さて、そのまま山中を歩くと、見事な切り通し。
地層がはっきり見えるぞ。こりゃ、いつか星とは関係なく
来てみたいね。

おお、ガクアジサイが咲いている。

ガクアジサイ
ヤブランなども綺麗である。

花
いっぱい咲いているぞ。

ヤブラン
おやおや、こんなところに彼岸花も。誰も来ない林道に花がいっぱいだ。

彼岸花
葉の周りに水滴が。

水孔1
これは、「水孔」という穴から植物が余分な水を吹き出す現象。
「気孔」は水を水蒸気として出すけど、何らかの理由でそれでは
おっつかない時、植物は葉の周囲にある穴「水孔」からこうやって
水を出すのだ。葉のネックレスみたいだね。

水孔2
ちょっと歩くと、今度は崖で、大量の倒木が・・・・・


この、まるで鉛筆のように細い木々が、自然に倒れたのか、それとも
人為的に「間引かれた」のかはわからないが、もともとかなり荒れた
山野だということはわかる。本来、人手のかかった「里山」は、最初
から手入れがなされ、このような細い木々は無いはずだからだ。
結局、放置され、無駄に密集して栄養の取り合いになり、根が深く
張らず、山崩れの原因になる。

で、放置された山林の究極の姿がこれだ。最近どこの山野でも
見かける悲惨な光景。竹林の異常増殖だ。竹は非常に繁殖力が
旺盛で、黙っているとすべて竹林となってしまう。今まで日本人は、
たけのこを食べたり、竹細工を作ったり、いろいろタケを利用していたので、
そこそこに抑制されていたのだが、最近は増え放題。竹はセシウムを
濃縮しやすい性質があるので、おそらくタケノコを食する
人も減っているのだろう。しかし冗談ではなく、日本の森林が竹林
に入れ替わる日もそんなに遠くない気がする。

竹林2
日本の一般的な山野は、実は、完全に自然のものではなく、日本人の
ご先祖様たちが数千年にわたって手入れして、人と自然がいっしょ
に作り上げてきた「里山」という芸術品なんですね。え?完全に放置し
っぱなしだとどうなるかって?生態学には「潜在自然植生」という言葉
があります。まさしく、その場の気候風土に一番合った「極相林」という
森林になるでしょう。数百年の時間をかけて。生態学者の中には、それを
積極的に勧めている方もおられます。細い木々の密集も、竹林の増殖も、
実はそこに至る一過程に過ぎないわけなのです。

だけど、完成した「潜在自然植生」の極相林(最終段階の森)は本当に
「ジャングル」みたいなものだから、人にやさしい「里山」とはかけ離れた
ものになるでしょう。数千年かけて日本人が作り上げてきた「里山」と
数万年~数千万年前のありのままの姿の潜在自然植生の森と、どちら
がいいのか。考えてしまうところではありますな。
(ちなみに日本列島が大陸から分断されて今の形になったのは1~2万年
前。意外に最近のことだ。その前までは、日本海は実は巨大な湖だった。
もちろんアジア大陸と別れる前にも、植生はあったし、人も住んでいたのだろうけど。)

竹林1
おお、これは見事な女郎蜘蛛。(虫嫌いな人ごめんなさい。)
しかし、女郎蜘蛛の「女郎」は昔の「上臈」が本来の由来だと
言う話がある。「上臈」とは高貴な女性のこと。
美しい、ちょっと派手目のそのあでやかな姿が、その名をつけ
させたのかもしれないね。

女郎蜘蛛1
で、びっくり、おそらくかなり大きな甲虫まで捕まえてしっかり
食しているぞ。

女郎蜘蛛2

女郎蜘蛛3
おっと、こちらにもなにやらカラフルな虫が・・・・口の形も
面白い。

ヤマトシリアゲムシ
これは、あまり尻をあげてないけど、「ヤマトシリアゲ♀」
だと思う。口の形も特徴的。肉食で獲物を取ったり、死肉
をあさったりしている。オスがメスと交尾する時、オスは
メスに食事をプレゼントして、メスが夢中になって食べて
いる間に交尾するのだそうだ。まるで「ボノボ(ピグミー
チンパンジー)」みたいだ。生物って本当に面白いね。

おお、色違いキノコが3種類。と思ったら、みんなカワラタケ。僕は
黒色しか知らなかったけど、おそらく生育時期で色が変わる
ようだ。つまりここは「祖父母」「父母」「孫」の三世帯同居
住宅ということになる。カワラタケからは「クレスチン」という制癌剤
が作られる。どこの生物にどんな薬効があるか、わからないね。

カワラタケ3色
さて、そろそろ帰りだ。
帰り道、ちょっと小高い里山に鳥居。日本はどんなところにも
津々浦々に神社仏閣があっていいなぁ。なんか目をつぶると、
その土地の過去のいろんな出来事が頭に浮かんでしまう私は
妄想オヤジにすぎますでしょうか。ええ、いつもどおりちゃんとお参り
させていただきましたよ。

神社
やはり帰る途中の地層。みごとだのう。

地層
なかなか食事どころがなく、午後2時ごろ、やっと本日
初めての食事にありつけた。

食事

ああ、今回もてんこ盛りの星行きだったね。楽しかった。