良く意見交換をしたりしていた塾長が倒れた。脳出血だった。
昨夏あった時、彼の巨大化がかなり進んでいて「このままじゃまずいよ!」
と言っていたのだが、秋にあった時はもっと巨大化していた。この時
体重125キロ。顔色もひどく悪かった。私は太っている塾仲間に「ダイエット
クラブを作ろう!」と呼びかけ、彼を仲間に引き入れた。このままではけっして
改善しないと思ったのだ。1月にみんなで再開するときまでに目標体重に
なっていない奴はみんなに奢る、という約束までした。
しかし、彼は118キロまで減量に成功するも、正月に脳出血を起こして
しまったのだ。血圧は200まであったそうである。ダイエットクラブも時すでに
遅かったのだ。彼の血管は、この高血圧に耐えられずボロボロになって
いたのだろう。すぐに見舞いに赴いたが、脳出血の宿命か、片麻痺の状態
は避けられなかった。受験間近の生徒達もいたし、責任感の強い彼のこと、
かなりへこんでいるのは見て取れた。しかし、焦ってみてもはじまらない。
逆に焦って血圧が上がると再発の危険すらある。起こった「過去」はしかた
ない。大事なのはこれからの「未来」なのだ。「まったく他人事ではない。」と
思いながら、できることを探した。
 
で、片麻痺用リハビリ装置を作ってみることにした。
まず、大きめの段ボールにサークルカッターで穴を4つあける。
これは腕を入れるためのものだ。
で、切り口で皮膚を切りそうなので、ガムテープを貼る。これは切り口の強度アップにもなる。
この真ん中に鏡を立ててで出来上がり。極めて単純だが、あの有名な神経学者「ラマチャンドラン博士」が考案し、論文もいくつも出ていてその効果はお墨付き。
使い方は、動画アップします。僕の手ですが、まるで鏡に映っている右手が左手みたいでしょ。
 
効果の理由は、「脳が動かない手を動く手と勘違いして刺激され、リハビリになる。」ということらしいけど、はっきりした事はわからないらしい。私の勝手な推測では以下のような気がする。神経が切断されてしまった腕を動かすという事は、まな板の上の肉塊を念力で動かすくらい難しいことだけど、脳内では、破損した神経回路を迂回するネットワークの再構築を一生懸命しようとしています。しかし、脳内でネットワークの伸長の方向性を決めることは、かなり難しい。何か「とっかかり」が欲しいのです。通常、手を動かすのは運動神経系だけど、それだけではなく、微弱なものではあるけれど、目からの「視覚情報」も一助になっている。脳は動かない手が動いている状況を視覚で認識し、かつての「手」の動きを想起するのだろう。それが、細い弱い関係性ではあるが、「とっかかり」となり、その後はその「とっかかり」を元に神経を肉付け(神経付け)し太く強い回路にしていくのではなかろうか。これは、例えば、暗記の学習に似ている。歴史など、最初はまったく暗記できないけれど、おおざっぱにでも簡単な歴史の流れが頭に入ると、それがとっかかりになり、暗記項目同士が連想想起しあって、急激に暗記効率が上がることと似てなくもない。まあ、事はそれほど簡単なものではないのだろうけど。
で、梱包して送付。まあ、とにかく、少しでもリハビリの役に立ってくれたら良いなぁ。