「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」
96分 日 1997年
監督 原恵一
製作 茂木仁史 太田賢司 堀内孝
原作 臼井儀人
脚本 原恵一
音楽 荒川敏行 宮崎慎二
撮影 梅田俊之
出演 矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治 こおろぎさとみ
郷里大輔 塩沢兼人 大滝進矢 山本圭子 筈見純 ほか
【完全ネタバレ】
でめたしでめたしの曙光。☆☆☆☆★
〔ストーリー〕
伝説の魔人ジャーク復活の鍵となる光るタマを拾った野原しんのすけ。落とし主であるオカマのローズたち3兄弟がしんのすけの行方を追う一方、もうひとつのタマを持つホステス軍団もしんのすけに目をつける。
だが、しんのすけの妹、ひまわりがタマを飲んだため、ローズたちは野原一家を拉致する事に・・・。
劇場版シリーズ第5作。
原恵一脚本、絵コンテ、監督作品。
タイトルからもわかるけど、全編「タマタマ」(笑)
物語は、
かつて、「珠黄泉(たまよみ)族」と「珠由良(たまゆら)族」によって魔神ジャークはハニワに封印された。
ジャークを復活させるには2つの光るタマが必要であるが、珠黄泉(たまよみ)族とホステス軍団によるその封印を解かんとする計画を、珠由良(たまゆら)族のローズらオカマ三兄弟が阻止しようとする。
ひょんなことからローズの光るタマを拾ってしまったしんのすけは、家に持ち帰ると妹のひまわりに取られてしまう。
野原家に入り込んだローズ三人組としんちゃんらは、ひまわりがそのタマを飲み込んでしまったことを知る。
珠黄泉(たまよみ)族の頭領、玉王ナカムレとホステス軍団の魔の手から逃れるべく野原一家はローズらと珠由良(たまゆら)族の本部へ向かうことに・・・。
といった感じ。
本作品から劇場版にしんちゃんの妹・ひまわりが登場する。
みんなから大事にされるひまわりに、しんちゃんが不機嫌になるところが何か新鮮で面白い(笑)
TV版のひまわりが登場するエピソードを知らないから、早く観てみたいな。
光るタマを飲み込んだひまわりをめぐって三つ巴の展開が流れるように進み、クライマックスの決戦場である、建設中の珠黄泉(たまよみ)族本部ビル屋上までまったくブレる事もダレる事もなく一気に駆け抜ける。
バランスが最高にいいんだと思う。
舞台を小気味よく変えながら、そこここに配置されたアクションもチェイスも長すぎず短すぎずでテンポがいい。
「クレヨンしんちゃん」らしいギャグも全編にしっかりと散りばめられ、クライマックスにおける野原一家と珠黄泉(たまよみ)族の子孫・ヘクソンとの決戦や、東雲と共に迎える勝利の中、しんちゃんとひまわりの画餅に帰すおバカぶり。
そして、いよいよ登場した魔神ジャークのオチも力が抜ける(笑)
今までの劇場版作品と比べてファンタジー性が薄れ現実的なストーリーとなっている事と、テンポとバランスの良さで作品全体がスマートな印象をうける。
ひまわりの涙の前で浄化される珠黄泉(たまよみ)族の用心棒・サタケや、さんざん馬鹿にされ続けながら最後の最後に力を見せる女刑事・東松山よねの存在も原恵一監督作品らしいのかなと思う。
改心したり、弱い者が勝利するという心地よい展開は、ピクサー・ディズニー映画に近いところがあるかも。
スケベな会話中に、みさえのひろしへの突っ込みにそっぽを向いて逃げを決め込むしんちゃんや、クライマックスの珠黄泉(たまよみ)族本部ビル屋上で、離れたところにいるしんちゃんにげんこつを食らわせにわざわざ歩いて行って戻ってくるみさえの、間のあるショットなどギャグの痛快さもいいなぁ。
あれだけの数の人物を登場させながら、それぞれにバランスよくポジションを与え展開させるのはやっぱりすごい。
映画用のキャラが多数登場するため、レギュラーメンバーの影が薄い。
ただ、女刑事・東松山よねがまつざか先生の代わりを務めてくれているようだけど(笑)
原作者・臼井儀人が自分役で登場。
ひろしに殴り飛ばされる(笑)
↑3DCGもいいけど、手描きの背景もいいよなぁ、やっぱり。