私は、この花には思い入れがあるのだ。「大きい1年生
と小さな2年生」という本があって、小学生の時読んだのだ。
この中で図体ばかりでかくて泣き虫の小学1年生の少年が
ホタルブクロがたくさん咲いているという「ホタルブクロの
野原」を目指してたった一人で出かけるのだ。
それもいつも優しくしてくれる1年上の先輩の女の子の
ために。
弱虫の彼にとってはこれは大冒険で、その間に、彼は
みちがえるように成長する。そんな話だった。
ホタルブクロ、という名はその時初めて知った。
柏にまだ未開なところがたくさんあった時代、カブトムシを
取に行った森で朝霧に濡れた「ホタルブクロ」を見つけた
時は、この話を思い出して感動したものだ。「これが、あの
本にでてきた『ホタルブクロ』なんだな。本当に蛍を入
れて灯してみたいな。」とも思ったものだ。
今は、柏には、ホタルブクロなどまったくなくなってしまった。
で、ちょっといくと今度は「ソバナ」か。
キキョウの仲間だ。なんでこんなに綺麗な花が、野山に
いっぱい咲いているんだろうね。
とか写真ばっかり撮っているといつの間にやらN氏が
いない。先ほどまで「熊よけの鈴」が聞こえていたのに・・・・
そう、彼は「熊よけの鈴」も持ってきていた。
「こんなところに熊なんていないだろう。」というと
「ところがけっこういるんですよ。」と。
誰もいない山間。聞こえてくるのは野鳥のさえずりとセミの声のみ。
おっと、これはシカのフンだ。熊のフンには出くわしたくないな・・・・・・
さて、といっても、珍しいキノコ類がとにかくたくさん出てくる。
で、写真を撮らないわけにもいかず、下手にN氏を追うと
遭難しそうなので写真を撮って撮って撮りまくる。
これは、サルノコシカケの仲間、カワラタケだと思う。
これは、本当においしそう。だけど、毒キノコ。たぶん
クサハツ。臭初と書く。意味は「臭い初茸」と言う意味。
裂くと相当に臭い臭いを発するそうです。
裏はこんな感じ。ほぼマクロ専門デジカメリコーのCX4の
面目躍如だね。
これは自信がないけど、ヌメリスギタケモドキか?これは
食べられるみたい。
キクラゲの仲間かなぁ?キノコは専門外で本当に同定は
難しい。かなりいい加減なのはゆるしてね。
おっと、大量。ナメコみたい。毒はないけど、食料には向か
ない「ヒメカバイロタケ」ああ、このヌメリがうまそうだなぁ。
この粘菌みたいなのは、やはりキノコの仲間。
ハナビラダクリオキン。しっかり「菌」の名が入っている。
キクラゲの仲間みたいです。毒はないけど、食用にはむか
ないみたい。
これはたぶん「ヒトヨタケ」の仲間。一晩で自己分解して
液化することからこの名前がついた。ただ、種類によって
もっと日持ちするものもあるみたいです。ほんとうに、おとぎの
国の森に来た感じがするキノコ。なんか夜にでもライトアップ
して撮影してみたい・・・・・
と、一人ぷーたら撮影していたら、ズッボっと足がはまった!
それも太ももあたりまで。まったく身動きができない。
恥ずかしながら悲鳴を上げてしまった!けど、N氏はもちろん
誰も来ない。登山道から離れた林間で怖いのがこれだ。
倒木等があって段差や隙間があっても、落ち葉が積もって
まったくわからない、自然が作り上げた芸術的「落とし穴」に
なっている!今、熊に来られるとちょっとまずいな・・・・・・
マジで冷や汗がでた。
なんとか、自力で脱出したが、この後、この手の落とし穴に
4回はまった・・・・
一度など、はまりそうになって、思わず木の幹に手を押し付け
ようとしたら・・・・・これはヒルだな。ただ、気温が相当低く、あまり
活発に動けないようだった。
なにやら珍しい形の地衣類も。地衣類とは、菌類と藻類が
合体して共同生活を営んでいる生き物。実は地球上の生物
はほとんどこうやって他の生物と共存して生きている。
人間も腸内に乳酸菌等、1.5キロ以上の細菌を飼っている。
そこで、免疫機能等、いろんな役割をはたしてもらっているのだ。
便は、実は半分くらいは、この腸内細菌です。
もっというと、僕らが生きていけるのは、呼吸をしているから
だが、この酸素を吸ってエネルギーを発生させる、という呼吸
自体、「ミトコンドリア」という、細胞内に共生する別の生命体に
よるものなのだ。(あまりに長くミトコンドリアと共生してきた結果、
完全に飼いならされてしまって一体化してしまったが
遺伝子は別系統である。)
あまりに長くキノコや菌類の中にいたので、ナウシカの
「腐海」に飲み込まれてしまった感覚にとらわれてしまった
のであった・・・・・
※ 本文中にも書いたけど、キノコ類は同定が難しく、間違っていたら
ごめんなさいね。
続く