これは、不動滝。途中、道が崩れていたのだけれど、
まあ、通れそうだから行ってしまった。本当に私以外、ひとっこ一人
いない。私がいなくても、滝は水を落とし続けているのだろうなぁ。
あたりまえだけど。
さて、時間がどんどん迫ってくるぞ。さあ、小走りだ。
小高いところに出る。景色が突然開けて、草木湖全景が見渡せる。
あのはるか彼方に目的の沢入駅があるのだ。
とちゅう、美しいニホントカゲなどが・・・・
普通見かける茶色い奴は、本当はカナヘビという。こいつのように、
ヌメっとした金属光沢の奴をトカゲというのだ。
ふう、喉が乾いた。冷たい水が欲しいよう。と思ったら、人家が
あって、なんと庭先に、湧き水が!それも旅人が飲めるように
コップまで据え付けてある!ああ、世の中には本当にご奇特な
方がいらっしゃるのだ。ええ、もちろん鮮烈な冷たい湧き水を
ごくごくと飲ませて頂きました。本当に「甘露」。人間、最後の最後に
欲しがるのが「水」、いわゆる「末期の水」というのが実感としてわかる。
飲み終わった後、そのありがたさに、思わず手を合わせて
しまったのだが・・・・・庭で人の気配を感じてよく見ると、庭でこの
家のおばあちゃんが、僕を見て微笑んでおられた。うううう、顔から火が。
今日はよく顔から火が出るのう。
途中、直径2m位ある巨大パイプが崖を下ってくる。これはなんだ。
このパイプの終着点を見てわかった。これは発電所。
この草木湖、水が豊富なだけあって、小さな水流が数多くあり、小水力発電
をけっこう行っているのかもしれない。
なんとかかんとか、わたらせ渓谷鐵道の線路を発見。沢入駅も近いぞ。
ここは踏切。色とりどりの花々が咲いている。旅人のために、こういうのを
植えている人たちの気持ちが伝わってくる。さっきの「水」といい、疲れた
心に染み入るなあ。
さあ、どうにかこうにか、沢入駅に到着!列車が着く8分前。いろいろ寄り道していたから
一時間に6キロぐらいの小走りペースで来たことになる。今度は泊まりで2、3日かけて
ゆっくり回りたいね。
この「駅名票」がいい。草木に囲まれてしまっている味のある「沢入」という駅名票。
さあ、夕刻、時間通りに列車が入ってきた。
これからの計画は・・・・・・
実は、わたらせ渓谷鐵道には、温泉がある駅があるのだ。水沼駅というのだが
来る途中、トロッコ列車から撮影していたので、昼の姿をお見せしよう。
ここで今日一日の汗を流して、ビールをキューっと一杯、とか
思っているのだった。そう、ここは駅内に露天風呂や、食堂も
ある。
で、やっと到着。
温泉は・・・・・さすがにお客がいて写真が撮れなかった。ごめんなさい。
で、温泉で汗を流して、食事処に向かったのであった。ああ、夕食を
食べながら、ジョッキ生ビールをキューっと!
と・こ・ろ・が・・・・・「本日、貸し切りのため、食事処は休業とさせて頂いて
おります。」と。温泉の受付で聞いたら、この後、駅弁を売っている駅は
一切ありません!とのこと。柏駅には深夜12時ごろつくのだが、それまで
何も食べられないということか!
捨てる神あれば、拾う神あり。僕の切符は、「周遊フリーきっぷ」なのだった。
つまり、途中下車可能な、駅から出られる切符なのだ。
私は、すぐに水沼駅を出て、駅前の居酒屋に向かった!
おお、なんだか、店の方々が店から出ていて遠くの花火を
見物している模様。
さて、時間は30分しかない。すぐに生ビールと丼物を注文。
いつの間にか、お店の方々ともすっかり友達となり、
丼物が出るまでの間、「イノシシの焼き肉」とか、他の方々の
注文品を「ツマミ」にちゃっかり頂戴しちゃったりしつつ、まるで
何十年もこの店に通い続けた常連のようなでかい顔をして飲み
まくったのであった。しかし、残念ながら列車の時間は残酷な
もので、もう店をでなければならない。
「寝袋あるから泊まっていきなよ」と引き止められたのでは
あるが、再開を約束しつつ後ろ髪ひかれる思いでお店を後に
したのであった・・・・・(後ろ髪、最近薄くなっては来ているけどね)
さあ、帰りの列車。
本当に私以外、誰も乗っていないぞ。
で、相老の駅で乗り換え。その時出ていた月。
ああ、本当に、いろいろあった、長い、長~い一日だったな。
たった一日なのに、朝からのいろんな出来事が胸を去来する。
また来よう。今度は違う季節に。沢入駅で出会った
地元のおじいさんは、「ここは春先が最高だ。花桃の花がそれは見事
なんだよ。」と言っていたから来春にでも来るか。そしてまたあの居酒屋
にでも立ち寄って見よう・・・・・・
終