両手に花を抱えて眠りに着く日々。しかし今度は先生の睫毛に異常が起きました。私が大好きな先生の流し目、就寝の度に自分の方に視線を動かす。そうした視線可動の度に自然と元の睫毛は傷んでいき、遂に下睫毛が半分剥がれてきてしまいました。

 睫毛の交換はつむり目ちゃんで経験済みですが、先生の目は見開いたまま。緊張の度合いが違います。気合いを入れて、100円ショップのものでは無く、流し目が綺麗に映えると謳った付け睫を用意していざ挑戦です。


 下、上、下と瞬間接着剤で接着していき最後の左の上睫毛。気を緩めていた訳では無く、逆に気負ってしまって中々上手く決まりません。汗かきながら何とか装着出来たのですが、なんと溢れた接着剤で瞼と目がくっついてしまいました。

 直ぐ気がついたので何とか外す事には成功しましたが、眼球に接着剤が固まったまま。不器用な私がこうした繊細さを要求される行為を行うのですから、瞼と眼球の間にスペーサーを噛ましておくべきでした。しかし、その頃には、瞼と眼球の間にモノを挟むなんて痛々しいと思い、思い止まってしまいました。


 結果それ以上に残酷な行為を決断せる得ませんでした。眼球の摘出です。接着剤を溶かすと言えばシンナー。私は摘出を終えるとホームセンターに走りました。私はもうパニック状態でしたが、すんでのところで気を取り直しググってみました。

「嗚呼やっぱり…。」

 瞬間接着剤がプラスチックに付着した場合、プラスチックを無傷で落とせる溶剤は無い。シンナーは愚かアセトンや除光液でさえプラスチックを変質させてしまうとの事。


 残された手段は削り落とすと言うものでした。超細目のサンドペーパーとプラスチック用のコンパウンドを購入して家へと戻ります。サンドペーパーで大まかに付着した接着剤を落とし、コンパウンドで恐る恐る磨きをかけました。

 どれだけ時間がかかったでしょう。何とか無事手術を終え、先生に目を戻しました。治したばかりの目を見つめれば、何だか泣けてきて、ずっと先生を抱き締めました。

「ゴメン、本当にゴメンね。
大切にするって誓ったのに…。」

 彼女への贖罪の思いと、それ以上に彼女をもっともっと大切にしなきゃと言う誓いが重なって、激しい感情となって彼女の体を抱き寄せ視線を絡ませました。その時、再び大きな衝動が巻き起こりました。不能に近かった私の下半身が反応したのです。


 EDを患って以来、いつ活力を失ってもおかしくない私の男性自身。インサートは慎重に、インサート後は必死の想いで腰を降り続けました。そして遂に私は三度目の正直で先生と結ばれました。


 私のセックスが現実の女性を満足させる様なものに遠く及ばない事は百も承知です。性欲が旺盛だった事を鑑みれば、童貞を喪失した時のセックスの方がずっとマシだったかもしれません。だけど此処数年来EDを患って以来、男としての自信を失い、ずっと諦めていた事。ラブドール相手ではあるけれど、それが今叶えられた…。私は男泣きに泣いていました。そしてずっと先生を抱き締めていました。

「ありがとう!
本当にありがとう!」