十五条を定めて琉球支配を確かなものにしていった。

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                    第7代琉球国王尚寧
薩摩は与論以北の島々を琉球から切り取り、直轄領に組み入れた。奄美大島は森に覆われた山がちの島で米作に適さぬところに、サトウキビのプランテーションを押し付けたため島人は飢餓に苦しんだ。
                                
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掟十五条 薩摩藩の許しなく他国、他藩との交易を禁ずる etc

米は島でとれるものではなく、薩摩から砂糖と交換に運んでくるものだった。人々は有毒のソテツを何度も毒抜きして飢えをしのがざるを得なかった。これら飢餓の惨状と薩摩に対する怨嗟が島唄に込められ記憶、伝承されている。

エンヨハレイ 西の口から 白帆や 巻きゃ 巻きゃ 来うり
 蘇鉄ぬ 胴掻き粥や はん零しよ                        

(意味)西の方から白帆を巻いて薩摩の船が入ってくる  蘇鉄の粥なんか 捨ててしまえ

エンヨハレイ 線香ぬ ねえだな 松木ぬ葉ば 線香ち 灯ぼち    山川観音丸 二番漕ぎ願お

(意味)線香がなかったら 松の葉を線香に見立てて 灯して 薩摩の山川港から米を積んで来る観音丸が 年二回 来ることを祈ろう     

        豊年節     武下和平


能吏、調所笑左衛門は砂糖専売制を導入して藩財政を立て直した。琉球を通じて清に輸出させたり、大阪の藩屋敷で問屋を通さずに砂糖を売って莫大な利益を得た。これが倒幕への資金源となったわけである。

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調所笑左衛門

薩摩は長州の様に一直線に倒幕に走ったのではない。公武合体を唱え幕府を支えると見せて、電撃的に薩長同盟を結んで維新を成功させた。機を見るに敏な薩摩人の面目躍如である。腹黒いとも言えるし、一度決めたら猪突猛進するところは関ヶ原の島津退き口を思い出させる。

もちろん薩摩も近代国家建設のためそれなりの犠牲は払っただろうが、それも琉球・奄美民衆の血と汗のドロの上に咲いたあだ花に過ぎなかった。薩摩は多数の郷士を抱えていた。武器を調達し、軍を動かすのも結局は金であり、琉球・奄美からの収奪の賜物であった。
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サトウキビ 奄美ではウギ 沖縄では ウージという                              

          徳之島節
    ♪ 徒ぬ世(ゆ)ぬ中や
      長生きどぅ すぃれぃば
      朝夕血ぬ涙(なだ)
      袖どしぼりゅる
    ♪ かんしゅて気張たんち
      誰が為(たむぃ)どぅなりゅる
      大和いちゆぎりゃんきゃぬ
      為(たむぃ)どうなりゅる
      仕方やねんど ねんど 
  辛い世の中は
  長生きすれば
  朝夕血の涙で
  袖を絞る
  こんなに苦労して働いたとて
  誰が為になるというのか
  大和の役人の
  ためにしかならない
  仕方がないのだ
琉球・奄美は薩摩の植民地だった。その構造が今も受け継がれ、奄美は発展から取り残され、沖縄は日本とアメリカの二重植民地の様相を呈している。その原因をつくったのは薩摩である。鹿児島人に良心があるなら、その責任をとらなければならない。

今こそ言おう。辺野古基地は奄美ではなく、本土の鹿児島が引き取るべきである!どっちみちグァムに移転する海兵隊である。また米海軍との作戦連携上、佐世保に近い方が有利なことは常識で、あらゆる点から鹿児島に置くべきである。

海兵隊は敵前上陸するのが任務。命知らずでなければ勤まらない。沖縄での犯罪はほとんど海兵隊。連中を大人しくさせるのは鹿児島しかない。彼らも生麦事件ぐらいは知っているだろうから、なめてかかるとえらい目にあうと知って自粛することが期待できる。
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乗馬のまま駕籠の前を通ったことが無礼として英国人を斬り殺した生麦事件

薩摩人と奄美・琉球人が血を分けた兄弟であることは先に見た。情の上からも、親兄弟を裏切って、立身栄達をしたことに後ろめたさを覚えるなら、沖縄の苦痛を分かち合おうではないか。

薩長閥という言葉があった。近代日本の中心的役割を果たした鹿児島である。今日なお山口から多くの宰相が出るように、鹿児島も保守政財界に隠然たる力を持っている。鹿児島人が公務員になりたがるのはそのためだ。

いったん基地を引き取ったなら、日米地位協定など日米安保をめぐる多くの不平等な制度の矛盾が見えてくるはずである。その時立ち上がって、これら治外法権を改めるよう力を発揮してくれると信じる。鹿児島ならできる!。