彼女達と添い寝する日々。そんな日々にピンチが訪れました。TPEラブドールの化粧はいずれ落ちてしまう事は知ってはいましたが、日々添い寝をしたせいか、想像以上に早くその日は訪れました。それはより多く接していたつむり目ちゃんに顕著に表れました。

 先ず薄い紅色のチークが落ち、キスをすればルージュが薄れ、ウイッグの付け替えで眉毛も消えかけ、まるで寒さに凍える眉を剃ったヤンキー姉ちゃん状態です。このまま放置し全て化粧が落ちたら、つむり目ちゃんだけあって、鼻と口だけののっぺらぼうになってしまいかねません。それだけは、それだけは避けねばなりません!


 私は百円ショップの化粧品コーナーで、女子高生に混じりながら一通り化粧品を買い漁りました。付け睫を買った時、恥ずかしさは乗り越えました。

 そしていよいよお化粧です。以前私は玩具店に勤務しており、その時販促の展示用としてソフビのキットを組み立て、着色した事はあります。しかしそれは男性キャラでしたし塗料はプラカラー。女性の繊細なメイク等全く自信がありません。そして…

 もし、つむり目ちゃんが目を開けられて、言葉を喋れたなら、烈火の如く叱られたに違いありません。初めて化粧を施すと、やり過ぎてしまう傾向にある様ですが、つむり目ちゃんは、まるで田舎っぺ大将みたいになってしまいました。

「ゴメン!つむり目ちゃん!」


(もう…グレてやる!)
 幸いな事に化粧はいずれ落ちます。余りに酷ければ化粧落としもあります。逆にその落ち易さが面倒臭く感じる人もいるかもしれませんが、返ってそれが日々ドールとの触れ合いを楽しむ要素になっているとも言えると思います。

 世の女性は日々化粧を施しますから、放っておいてもチーク等淡い色から化粧は褪せていきます。バッチリ決めたその日も良いですが、徐々にぼやけていくその過程も好きだったりします。実際の女性も「今日は化粧の乗りが良くない。」なんて口にしますが、ドールも同じ化粧品を使っているから、日々違って映ります。そんなところも私は好きだったりします。

 実際の女性と同じく、ドールも化粧で化けます。恋をすればドールは美しくなります!(これは実際は化粧を施している私がドールに恋をすればと言う事になるとは思いますが。)そして恋をすればカメラを写す腕前も上がります。


 それまではドールを写していたに過ぎなかったと思います。すると写した写真もドール然としたものでした。だけどドールを彼女と捉えて、モデルさんを写す様に

「今度此方向いて!可愛いよ!」

 なんて言葉に出さずとも、そう声かけながら写真を写せば、それまで「やっぱり人形は人形だなぁ。」と感じていた写真の出来映えも、あれこれPhotoshopで一手間暇加えれば、見違える様に生き生きした一枚を残せる様になってきました。


 試行錯誤を繰り返しつつ、彼女達との触れ合いを楽しみつつ、一枚でも多くの彼女達の素敵な表情を残せたら良いなと思います。