EVだけでなくリーフもリーフのトミカも進歩している | El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

2015年1月4日から「Diario de Libros」より改名しました。
メインは本の紹介、あとその他諸々というごっちゃな内容です。
2016年4月13日にタイトル訂正。事務机じゃなくて「事務室」です(泣)。

ここ数年よく聞くようになったEV、昔のマスコミは電気自動車と言っていたのですがいつのまに定着したのでしょうか。一昔前なら「エレベーター?」と返されてもおかしくなかったはずです。時代は変わるものですね。

そんな朝刊一面のコラムみたいな枕から、今日は『トミカ歴代名車COLLECTION ⑱ 日産 リーフ』を紹介します。

 

2010年に発売された、普通乗用車としては初のEVである日産リーフ。初代からの形式ZEはZero Emissionから取られているなど、開発理念がはっきりしているのがわかります。今回トミカになった2代目は環境面以外でもアクセルペダルひとつで発進・加速・減速・停止保持を行なえるモードを搭載し、まるで「自分の手足の延長」(p.7)のように操縦できる楽しさに力を入れたそうです。こうした実車紹介が添えてあるだけでミニカーを見る眼も深まるというものです。

 

読み物「トミカペディア」ではコミック『頭文字D』が登場。主人公・藤原拓海の「AE86トレノ」(豆腐屋の店名が書いてあるやつね)はじめとする劇中に出てきた車をトミカにするというのは1998年当時としては斬新な試みでした。このためにAE86トレノの金型を作ったんだとか。今はあらゆる方面と組んでバシバシ出ているコラボ商品のさきがけと言えます。

また1998年はトヨタのハイブリッドカー、プリウスが初めてトミカになった年でもあります。既存の燃料供給網を利用しつつ確実に排気ガス量を減らす環境とお財布に優しい自動車という新たな地平は電池でも動かないミニカーの世界にも衝撃を与えたのです。

元来ミニカーのメインターゲットは子供であり、子供の願望と共に大人が子供にどう応えたかの反映でもあります。日本を代表するミニカーブランド・トミカもまた自動車を通して時代を映すメディア的側面があることも忘れてはなりますまい。

 

……それにしても、『トミカ歴代名車COLLECTION』、20号で休刊との知らせにはがっかりしました。70号くらい続けると聞いていたんですが。これではぽっと出や香具師まがいの新参EVメーカではありませんか。今回の竹岡圭さんはじめとする自動車愛・ミニカー愛にあふれる方々のエッセイには力がこもっているのが感じられただけに、大手新聞社にふさわしからぬ企画力や貫徹力のなさに呆れを覚えてしまいました。

 

さて、では気分を入れ換えて見ていきましょう。実はわたくし、初代リーフを持っているのでモデルチェンジやトミカへの反映のほどをじっくりと比較……

ってでか!なんかでか!

念のため箱に入れて比べてもこの違い、何なのよ!?

と思ってウラを見てみると、初代リーフ(2011年当時のトミカ番号120)が1/68に対し、今回の付録になった2代目リーフは1/63。道理で大きいはずです。そういえば、箱も違ってたなぁ、ってもっと早く気づけよ。

 

気を取り直して、やや斜めから正面。上2枚もそうですが、右が今回の付録となった2代目リーフ、左が初代リーフです(後者は含まれておりませんのでご注意ください)。

こうしてみると、初代は充電ポートの扉がけっこう目立ちます(何せNISSANのロゴが付いている)。むしろ己がEVであることを主張するためデザインの要となっているのが分かります。対する2代目はほぼ同じ場所にあるはずなのにロゴマークの上に設けられて流線形に溶け込んでいて目立ちません。逆説的ですが、フロントデザインの中心から充電ポートの扉を外したのはEVの普及を反映している、のかもしれません。ライトも初代はウルトラマンみたいというかかなりアグレッシブ、対して2代目はいろんな意味で従来車っぽく落ち着いています。

 

後ろ。こちらは目立った変化は見られませんが、トミカとしては2代目の方のみ、

後部ドアが開閉します。もしかするとこのしかけ(ギミック)を盛り込みたいためにスケールを大きくしたのかもしれません。なんだかんだ言ってこどものためのおもちゃですからね。そうした配慮も進歩のうちと捉えられる、のかもしれません。

 

 

¿Cuál es el coche eléctrico más barato en España?
(スペインで最も安い電気自動車はどれですか?)

 

 

『トミカ歴代名車COLLECTION ⑱ 日産 リーフ』

朝日新聞出版

高さ:25.9cm 幅:18.4cm(カバー参考)
厚さ:4.5cm

重さ:209g

ページ数:8
本文の文字の大きさ:3mm