ミラクル7号 長江7號
2008 香港 88分
監督 チャウ・シンチー
製作 チャウ・シンチー
脚本 チャウ・シンチー ヴィンセント・コク ツァン・カンチョン
サンディ・ショウ・ライキン フォン・チーチャン
ラム・フォン
音楽 レイモンド・ウォン
撮影 プーン・ハンサン
出演 チャウ・シンチー シュー・チャオ キティ・チャン
ラム・ジーチョン ほか
【完全ネタバレ】
根底にあるのはチャップリンに通じる暖かさ。
★★☆☆☆
〔ストーリー〕
父ティーと2人で超ビンボー暮らしをする小学生のディッキーは、ガキ大将の持つ最新ロボットペットを見て、自分もほしいとティーにねだる。しかしティーがくれたのはゴミ捨て場で拾ったゴムボールのようなものだった。が、実はそれはUFOが置いていった生物で、ディッキーは「ナナちゃん」と名付け、その生物の未知のパワーに期待を寄せていくが……。
他の作品に比べると爆発力はないけれど、らしさを感じられるし楽しい映画だった。
この監督の笑いのテイストは、なんとなく鳥山明さんを連想させる。
ハエやゴキブリを登場させる小汚さやカンフーを交えた漫画のようなケンカシーンは「来た来たっ(笑)」とテンションが上がる。
主人公ディッキーをのす用心棒のようなデカイ男の子が報酬のアメをサッと受け取り去っていくスローモーションの画は何度でも見たい(笑)
宇宙人のロボット犬?、ミラクル7号のデザインにしても宇宙船のショボさにしても、はずしどころが楽しい。
機能停止してしまった姿はもろ人形で(笑)、その姿を見ていたディッキーくんは突然勉強を始める。7号を直そうと勉強をして立派な技術者になった、というオチかと思えばすかされ、なんとも可愛いオチ。
ディッキーくんの7号への要求がメチャクチャで可哀想になるけど7号が何の暗喩であれ、わがままで粗暴な人間に振り回されながらも、けなげに要求に応える姿は微笑ましい。
カンフーやチャイナドレスに愛国心を感じたり、「大人には言わない」という子供世界の仁義や工事現場主任との関係といったちょっとしたシーンに何故かホロリとさせられる。
社会的弱者の視点、そして親子愛。根底にあるやさしさが大きな魅力だなぁ。
下ネタギャグがほとんどない上品さは監督の人間性かな。
建設途中の高層ビルで弁当を食べるチャウの登場シーンは「いいなぁ」とその後への期待が高まったんだけど・・・。