NEW EDUCATION EXPOについて語り過ぎましたので、ここらあたりで少し趣の異なったお話をいたします。


私は必要に迫られ数学(算数も)、英語、物理、化学、生物(分子生物学関係のみ)を教えた経験がございます。ある数学の授業をしていたとき、ハッと気がつきました。中学生に幾何を教える授業でした。直線、半直線、線分の概念を教える場面で、まず黒板の隅から隅までまっすぐな線を描いて、実際の直線には限りはないのだけれど、黒板に書くのは無理なのでここで止めるしかないんだよね。去年それを示そうとして黒板をはみ出してまっすぐな線を引いたら教務の人に叱られちゃったからそれはやんないけとね。もっともそれをやっても直線を正確に書くことはできないんだけどさ。(その教室は横に広かったので黒板の表面が曲面になっており)あっ、それとこの黒板カーブがつけられているからそこに描いたこのまっすすぐに見える線も嘘だよね。といつもはそんなバカ話をして進めて行くのですが、その授業の時に恐ろしい考えが頭をよぎったのです。それは


定義に忠実な直線は目に見えない


ということです。ましてや黒板に描いた直線もどきは、拡大鏡で見れば面積を持つ平面図形なのです。ちなみに点というのも目に見えません。点らしきものを描いた時点で実はそれは円に近い、面積をもつ図形なのです。


しかし定義に忠実に説明しろといわれてもそれは不可能だと言わざるを得ません。可視化しなければちゃんと議論ができないのですから。


うまい教え方の発見や改めての気づきが授業中によくあるということにご同意いただける先生方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?