趣味は?と聞かれると、「星」以外ではまあ、ぷーたら歩くことです。これは遥か高校時代からずっとだ。特に高校時代は、お昼は必ず屋上で食べ、遥かかなたの森や建造物を見つけては「今度の日曜、あそこまで行ってみよう!」と出かけたものだ。高校を卒業してからは、「行き当たりばったり歩き」という楽しみに目覚め、道の分岐点に出ると、棒を倒してそちらの方向へ行く、なんてことを本当にやっていた。当然、帰りは道がわからなくなり、「ここらへんで、駅やバス停などはありませんでしょうか。」と人に良く尋ねたものだ。人のいない川辺や山で夕暮れを迎えると、ものすごく心細くはなったけど、その胸の締め付けられそうな感じは嫌いではなかったな。足の指が動かなくなった時があって、お医者さんに「歩き過ぎによる疲労骨折です。」と言われたことがあったぐらい、本当に良く歩いたよ。
そんな感じだったから、素晴らしい景色にはたくさん出会えたけど、どこだったかは、ほとんどわからないのだ。もちろんスマホなんて便利な物は影も形もなかった時代のことだからね。だからまず二度と行けない場所ばかり、だ。
さて、持っていたカメラの機種を頼りに記憶を引っ張り出すと、おそらく35年は前の事だ。例によってぷーたらぷーたら歩いていると・・・・由緒ありげな、だけど、そうとうひなびた感じのお寺に着いた。人気のない境内に入ると・・・・そびえるほどの大きなイチョウの木が立っていた。私がそのイチョウの木の下に立つと・・・・風もないのに、イチョウの葉が一斉に私の上に落ちてきた。私は相当に驚いたのだけど、なんだかうれしくなってしまって、「少なくとも、この地やこの大イチョウには嫌われてはいなさそうだ。それとも、ここは何か『縁』があるところなのかもしれんなあ。」とか、思ったのだ。この時の、不思議な、そして暖かい気持ちは今でもしっかり覚えている。この光景も、きっと「例の走馬灯」に出てきてくれるのだろうなあ。
最近、いろんなことがあって、「どうしても、またあそこに行きたいなあ。」とか思ったのだ。で、今は、「ネット検索」というとんでもない武器があるので、調べてみる気になったのだ。うろ覚えだが、柏の北部に向かっていた。神社ではなく、「寺」だった。そしてもちろん「大イチョウ」。これだけで、一発で検索出来てしまいましたよ。凄い時代だ。
だけど、今度は車のナビを使いましたよ。いい年になってしまって、「ズル」を憶えた悪い大人だ。
途中、佐野らーめん 麺屋 翔稀 と言うのを発見。
実は佐野ラーメンは、発売された当時、佐野で食べたのだ。友人が佐野で先生をやっていて、彼と一緒に佐野市の居酒屋で酒を飲んでいたら、「実は、佐野では「佐野ラーメン」というのを売り出すことになったんだよ。良かったら北川、食べて行ってくれよ。」と言い出したのだ。彼に家は佐野市でも相当に名士の家で、彼が店で目くばせしたら、即座に居酒屋さんの亭主がラーメン屋さんに連絡を入れ、その開発されたばかりの佐野ラーメンが配達されてきたのだった。(今から考えてもすごい経験だなあ。)で、これが今回の「佐野ラーメン」どことなく、喜多方ラーメンに似ているが、よく見ると麺と、スープの色合いが違う。こちらの方が麺のちぢれが少なく、スープがさっぱり系のように思う。まあ、しっかり美味しいです。
さて、ここがそのお寺だ。あの当時は、これほど奇麗な石畳ではなかったように思う。もっともっと「ひなびた感」があった。でも、この本堂と大イチョウの配置はあの時のままだね。
ああ、大イチョウ。間違いなく、あの時の大イチョウだ。
「ズル」オヤジは、車のナビで地点登録してしまったので、もう確実にこれますよ。今度はスマホでも地点登録して、自転車か歩きで来てみよう。(歩きだと数時間はゆうにかかりそうだけどね。)「これから、ちょくちょく来るかもしれません。その時はまたよろしく!」 心の中でそう大イチョウに話しかけて帰路につきましたです。
そうそう、これが本堂だけど、見てみたら・・・・うちの菩提寺と同じ宗派だったですよ。やはり何かの「縁」なのかもね。