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元学習塾教室長のまったりブログ

教育業界での経験をもとに日本の教育を明るくする教育環境アドバイザーです。

趣味は読書(おもにビジネス書籍と推理小説)・テニス・格闘ゲームなど。
好きな動物はウサギ(昔飼っていたウサギが最高!)とネコ(^_^)

今日も続きです。


「おもい」第一章④

出勤しているが、担当生徒が休みになったので、暇なんだろう。個別指導塾では、こういうことが起こり得るのだ。生徒一人休むことは、学校で暮らす全員休むことと同じだったりする。

「室長!今日は何だか変ですよ。風邪ですか?」
「いや、大丈夫。ほら、正人くんが自習しに来てるから、少し見て上げてよ」
個別指導塾では、授業で使うパテーションで区切られたブースがあり、授業で使っていないブースは自習生が使う。
今日は中学受験をする小6の正人くんが自習に来て頑張っている。


「おもい」第一章③
個別指導塾の室長は授業はしない。授業の監督と生徒、保護者、講師のフェローや生徒募集活動、経理などが仕事だ。

さっきやってきた生徒たちが授業に入ると、僕は吉川書店から持ってきてしまった紙をもう一度見た。

間違いない。
裕香の字だ。
13年前に死んだ裕香の字…。

「室長!何見てるんですか?」
「紗綾先生か。いきなり後ろに立たないでください。」


「えー。いいじゃないですか。」
紗綾先生はこの教室で唯一の社会人講師だ。昼は私立高校の非常勤講師、夜は塾の先生をしている。
24歳、髪はセミロング。いつも笑顔で明るい性格なので、生徒からの人気は、教室一だ。


「おもい」第一章②
ここ、メバルは先生がずっと隣にいるタイプだ。このタイプは先生の数を確保しなければならないため、人件費がかかる。

だから生徒の授業料も高くなる。
それでも、最近は子どもに合ったやり方で教えて欲しいという保護者が増えてきた。

僕は大学卒業後、メバルの室長になった。個別指導塾の先生は基本的にアルバイトの学生講師なので、社員になれば新卒でも副室長以上になることが多い。

もう7年もメバルにいる。
室長になった頃の中学三年生は、来年から新社会人だ。塾で働いていると自分が年を取っていることを忘れることが出来ない。子どもの成長が早いせいだろうか。


続き書きます。

「おもい」第一章①


「室長、こんにちは!」
「こんにちは!」

17時。
そろそろ授業の時間だ。
僕が眠くなってくる時間帯だ。いつもなら子どもたちの元気な声で睡魔から解放される。しかし、今日は睡魔もお休みのようだ。

「陽子ちゃん、圭くん、こんにちは。」
僕は今日も元気いっぱいの生徒たちに挨拶をする。

ここは、個別指導型の学習塾メバル。最近流行っているスタイルの塾だ。先生一人に対して生徒は一人から五人ほどで授業を行う。先生がずっと隣に座っているタイプや、自習をしている生徒を監督しているタイプなど、同じ個別指導と言っても様々だ。


「やっと見つけてくれたね。長い髪の少女に気をつけてね。

                                    裕香」

ゆ、裕香…。
そんなバカな。

ドン!

一瞬、頭が真っ白になり、後ろにいた人にぶつかってしまった。

「あ、ご、ごめんなさい」
何とか声を出すことができた。
「いえ、大丈夫です。」
中学生か高校生だろうか。ストレートヘアーの女の子だった。

取り敢えず、僕は本を棚に戻そうとその女の子に背を向けた。

「びっくりすることはないんですよ。それを見つけることは決まっていたことなんです。」

「!?」
すぐに後ろを振り返ったが、さっきの女の子はいなくなっていた。