宮崎駿監督関連の漫画映画 その2。 | 江戸の杓子丸

江戸の杓子丸

化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書




Aプロダクション・東京ムービー時代(1971~1973年)


【完全ネタバレ】




「パンダコパンダ」


34分 日 1972年


監督 高畑勲(「演出」名義)


制作 東京ムービー
脚本 宮崎駿(原案&画面設定兼任)
音楽 佐藤允彦
撮影 東京アニメーションフィルム
編集 井上和夫
出演 杉山佳寿子 熊倉一雄 太田淑子 ほか


宮崎監督は脚本、美術設定、画面構成、原画を担当。





☆☆☆★★



「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」


38分 日 1973年


演出 高畑勲


制作 東京ムービー
脚本 宮崎駿(美術設定&画面構成)
音楽 佐藤允彦
撮影 清水達正
編集 井上和夫
出演 杉山佳寿子 熊倉一雄 丸山裕子 太田淑子 ほか


宮崎監督は脚本、美術設定、画面構成、原画。





☆☆☆★★


しばらく一人でお留守番をすることになったミミ子ちゃんは明るくしっかり者。


ある日突然パンダの親子パンちゃんとパパンダが現れる。

パパンダは両親のいないミミちゃんのパパになってくれるという。
そして、ミミちゃんはパンちゃんの母親になるのだった。



藤子不二雄先生の漫画のように日常生活に突然非日常がやってきて、ドタバタの楽しい毎日が始まるという展開。


中国から上野動物園へやってきたパンダが一大ブームとなり、それに乗って企画された作品だそうだ。


とにかく、可愛いキャラクターデザインが最高で、主題歌「ミミちゃんとパンダ・コパンダ」は一度聴いてしまうとしばらくず~と歌う事になってしまう(笑)





どうって事のない洗濯や料理のシーンがどうしてこうも面白くなるんだろう。


やたらとカレーライスが出てくるけど、当時の食卓をなんか想像できる(笑)
「バーモントカレー」かな(笑)?


ウィキペディアで見てみると、当時日本で流行していた米国・バーモント州に伝わる民間療法でりんご酢とはちみつを使った「バーモント健康法」なるものが由来なのだそうだ。


それでバーモントカレーか。


僕がどわい好きだった河合奈保子すゎんもCM やってたんだなぁ。


YouTubeにあった。
こうやって見れるから、好きだ。この現代が。


Upしてくだすった方、ありがとうございます。





逸脱した(笑)


「雨ふりサーカス」では、大雨の末、大洪水となる。


「ルパン三世 カリオストロの城(1979)」しかり、「未来少年コナン」、「崖の上のポニョ(2008)」しかり、大洪水が混乱を飲み込み浄化する展開は少々手荒い。


手塚治虫先生もそうだけど、ヒューマニストのように言われるけれど実際両者とも人間が嫌いなんでしょうね。


う~ん、嫌いというか俯瞰して見る事ができる分、苛立ちがあるのかも。


大洪水でリセットしたいという事かな。



大洪水による選択が行われるというお話は旧約聖書のノアの方舟にあるけれど、宮崎監督の場合は結局選択は行われない。


たいてい、みんな助かってしまう(笑)


「風の谷のナウシカ(1984)」では王蟲の海に飲み込まれるのはナウシカ一人で、これはキリストなんだろうけど、正義も悪も死ぬことはないし、自然と人の和解を果たしたナウシカも生き返ってしまう。


こういうところが好きで、性善説に基づくというか、自然の保護のもと未来を信じて生きていかねばならないという強い意志はこの「パンダコパンダ」にもやはりあって、見ていて全身があったかくなる。



恐怖の大事件を魅力的なファンタジーの世界と変えてみせ、新たな世界は少年少女の正義が貫かれる事によってもたらされるという展開は、宮崎ブルーの青空のように爽快で、あのカタルシスが宮崎ホリックにするんだよな(笑)


一つ作品を観ると、かならず他の作品も観たくなってしまう(笑)





とにかく、かわいいし、よく動く。


「宮崎走り」なんて言葉があるけど、とにかく心が解放されるあの疾走感と痛快さが気持ちいいですよね~。


日常生活を丁寧に描こうとする高畑監督のもと、宮崎さんがどれだけはずれてみせるかの脚本づくりだったのだろうなと想像した。



「パンダコパンダ」の方には、「ルパン三世」や次元大介、「オバケのQ太郎」もカメオ出演する。


これはAプロや東京ムービーが「ルパン三世 1stシリーズ」や「Qちゃん」を制作していたためのお遊びだそう。


山田康雄さんがおまわりさん役で出演しているけど、不思議と山田さんがやると一介のおまわりさんが粋になってしまう(笑)






テレコム・東京ムービー新社時代(1979~1982年)



「劇場版 名探偵ホームズ 青い紅玉の巻/海底の財宝の巻」


46分 日 1984年


監督 御厨恭輔 宮崎駿


制作 東京ムービー新社 RAI 
原作 アーサー・コナン・ドイル
脚本 片渕須直
音楽 村松邦男
撮影 高橋宏固
編集 瀬山武司
出演 柴田侊彦 富田耕生 信沢三恵子 大塚周夫 ほか


宮崎駿監督作品。





☆☆☆★★



「青い紅玉の巻」のストーリーは、


突如あらわれた怪鳥プテラノドンにロンドンの街は大混乱。


そのすきにモロアッチ教授は宝石店にある青い紅玉を頂くが、スリの少女ポリィにスられてしまう。
その宝石の行方を追うホームズとワトソンはモロアッチ教授に追われるポリィを助けるのだが・・・。



緻密な画面や舞台設定とキレのいいスリルとユーモアあふれる物語がなんとも宮崎監督らしいと思っちゃう。


美術の美しさやヒロインの凛とした強さと上品さ。


破壊と混乱のチェイスや無駄に?(笑)すごいモブシーンや軍艦が出てきてお決まりのモールス信号(笑)




TVシリーズはレンタルされていないようですね。


発売はされてるのかな。全部観たいなぁ。

昔観たと思うんだけど、全然覚えてない。





1981年にイタリアのRAIと東京ムービー新社の合作でTVシリーズとして制作を開始したのだが、諸事情により制作は中断されたそう。


この2編が「風の谷のナウシカ」と同時上映として陽の目を見ることになった。



何故犬なのか、はウィキペディアによるとイタリア側の強い要望によるものだそうだ。


宮崎監督は納得できなかったが、しぶしぶ受け入れたという。