上野の東京文化会館で、東京バレエ団の公演《ザ・カブキ》を見に行った。

今日は、由良之助役が初舞台の森川茉央の回で見た。

黛敏郎の作曲。
フランスの巨星モーリス・ベジャール振付による作品。
歌舞伎の仮名手本忠臣蔵を原作に、現代と江戸時代が錯綜する作品に仕上げており、「いろはにほへと・・・」の大幕や、四十七士の討ち入りの圧巻なフォーメーションが有名なベジャールの大作。

さすがは、我らが、東京バレエ団の代表作。
海外ツアーでも、よく、この作品が入っている。
昨年は、あのパリ・オペラ座でも、公演し好評を得ている。

今回、ダブルキャストの柄本弾と、森川茉央は、同い年。
2人は、先輩のアンダースタディを同時期に務めたけど、先に由良之助でデビューしたのは柄本弾だった。
森川茉央にとって、由良之助を目標にしていたので、心境は考えるだに出来ない。

やっと射止めた主役。

舞台に、まだ慣れていないのか、夢中で踊っていて、緊張しているのは分かるけど、前半は、本領を出し切れていなかった。

今年のベジャール振付《中国の不思議な役人》の無頼漢役で見た時の、メリハリやキレや豪快さに欠ける気がしてしまった。

後半は、舞台に慣れたのか、とても良くなっていて、本領に近づいたと思った。

グランジュテが、特に難しく、高岸直樹さんがパリ公演でベジャール自身から指導を受けたときに、肩を痛めて(脱臼だっけ?)しまったのは有名だが、そこ以外にも、細かな所作まで、非常に難しい振付をしていて、この頃は、よくパトリック・デュポンなど海外のスーパースターを由良之助役に客演させていたみたいだけど、今の東京バレエ団なら、客演は必要無い。

そういえば、同じくベジャール振付の、春の祭典で、今年は、柄本弾と森川茉央が二人のリーダー役を務めていたっけか。

柄本は、すでにクラシック・バレエやロマンティック・バレエでも主役をしているけど・・・。
・・・と言うのは、どうして東京バレエ団は、森川をクラシック・バレエの主役に抜擢しないのだろう?
森川のニヒルな、と言うか、シュールな、と言うか、あの役作りは、ベジャールに向いているのは確かだけれど、特に由良之助役は、クラシック・バレエを踊ってこそ、真髄を得られる役では無いか。
本人の意向もあるかもしれないけど、今回の舞台に満足せず、さらに幅広い役に挑戦し、森川なりの由良之助の新境地を見てみたいと思った。

顔世御前役には、渡辺理恵。この子、いつも綺麗。この役もしっくり来るな~。
妖精の役から、大和撫子まで、しっくり来る。
大きな見せ所の少ない役だけれど、今回の役には日舞の先生にも、教えてもらうようで、日舞の所作まで、よく習得していると思った。

直義役に永田雄大、塩冶判官役に松野乃知、伴内役に岡崎隼也、甚平役に梅沢紘貴、おかる役に吉川留衣、現代の甚平役に和田康佑、現代のおかる役に河合眞里、
おなじみの顔ぶれ。
今日は、アンダー30の日なのか?
オイラよりも年下の子しかいない。
カーテンコールで、舞台を見渡しながら、ダンサー達の若さに呆然としてしまった。

甚平役の梅沢紘貴、おかる役の吉川留衣のペアは、特に印象に残っていて、すごく綺麗に昇華していた。
現代の甚平役の和田康佑、現代のおかる役の河合眞里のペアも、役作りが良かったし、難しいリフトも流麗に仕上げていた。

そして、前回2年前に見た時よりも、更に更に全体のレベルが底上げされているのにも、驚いた。

好況も後押ししてか、東京バレエの評判を聞いてなのか、観客も、かなり戻って来たし、舞台のレベルの、あまりの高さに、感心させられた。

東京バレエ団
「ザ・カブキ」(全2幕)

◆主な配役◆

由良之助:森川茉央
直義:永田雄大
塩冶判官:松野乃知
顔世御前:渡辺理恵
力弥:竹下虎志
高師直:原田祥博
伴内:岡崎隼也
勘平:梅澤紘貴
おかる:吉川留衣
現代の勘平:和田康佑
現代のおかる:河合眞里
石堂:岸本秀雄
薬師寺:安田峻介
定九郎:野尻龍平
遊女:川島麻実子
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:高木綾
ヴァリエーション1:野尻龍平
ヴァリエーション2:入戸野伊織