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今回アップされたのは
北九州市立医療センター外科の
光山昌珠先生の乳腺外科領域の1本


「センチネルリンパ節生検を伴う乳房温存手術」


患者は77歳女性で、右外上方部に1.0cmの腫瘤を触知し、MMG、 USでも悪性と診断され、MRIでは明らかな乳管内進展はない。針生検で硬癌と診断された。I・Cのもと乳房温存手術を希望し、又放射線同位元素と色素法2者によるセンチネルリンパ節生検に同意されたため、手術前日、フチン酸テクネシウムを乳輪下に注入し、腋窩に集積のあることを確認した。手術前日超音波下に腫瘤をマーキングした。
手術当日、最初にネオプローブにて前日腋窩に集積を認めたセンチネルリンパ節を同定し皮膚上にマーキングし、次に色素のICGをインジゴ4mlで溶かし、2mlずつ乳輪下と腫瘤近傍に注入し、蛍光カメラにてリンパ管の流れが腋窩に向かっていることを確認。その流れを皮膚上にマーキングする。リンパ管の先端はセンチネルリンパ節と思われる放射線同位元素の取り込みのある部位と一致していた。腋窩より乳房外縁へ向かう皮膚切開線をマーキングし、腫瘤外縁より1.0cmのマージンを取るように切除範囲を決定し、色素で乳腺内にマーキングする。センチネルリンパ節を切除するために皮膚切開線の頭側で小切開を加え、色素で染まったリンパ管とその先に染色されたセンチネルリンパ節を同定し、切除する。ネオプロ-ブで放射線同位元素が取り込まれていることと蛍光カメラで色素の取り込みを確認し、転移の有無のため迅速診断に提出する。転移陰性であったので、乳腺部分切除に移る。皮膚切開線を延長し色素でマーキングした乳腺切除範囲まで十分に皮下剥離。色素を目安に乳腺を円状に切離し大胸筋の筋膜も合併切除する。乳頭側は一針かけ病理診断のためのマーキングとする。切除標本は標本撮影に提出する。温存乳腺の乳頭側、内側、足側、頭側の断端に癌がないかどうか乳腺組織を一部迅速標本に提出する。創部を十分に洗浄する。標本撮影でも断端は十分であり、病理学的にも断端は陰性であったため、温存乳腺を寄せ合わせ縫合する。皮膚にひきつれがないように十分に皮下剥離を行い、皮膚切開創は埋没縫合し、手術を終了する。

センチネルリンパ節生検:
sentinel lymph node biopsy。SLNB。乳がんはわきの下のリンパ節に転移をすることがあるが、実際には取らないと転移のあるなしがわからない。手術後の補助療法を決めたり再発を防ぐ目的で15個から20個のリンパ節を画一的に手術のときに摘出することが標準的な治療とされる。しかし、腋窩リンパ節郭清後は腕のむくみや肩関節の運動障害などの後遺症が出る場合もある。乳がん患者のうち、実際にリンパ節転移があるのは40%ほどで、残りの60%は転移が無いのに腋窩リンパ節郭清を受けることになる。ここで注目されるのが、センチネルリンパ節生検という検査方法。乳房のがんがリンパ管を通じて最初に流れ着くリンパ節がセンチネルリンパ節であり、ここに転移が無ければ、それ以上のリンパ節の摘出を省略する。放射性同位元素を乳房に注射し、さらに色素を乳房に注射。手術の際にわきの下に切開を置き、色素に染まったり、放射性同位元素が集まったリンパ節(通常1から数個)を摘出し、手術中に転移が認められなければその後のリンパ節摘出は省略する。


MMG:
mammography。マンモグラフィ。乳癌の早期発見のための乳房X線撮影装置。


US:
ultrasonography。超音波検査。


針生検:
ボールペンの芯ほどの太さの針で病変を刺し、ある程度目に見える大きさの組織を採取し、顕微鏡で検査をする。細胞診と比べ、全体としてその構造を観察することで正確に診断することができる。


硬癌:
乳癌は、乳腺を構成している乳管や小葉の上皮細胞から発生した悪性腫瘍。
硬癌は癌細胞が乳管や小葉を包む基底膜を破って外に出ている浸潤癌の一種。乳癌症例の約半分を占めることから、乳癌全体に占める硬癌の比重は高い。浸潤が激しくリンパ節転移をしばしば伴い、予後も不良。


I・C:
医療行為(投薬・手術・検査など)において、患者が治療の内容について十分な説明を受け理解した上で(informed)、施行に同意する(consent)事。


フチン酸テクネシウム
放射性同位元素テクネシウム99mをフチン酸でラベルしたもの。フチン酸はリンパ管に取り込まれやすく、転移しているとすれば、その癌細胞が通ったと考えられる経路を通って、フチン酸が、腫瘍からのリンパの流れを最初に受けるリンパ節、すなわちセンチネルリンパ節に取り込まれる。結果、リンパ節は放射線を出すようになり、X線感知器を用いて、リンパ節に局在同定が可能となる。


ネオプローブ:
生化学試料に標識した放射性指示薬から発する放射能を測定する機器。


ICG:
インドシアニングリーン。本来は「ICG試験」でよく用いられる物質。肝機能や肝予備能を知るための検査として広く行われている色素負荷試験で、一定量のICGを経静脈的に投与して、何分か後に血中のICG濃度を測定し、どのくらい血中に残っているかを測定する。今では脳血管、冠動脈、リンパ節、胆道造影、肝臓の区域特定などに、安全で簡便な方法として注目されている。同時にタンパク質と結合すると蛍光を発する特性を持っている。


インジゴ:
インジゴカルミン。色素検査に用いられる水溶剤


光山昌珠先生のプロフィール】
●略歴
1969年九州大学医学部を卒業し、同附属病院で研修後九州厚生年金病院麻酔科を経て、1971年8月より現北九州市立医療センター前身の小倉病院外科に勤務し、2008年4月北九州市立医療センター院長となる。
乳腺・甲状腺外科が専門で、特に乳癌の診断、手術、薬物療法でのオピニオンリーダ-である。
2004年第12回日本乳癌学会総会を会長として北九州市で開催した。
現在、日本乳癌学会監事、日本乳癌検診学会理事、NPOマンモグラフィ精度管理中央委員会理事など種々の学会、研究会の役員である。
厚生労働省班研究の班員としても活動している。


●PR
2010年11月19~20日に第20回日本乳癌検診学会総会を会長として福岡国際会議場で開催します。
院長として当院精神科常勤医師を募集しています。又緩和ケアに興味、熱意のある医師も募集しています(指導医はいます)。


日本乳癌検診学会 ホームページ
http://www.jabcs.jp/  


北九州市立医療センター ホームページ
http://www.city.kitakyushu.jp/page/hospital/center/  


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では、多領域に渡る手術動画を公開中。
まだまだ増えていきます。