経営者からの相談で多いものの1つが、夫婦関係(パートナーシップ)の相談。百戦錬磨のビジネスの達人も、パートナーシップとなると悩むことが多いようです。
一番よくある現象は、ビジネスがうまく行けばいくほど、パートナーシップに暗雲が立ち込めるという「成功のパラドックス」。
「これだけ稼いで、何不自由ない生活をさせているのに、なぜ?」
経営者にとって、理解不能な出来事が起こるのです。
具体的な現象としては、
・妻が家を空けることが増える
・妻が実家に帰る
・突然、離婚を叩きつけられる
・とんでもないクレジットカードの請求額が来る
など。
なぜ、そんなことが起こるのかと言うと、夫が成功すればするほど、妻は孤独になるからです。
・自分の知らない世界が増えて行く
・自分は出会ったころの普通の女性のままなのに、夫は社会的な地位が上がって行く
・夫はすごい人だけど、自分には特にとりえがない
・いつも夫が正しくて、私が間違っていると言われている気がする
こうした感情が、夫婦関係に競争を生む結果となります。
「なぜか、妻に言いがかりをつけられているような気がする」
と思うなら、黄色信号です。
成功のプロセスでは、ポジティブに考え、行動することが成功の秘訣になりますが、ポジティブになればなるほど、周りの人はネガティブになるもの。これは「感情の法則」の1つです。
その事に気づかないと、ある日、突然、ネガティブな感情が爆発し、問題となって顕在化します。
こうした問題を抱えている経営者は、自分が気付いていないだけで、実は、会社でも同じ問題を潜在的に抱えています。社員は言わないだけで、妻と同じような感情を抱えているのです。
人のあり方は、会社でも家庭でも同じ。妻が悩んでいると言うことは、あなたと接する誰かも、妻のように悩むということです。
成功すればするほど、あなたの周りには、成長スピードについて行ける人と、ついて行けない人が出てきます。
ついて行けない人たちに失敗者、落ちこぼれの烙印を押す経営者になるのか?
それとも、彼らをケアーし、励まし、ともに成功するのか?
この種の問題に直面した時、経営者は器量を問われているとも言えます。
成功の初期段階では、周りの感情をケアーするよりも、瞬発力が必要です。しかし、ある程度、成功すると、瞬発力よりも、ケアーの力を持っている人が、家族や社員により大きな幸せを与えられるのです。