イメージ 6関西に住んだ青年時代、長崎の平戸出身の親しい友人がおりまして、彼は抑揚のない平坦な言葉をしゃべりよりました。
 
アクセントのある地域の人はアクセントに敏感らしく、違いを聞き分けますが、無アクセントの地域の人はそもそもアクセントを区別する感覚も習慣もなく、無頓着やそうです。つまり端も箸も同じように聞こえるし、自分の言葉にアクセントがないのにも気が付かんそうなんです。
 
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暖色系が関西式、寒色系が非関西式、白が無アクセント
 
イメージ 7土木工事の現場で働きよった時、四国から出稼ぎにきたおっさんのグループがおって、平戸の言葉と似た平べったいしゃべり方をしよりました。その後、仙台や福島の知人も出来て、日本各地にアクセントのない方言があることに気が付いたのです。つまり日本語にはアクセントのあるものとないものがあることに、、^^。
 
イメージ 3では日本語の高低アクセントはどこから来たのか?日本語と同系の韓国語には以前触れたごとアクセントがありません。ですから、韓国語とそれらの地域の言葉が妙に同じように聞こえるのです。しかし、慶尚道方言だけはアクセントがあります。まあ、一語一語のアクセントちゅうよりは文の構造から来る抑揚ちゅうた方が近いような気がしますが、、。
 
さて、前回東京式アクセントちゅう名称に異議を唱えました。東京の言葉とはかなり違う東北や九州の言葉にまで東京の名ををかぶせるのは疑問です。東京に住む学者、官僚の傲慢を感じます。昔から日本の文化の中心は京都にあったので、京都から言葉も伝わって行きました。方言学では「京阪式」「東京式」ち 区分しちょるのですが、私は
関西式
非関西式 ち 呼ぶごとします。
 
高低アクセントはなぜ生じたか?
ではなぜ、日本語にはアクセントのあるものとないものがあるのでしょうか?
日本語と韓国語はウラルアルタイ語族の同系語とされちょりまして、分離して長いので直接対応する言葉は少ないものの、語順や言い回しなど驚くほど似たところがあります。
 
イメージ 9日本語は朝鮮半島から渡来人がやってきて、先住民との対立・抗争の中で形成されたもなんですね。渡来人の中でも釜山の西側、伽耶(加羅)地域から来た人が多かったため慶尚道のアクセントが引き継がれたものと思われます。        
 
京都語のアクセント移動
奈良・京都を中心としてアクセントを持った日本古語が形成されてきたわけですが、
平安時代の末期、京都で突然アクセントの移動が起こります
 
分かりやすく言うと、「寒い」は 非関西式では さむ乁い、つまり さ む が高く、い を低く発音します。関西式では 乁むい、つまり さ が 高く、 む い は 低くなります。平安の末期にこうなったんです。
 
それ以前は広い地域で非関西式が行われよったのが、京都から次第に周囲に変化が広がったわけです。関西式の周囲(つまり東と西)に非関西式が分布するのはこういうわけなんです。
 
無アクセントの起源
方言学の従来の見解は、関西式と非関西式がぶつかった接触面の周辺でアクセントの崩壊が起こるちゅうものです。ちょうど境界線におる人は、こっちの村ではこういい、あっちの村ではああいうので、わけが分からんごとなってアクセントをあいまいにしたか、聞き咎められるのを避けてアクセントをなくしてしまうたか、どっちかと思います。
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確かに愛媛県の場合、松山の辺りまでは関西式で、宇和島や八幡浜は非関西式なので、その中間の内子町などが無アクセントちゅうのはこれで説明できます。
 
イメージ 5福井県の若狭地方は関西方言ですが、越前に入るとややこしくなります。境目の辺りに無アクセントがあるのです。これも同じように説明できますね。
 
青年期、ちょっとなつかしいイントネーションでしゃべる人がおったので、「君、鹿児島やろ?」ち 聞いたことがあります。彼は迷惑そうな顔をして福井ち答えました。
ジェジェジェ~~ッ!!^^ 福井にも九州と似た二型アクセントがあったとは! 忘れられん体験でしたね。
 
しかしこの説では、九州中央部に広がる無アクセント地域や、北関東、東北南部にかけての広大な無アクセント地域の存在を説明できません。
 
先住民の言語との接触
大野晋先生の本に驚くべき説が紹介されちょりました。
東北はアイヌに連なる蝦夷の地域、九州中南部は熊襲、隼人の先住民地域です。
その説では、高低アクセント以外の異なった言語を話す集団が、支配階級の日本語を受け入れる際、元々の発音の習慣を捨てきれず、残ったもの ち 説明されちょりました。なるほど、そうやったんか^^。
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戦乱の弥生時代
弥生時代は武器が発達し、大きな戦闘があちこちで行われ、長く続きました。血なまぐさい殺戮の時代ですね。九州北部の渡来人集団は東に移動し、ヤマト政権を形成していきます。
渡来系弥生人から追われて、トコロテン式に南へ押し出された先住民の子孫が、今日の奄美・沖縄の島んちゅやったわけです
 
奄美大島は名瀬を中心とする広い地域が無アクセントでした。瀬戸内町はアクセントがあったような気がします。
 
沖縄は案外鹿児島と似た言い方になるときがあります。上原正吉の今帰仁島兄弟小ちゅう唄に「 我ったー 島や 山原 なちん 」ちゅうセリフが入るのですが、心なしか鹿児島弁のごと聞こえました^^。
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若者の無アクセント言葉
東京の若者は 気取ってか^^ わざと言葉を平たんに言う傾向があります。昔は
サ乁ーファー ち 言いよったのですが、最近は サーファーですね。
また「~~くね?」とか よく言いますが、あれ福島県の言葉と同じですよね^^。
 
昔は特に東北の人たちは方言差別のため言葉を笑われて、ずいぶん辛い思いをしたはずですが、今は東京のシティーボーイが真似をするとは、!!時代は変わりましたね。
 
東京語の侵入を阻止し、地域文化、方言を守ろう!
イメージ 1大分県のテレビラジオは地名人名を東京式アクセントで発音します。
大分は おお乁いた なのに わざわざ お「おいた ち発音します。後藤はご乁とうですし、甲斐は か「い を か乁い ち 言うんですよね。私の名前ではないのですが、もし私の名前なら毎日NHKに抗議の電話を入れますけどね^^。
 
私たちは学校教育や行政、マスコミを通して日々洗脳されよります。あるべき日本、美しい日本ちゅうのは、危険な幻想にすぎんかも知れません。私たちは日々「日本人」として作られよるんですね。
日本人は皆同じではない。いろんな人がおる、この当たり前の現実から出発しましょう。そして自分の言葉を大事にしましょう。