三線に触り、沖縄民謡を聞いたり唄うたりするごとなってからも、まさか沖縄民謡の中に三拍子があるとは夢にも思いませんでした。よっぽど構えて耳を傾けん限り、キ・ドス氏の言われるごと、聞き流して「気がつかん」のですね。

最初に気がついたのは、八重山の月の美(かい)しゃと兄弟曲のちょうが節でした。
月ぬ美しゃは ♪ ホーイ チョウガ の繰り返しが印象的な美しい曲です。

三連符のごと淡々と唄おうとしますが、リズムが6/8 拍子になっちょります。もう少し一拍目にアクセントを置いて、二拍、三拍目を軽く流せば三拍子に聞こえるのですが、、。関連の深いちょうが節を聞いてみましょう。

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これを聞いた時はショックでしたね^^
松金ユンタも三拍子で唄われます。貧しい松金が努力して立派な大工の棟梁になったことから、八重山では新築祝いにこの唄が唄われるそうです。


村人の手拍子が最初は二拍で打たれ、すぐに三拍毎になりますが、地元の人も三拍子には慣れんのでしょうか?ぎこちない変則的な三拍子です。

同じ曲を別の演奏で聞いてみてください。これは安定した完全な三拍子になっちょります。
                松金ユンタ  通事安京グループ

以前ご紹介したいぐじゃーまユンタも聞いてください。


出だしが二拍で始まり、しばらく三拍子が続きますが、合いの手が入るところで二拍を挟んだりして、これも変則的な三拍子ですね。
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ここで大工先生のユンタショウラ(ユンタを唄おう)を聞いてみましょう。

この曲、二拍子で唄われることも多いのですが、手拍子が入るので三拍子と分かります。苗子夫人と睦まじく唄いよりますね^^。

ユンタはもともと労働歌やそうで、のんびり時間の流れる八重山では二拍子で作業するより三拍子で息を合わせた方がやりやすかったのかも知れません。一拍多いせいか、輪になって踊るときも三拍子の方が調子を取りやすいですしね。

安定した三拍子ちゅうよりは、時々二拍子を挟んだ変則的な三拍子が多かった気がします。八重山の三拍子は過渡的に成立したもので、音楽的なジャンルとして定立されちょらんのではないかと思います。
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日本語には和歌や俳句のごと四拍子でまとめようとする力が働いちょります。五七五は最初の五拍の後に三拍休みますから、四拍の倍、八拍になるんですね。琉歌も八八八六なので、基本は同じです。
中心ほどこの規制が強いので、本土では三拍子が生まれにくく、本土の端である天草や八重山で曲りなりに^^生まれてきたのではないと思います。

せっかく生まれた三拍子です。このリズムがどれだけ私たちの音楽生活を豊かにするか、その可能性は計り知れません。しっかり意識して大切にしたいものです。
次は沖縄の民謡に三拍子を探してみましょう。