いきなり巨木。
その下にお地蔵様が。この森を昔から守っているのかもしれない。
さて、このまま森をさまよう。かなり広いぞ。あとで調べたら
「佐倉市民の森」というのだそうだ。ほとんど、いや、まったく
手付かずの森だ。ベンチひとつ見当たらない。本当はこういう
森のほうが好きだったりする。
途中、大振りの枝がぶら下がっている。
その朽ち欠けた枝の上部に「キノコ」が・・・・
こうやって森の木々は分解され、土に返っていく。
さて、そろそろ時間だ。森を出て、田んぼの脇の道をサイクリングして
帰る。その途中、やたら目立つ赤い花に出くわす。
これは、「タチアオイ」
怪我の治療等に遥か太古から使用されていた薬草だ。
この「タチアオイ」と人類の関係は長く、深い。
イラクの『シャニダール洞窟』から5万年前のネアンデルタールの
化石が発見されている。そして驚くべきことに、その化石とともに
にこの「タチアオイ」の大量の花粉も発見されたのだ。
これは、どうやら、遺体とタチアオイの花をいっしょに埋めた結果
と考えられた。ここから、次の推論がなりたつ。
遺体と花を一緒にする、と言うことはネアンデルタール人は
「埋葬」をしていたと考えられるのだ。つまり彼らはすでに「人の死」を
悼む宗教的な感情を持っていたのだ。また、「花」に特別な意味を
見出すこともしていた事がわかる。現代の私たちが花を愛でる、もしくは、
「美しい」と感じるのと同じような感情を、5万年前のネアンデルタール
人も持っていたのかもしれない。
たぶん、人の愛とか、家族への思いとか、美しいものへの感動とか、
そういったものは、ずっとずっと昔の人間たちも僕たちと変わらなかっ
たんだろうな。というか、そういう彼らの尊い気持ちを、僕たちは営々と
受け継いで来たんだね。まあ、僕なんかは、5万年前にタイムスリップ
しても、きっとネアンデルタール人としてなんの違和感も無く生活して
いけたような気もするなぁ。