招かれざる客 Guess Who's Coming to Dinner
108分 米 1967年
監督 スタンリー・クレイマー
製作 スタンリー・クレイマー
脚本 ウィリアム・ローズ
音楽 フランク・デ・ウォール
撮影 サム・リーヴィット
出演 スペンサー・トレイシー シドニー・ポワチエ
キャサリン・ヘプバーン キャサリン・ホートン
セシル・ケラウェイ ビア・リチャーズ ほか
【完全ネタバレ】
何故、父親ばかりが損をする(笑)。★★★☆☆
〔ストーリー〕
世界的にその名を知られる黒人医師ジョン(ポワチエ)はハワイで知り合った白人女性ジョーイ(C・ホートン)と人種の壁を越えて結婚を誓い合い、互いの両親の許しを得るためサンフランシスコのドレイトン家を訪れる。
最初戸惑っていた母も、娘の喜ぶ様子を見て次第に祝福する気になるが、父マットの心境は複雑だ。
やがて、ジョンの両親プレンティス夫妻もかけつけるが、彼らも息子の相手が白人とは知らされていず愕然とする……。
第40回アカデミー賞脚本賞・ウィリアム・ローズ、また主演女優賞・キャサリン・ヘプバーン。
キャサリン・ヘプバーンはオスカーを演技部門で4度受賞したただ一人の俳優だそうだ。
また、スペンサー・トレイシーは劇場公開を待たずに、亡くなったそう。
本作におけるスペンサーのルックスが「カールじいさんの空飛ぶ家(2009)」のカールじいさんにそっくりでウィキペディアで見てみると、やはり本作のスペンサーをモデルにしたんだそうだ。
この第40回アカデミー賞において作品賞は、「夜の大捜査線(1967」が受賞。
これも人種(黒人)差別を扱っていて、シドニー・ポワチエは両方の作品に出演。
1968年、キング牧師が暗殺されたため授賞式が延期されたそうだし、6月にはロバート・ケネディも暗殺される。
ウィキペディアによると、(キング牧師いわく)ベトナム戦争時に黒人と白人が同じ戦場で、また同等の立場で戦ったことが皮肉にも人種間の距離を埋める要因の一つになったという。
正直、それほど面白いと思わなかった。
人種や世代によって、感想はバラバラだろうと思う。
ただ劇中語られる通り、偏見や反感と戦った異人種間カップル達がいたからこそ、今の価値観があるワケだよなぁ。
一番印象に残ったのは、常に涙目のキャサリン・ヘプバーン。
実際涙を流すシーンも多いのだけど、いつも眼がキラキラしている。
本作の撮影後スペンサーはすぐ亡くなったそうで公私が入り乱れていたのかもしれない、と勝手に推察。
白人女性ジョーイ(ホートン)は婚約者の黒人医師ジョン(ポワチエ)とサンフランシスコにある実家に戻ってきていた。
両親から結婚の承諾をもらおうというワケだが、夜にはスイスへ飛ばなければならない。
それまでに賛否を聞かせて欲しい、というジョンら。
ジョンの両親も駆けつけ混乱は大きくなる。
この夜までに結婚の賛否を決めなければならない、という時間制限が物語のカギ。
ジョーイの父親マット(トレイシー)にとって、娘の婚約者はたたでさえ招かれざる客なのに、その上黒人であるという。
マットは人種差別と戦ってきた新聞社社長だが、自分の娘が黒人男性と結婚するとなるとやはり諸手を挙げて賛成することはできない。
最終的に、父親マットは結婚に賛成する。
この決断のキッカケがどうもあいまい。
熟考の末、という事なのだけれど映画では観てわかりやすい何かが欲しいな、やっぱり。
マットが窓の外から、きっとうまくいくはずだと未来を信じ、幸せの笑顔を溢れさせる娘・ジョーイを見て憂うより信じようと心を決めたという事か。
悩むマットが外の空気を吸おうと妻のクリスティーナ(ヘプバーン)とドライブに出る。
アイスクリーム屋に寄るが、若い連中のたまり場になっている。
駐車場に並ぶ車が当然どれもクラシックのアメ車なんだけど、どれもかっこいい。
ガムをクチャクチャ噛む女の子が注文を取りに来るんだけど、いかにものキャラで笑える。
ジョンの母親がマットに言う。
「男の人は年を取ると恋愛をした昔を忘れ、燃えカスとなって心ではなく問題しか見ようとしない。」
マットはのちに返す。
「家内に抱いた情熱はジョンに負けるものではない。その記憶だって決して薄れてはいないし、死ぬまで忘れる事はないでしょう。」
マットを見つめ涙するクリスティーナ。
そのままスペンサーのキャサリンへの想いとカブるのだろうなぁ。
「花嫁の父(1950)」にスペンサーが出演しているのか。
観たいなぁ。
娘の結婚には、やはり母親より父親の方が異を唱える確率は高いんかな。
憎まれ役はいつも父親だな(笑)