<食した寿司ネタ:店の個性が出ますので、供された順番に記します>

鮃(噴火湾)、中トロ、甘海老(松前)、ヤリイカ、つぶ貝(噴火湾)、毛蟹、サヨリ(上磯)、北寄貝(苫小牧)、鱒の介(噴火湾)、キタムラサキウニ(函館)、ボタン海老(噴火湾)、鯖(青森)、ヒラマサ(大分)、穴子(北海道)、関アジ(佐賀関)、しらかわ(長崎)、玉子焼き(2種)・・・16貫とヒモキュウ(閖上)1本

 

<スタイル>

おまかせ10貫+追加注文6貫+ヒモキュウ1本

 

<写真撮影>

基本NGです。カウンター席に撮影NGと禁煙の表示があります。ただし、無理を言って、1枚のみ13貫目のヒラマサの写真を撮らせて頂きました。他のお客がシャッター音で不愉快な思いをしないようにしています。他のお客がいなければ、ぜんぜんOKなようです。

 

<大将について>

親方の金丸正善氏は、昭和38年創業(54年目)の梅乃寿司の2代目で、今年47歳になるそうです。札幌の名店「すし善」で寿司を学び、7年間の苦しい修業を終え、2代目となりました。それとまだ初代もつけ場に立つし、何より弟さんと3名で伝統を守っている点がうらやましい限りです。

 

今回数ある函館のすし店より、こちらへ訪問した理由は、ブログ等の写真を見させて頂き、創作的なことをしていない正統派の江戸前寿司店であると確信し、お邪魔した次第です。

 

<寿司の特徴>

客層は地元の方が7割、観光客が3割だそうです。地元の方には江戸前のすしネタを全国各地から集めてお出しし、観光客には北海道の寿司ネタを中心にお出しするそうです。確かにおまかせで頂いた10貫は、中トロを除いてすべて北海道の寿司ネタでした。


次にある方のブログで、こちらの米酢が口に合わないとか、また他の方は酸っぱめの味とか書いてありましたが、そちらは味音痴と言うか、寿司をたくさん食べたことのない方のたわごとでした。なぜかを述べると。

 

まず、使っている酢について質問をすると、初代から使っている米酢であるとだけ教えて頂きました。こちらからミツカン、横井、京都のお酢屋(飯尾、村山)、マルカン酢等と直球で問い直しましたが、違うそうです。明確な答えがないので、それ以上聞くのはルール違反と思いやめました。

 

実はこの話をしている時に、親方がシャリ玉を出してくれて、味見をさせて頂きました。親方は曰く、酢と塩と少量の砂糖で配合しているだけだそうです。酸っぱめと言うほど酸っぱくもないし、老舗にありがちな、しょっぱくもないし、赤酢を使っている、尖っている感もありません。シャリだけでは特徴は少ないと思います。それは初代から通ってくれる長い付き合いのお客様もいるし、修業先のすし善などのコピーとなっても意味がないので、変えないものとも、おしゃっておりました。

 

それではお寿司について。握りの大きさは気持ち小さ目(銀座より大きめ)です。まず1貫目に出された鮃ですが、これを頂いた瞬間に素晴らしいシャリと思いました。それは鮃という輪郭のない白身を見事に表現しています。多くの寿司店で、白身からおまかせはスタートをさせることが多く、1、2貫目の白身に「旨い」という言葉をもらわないと、後はダラダラと負け戦となってしまうものです。だから品質の高いネタを使い、先制パンチでお客をうならせるわけです。シャリに合わない白身を1貫目に出すわけはないですが、自信のあるネタのはずです。

 

3貫目の甘海老ですが、先日谷中松寿司さんで頂いた物と同じように、昆布締めにしています。寝かせてねっとりした所に、昆布の滋味(昆布の風味はまったくしないレベルです)が加わり、とても美味しい(複合的な味)です。甘海老3匹を軍艦海苔帯にせず、そのまま握っています。見た目もそそられる握りで、写真を撮りたかった一品でもあります。

 

4貫目の槍烏賊には、梅乃寿司の独特の薬味が使われています。それは山わさび(西洋わさび)と野菜と出汁等で作られた物です。味そのものの表現(食感と見た目は生姜をおろしたようなもの)は難しいですが、だいたいコリコリ食感しか記憶に残らない槍烏賊の旨みを豪快に引き出しています。生の槍烏賊の旨みを再認識させられる一品です。10貫お好きな寿司を食べてください。と言われた時、槍烏賊って選ばないと思います。それを親方がおまかせにチョイスした理由がわかったような気がします。

 

5貫目に食べたつぶ貝ですが、ちょっと癖のある苦味がまったくしません。それを良しとする食通が多いですが、そうでない食材もあるのかもしれません。つまり物が良いのか、それともシャリに合っているのか、激ウマです。

 

6貫目の毛蟹は、身をほぐしてカニみそと和えたものを、そのまま握っています。こちらも何度か食べたことはありますが、その中でも上位ランクに入るものです。

 

8貫の北寄貝には、またも独特な薬味を使っています。通常柑橘類のカボスや酢橘を使うところに、マイヤーレモンという柑橘を使っています。これが肉厚の黒ホッキの旨みを倍増するような効果があり、ビックリさせられました。酢橘の清涼感って、それはそれでアクセントになりますが、魚介自体を前面に押し出す力はありません。間違いなく脇役です。でも大物脇役ですよ。マイヤーレモン。

 

9貫目は鱒の介です。江戸前寿司でサーモンを提供するのかという意見があります。私もそちら側の意見に近いです。ただ、この寿司ネタは、北海道の川を遡上したサケではなく、もちろん海面養殖したサケ(マス)ではありません。ロシアの川に戻るサケが噴火湾で泳いでいる時に捕獲されたものです。つまり天然物で、品のいい脂が特徴です。こちらには生姜とネギを叩いて合わせた薬味を使います。この薬味は脂が乗っている鯵などに使われるものですが、鱒の介(キングサーモン)の脂を抑え、旨みを引き出している感じがします。こちらに来た子供さんが、これを召し上り、ぜんぜん回転寿司と味が違うと言い放ったそうです。子供の味覚は大人以上だからね。

 

すしネタを詳しく学ぶ


常時30ネタ近く取り揃えているそうです。食した10貫と帆立とタラコが本日の北海道産のネタだそうです。恥ずかしながら北海道でも穴子が獲れることを本日知ることとなり、勿論頂きました。少し脂が薄いかもしれませんが、そこは江戸前仕事をバッチリしており、いつも穴子ですね。そして別注したボタン海老、鯖、ヒラマサ、関アジ、白甘鯛もとても美味でした。私は敢えて食べませんでしたが、小肌や赤貝、干瓢などの江戸前定番ネタももちろんおいています。白甘鯛やハタ、関アジなどを九州から引いてくるあたり、仕入れもしっかりしています。これだけ充実していますが、何と10貫で4.320円と値段設定にもビックリです。家賃が安いと言っても、こんな値段で提供できるんだと、他の寿司屋に疑念がわきます。それはさて置き、函館に足を伸ばすことがあれば、是非13席あるカウンターで、親方と話をしながら、寿司を組み立て召し上がって頂きたいと思います。親方と言っても、まったく威圧感がありません。観光客でも常連のように扱ってくれるはずです。北海道の寿司ネタについてとても詳しいので、北海道で高級寿司をつまんでいる感に浸れます。最高なディナーとなりますよ。

 

<本日の一貫>

ヒラマサ:このネタを握りとしては初めて頂きました。鰤、カンパチ、ヒラマサの3兄弟で一番旨いと言われています。基本夏の魚であり、伊豆諸島などで獲れるようですが、大きな魚のため、チェーン店以外ではなかなかさばけないそうです。それと入荷が不定期で扱いにくい。よってネタケースにはほぼ並びません。それを函館で食べることになるとはとても感動的です。

 

煮きりを塗る前は、きめの細かい白い肌で、脂が乗っている感じでした。腹側の部位と想像します。それをやや薄めに切っていることからも脂が多いんだとうと想像しました。しかし食べて見ると意外とあっさりした品のいい脂で、たくさん食べたくなる一品でした。新潟や和歌山、三重などでは供されるネタのようですので、もしネタケースに並んでいたら、是非食べて見てください。

 

<鮪の仲買>

やま幸

 

<予算>

総額 10.000円弱(おまかせ4.320円+別注)

 

<予約>

85日前

 

<基本情報>

住所:北海道函館市柏木町1番19号

電話:0138-55-3133

訪問日:2018年4月

 

<次回>

次回は予約が取れたら、鮨ます田に行きたいと思います。白浜温泉へ行くことになり、幸鮨の予約を取りました。