「野いちご Smultronstället」
91分 瑞 1957年
監督 イングマール・ベルイマン
脚本 イングマール・ベルイマン
音楽 エリク・ノルドグレン
撮影 グンナール・フィッシェル
出演 ヴィクトル・シェストレム ビビ・アンデショーン
イングリッド・チューリン グンナール・ビョルンストランド ほか
【完全ネタバレ】
孤独と死。★★★☆☆
〔ストーリー〕
名誉博士号授賞の式典の会場へ車で向かう年老いた医師が、道中でのさまざまな人々や出来事との出会いを通じて人生というものを悟る姿を見つめる。
「夏の夜は三たび微笑む(1955)」、「第七の封印(1957)」の成功で国際的な名声を得たベルイマンが、映画製作会社から全面的なバックアップを得て製作した作品、だそう。
ここんトコ、ベルイマン監督の映画を観ていた。
観た順に書いていこ。
本作は、孤独を愛するイサク老教授が名誉学位の授与式に向かう道中、さまざまな人々との出会いや自身の過去、悪夢と向き合う事で人生を見つめ直すロードムービー。
正直、ようわからん(笑)
どうって事ないんだけど、たしかに余韻というか、観終わった後や翌日もいろいろ考えさせられたのは確か。
でも、特別にびっくりする程のものを受け取る事は僕には出来なかった。
冒頭のイサク教授が見る夢が面白くて、ちょっとデイヴィッド・リンチっぽいというか「恐怖の足跡(1962)」みたいな昔のモノクロのB級ホラー映画っぽくて「おっ、いいぞ」と思った。
独特の雰囲気と死への恐怖が感じられていい。
輝かしい名声や実績とは裏腹にイサク教授の人生は、愛のない空しいものだった。
かつて実弟に婚約者をとられたこと、妻の不貞、そして息子が彼の妻とうまくいっていないのは自分のせいであることなど夢や追憶、少ない対話で明かされていく。
人間が短時間で変われたらこんなにいい事はなくて、大抵同じ事を繰り返す。
劇的に人が変わってしまうのは映画ならでは、かも知れない。
そういう意味では現実的な演出なのかもしれないけど、イサク老教授が変わっていく様子やエンディング(映画のしめ方)がわかりにくい。
ヒッチハイカーの女の子と二人のボーイフレンドという若い三人組がイサクの心を照らしていくが、この二人の男が「神はいる、いない」で激論しケンカとなる。
ベルイマン監督の作品をいくつか観た今からすると、わざわざこんなシーンを入れるなんてらしいな、とニヤリ。
ベルイマン監督のテーマはどうも、「信仰」と「死」のようだ。