ここが分かれ道。今日は今まで行ったことのない山の中を歩くつもり。

どんどん、それらしい道になって行く・・・・・

途中で、「クマが出た時の武器がほしいなぁ。まあ、大きめの杖があったら

ありがたい。」と思ったら、まさしくそんな杖が落ちていた。

これ、登山者が作ったものではないのかなぁ。

手の握りがあまりにもピッタリ。高さもちょうど。

松だけど、枝ぶりが面白いなぁ。

クリがいたるところに落ちているのだけど、みんな中身が無い。

食べているのはクマさんだろうなぁ。

途中、開けた、遠くが見える場所に出る。ああ、あそこに見える沼は先ほどまでいた

男沼だ。自分の足跡が一目でわかるっていいよね。3次元生物が、ちょっとだけ4次元

生物になった感じ。時空の隔たりを瞬時に把握できる感覚。

全体に紅葉はイマイチなのだが、時たま、こういう「真っ赤」な植物に出会える。

おお、どうなっているんだ?これ。大きな石を樹木が抱きかかえるようにしている。

しばらく行くと、巨石が・・・・山の上の方から落下してきたのだろうなぁ。

おお、目的だった「高山」の登山道入り口が近い!

ここ!ここですよ。入り口。

早速何かの糞。植物の種が大量に含まれている。草食か雑食の動物だろうが

何なんだろう?

先ほどのようにところどころで素晴らしい紅葉になっている。この違いはなんだ?

見事な紅葉はところどころに・・・・

苔むした岩の上に植物の芽吹きが・・・・こうやってさっき見た「石を抱きかかえる

樹木」が出来上がるわけだ。何十年もかかって。謎が一つとけた。

さて、ここからは本当に誰もいない山の中だ。ただの一人にも出会わなかった。

おそらく、この山に居る大型哺乳類は、人(もどき?)である私一人と、鹿数十頭

クマ数頭、サル数十頭という感じなんだろうなぁ。

沢をいくつも超えていく。

 

沢は実はちょっと怖い。何度か沢沿いを歩いて道に迷ったことが

あるからだ。水が無い沢は、まるで山道みたいに見えてわけが

わからなくなってしまうし、沢伝いに行って滝みたいになり行けなく

なったこともあったし・・・・

とにかく、どんな山でも絶対に見落としてはならないもの。それは・・・・

これ!命綱の「ピンクのリボン」

これが山道に沿って付けてある。だから、山に入ったら絶対にこのリボンを見失って

はならない。このリボンに沿って行けさえすれば、山頂に行けるし、安全に下山も

できるのだ。若いころはそんなこと知らなくて、何度も道に迷って死にそうな目にあったな。

このリボンの事は恥ずかしながら友人の「営林署職員」に教えてもらった。

「え?そんなの知らないの?」だそうだった。

そしてとうとう川について道は行き止まりになった!

おかしい。このまま行けないわけがない!え?向こう岸に見えるあのピンクの

リボンは・・・・ もしかして。

え?ここを渡れというのか

ぜったいに無理ゲー。何も持ってなければ裸足になって川を渡るだろうけど、

カメラとかレンズとか水に弱いもんをたくさん持っていて、絶対に向こうへは

行けない。水の中で転んだら、カメラはみんなダメになるし、まず僕は流されて

そのままこの山の地縛霊になるのは必至である。

たぶん、雨が続いていて水かさが増しているのだ。今回は、ここで昼飯として

引き返そう。おお、珍しく大人の選択だ!こんな景色の中でおにぎりはとりわけ

おいしい!

しかし、本当に誰もいない奥山にこんな美しい景色があるんだね。全部ひとり占めで

バチが当たりそうだ。

さて、この山の紅葉は十分に堪能。そろそろ引き返す時間だ。やっと広い道に出た時には

もうちょっと薄暗い感じ。

おお、何やら色っぽい切り株。

さあ、やっと車の近くだ。ここで杖とはお別れ。おかげでずいぶん心強く

感じたよ。できれば、次の登山者にも力を貸してやって下さい。

で、最後の最後に、ここから車で5分程度で行ける女沼へ。

ちょっと高台から望めるのだ。やはり紅葉はイマイチだけど、それでも

なかなか絶景です。

ああ、本当に盛りだくさんの良い一日だったね。次は来年の新緑の時期だね。