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英国ロイヤルオペラハウスは中もこじんまり。

席数が初台の東京国立オペラと同じくらいのハズなのに、東京国立オペラより狭く感じる。
何故だろう。
なんとなく映像で荘厳な印象を受けていたから、実際の大きさよりも、広く勘違いしていたのだろうか。
うーん。

見た演目はR.シュトラウス作曲のエレクトラ。アングラ風オペラの最高峰。大好きな作品だ。極上の不協和音と凄惨な展開。

明らかに一般受けする作品ではなく、渋い。東京では、ほとんど上演される事は無い。
おそらくロンドンの保守的な地域性の感覚を考えると、ロンドンでも上演回数は少ないと思われる。

5泊の内、9/29日曜は何も上演されず、9/30月曜の英国ロイヤルバレエのオープニングガラは1ヶ月以上前にチケット手配したのに売り切れ(こちらはチケットがバカ高く、本当に上流階級や王族が買い占めるとの噂)。9/28土曜日はトゥーランドット、しかし9/28は他に行きたい公演がある。
9/27金曜日はモーツアルトのフィガロ←問題外で除外。フィガロは嫌い。しかも英国ロイヤルの演出で見たくない。多分、出来損ないのミュージカル風の演出。

そして9/27木曜日に上演のR.シュトラウス作曲の‘エレクトラ’に決定。

舞台演出も、英国ロイヤルの酷い演出の中では、アカデミックにアングラに作られた異色の作品で、演出にも期待出来る。

おー!!上演と共に幕が開くと、なかなか良い演出。
狂乱したタイトルロールの雰囲気や城の荒廃した感触、そしてラストの殺戮のシーンや、狂ったタイトルロールが、発狂しながら息を引き取るシーン。
ひぃ~!!サスペンスであり、ホラーでもあるオペラ。

でも、それが良く出来ていた。
血ノリ、リアル過ぎないか?と思うくらい。

舞台セットは、ギリシャ的だけど、実際のギリシャの晴れやかな雰囲気とは違って、暗くジメっとしていて、所どころ、現代的なセットがミックスされていた。

衣装もギリシャ時代の甲冑や布切れに、どこか現代を思わせる衣装もミックスされ、非常にセンスが良い。

オペラ、エレクトラはギリシャ神話がもとの題材。
エレクトラ姫の父王アガメムノンは母と母の愛人に殺害される。母に裏切られて父王を殺され、エレクトラ姫は狂気の世界に入り、物語が始まる。

最後は、戦場から帰還した弟を言いくるめて共謀し、母と母の愛人や取り巻き達を殺戮し、エレクトラ姫は狂喜乱舞の後、動かなくなる。エレクトラ姫の妹が弟を呼ぶ声が響き、なんとも考えさせられる中、幕がひかれ終わる。
ちょっと哲学的かも。

ちなみに哲学の世界ではファザコンの事をエレクトラコンプレックスと呼ぶらしい。

実際のギリシャ神話ではエレクトラ姫とアガメムノン王は同衾していたとか、なんとか。

歌舞伎の世界では江戸時代には、女殺油地獄を始めとして、殺戮のシーンが多いように思うけど、オペラの世界では、こういう凄惨なシーンは割りと現代20世紀に入ってからかなー。

でもローマ時代は、演劇で、物語で人が死ぬシーンで、実際に舞台の上で人を殺していたと言う記録が残ってるから、なんとも言えない。
いえいえ西洋の昔の文化が野蛮だったのではなく、古代文明はエジプト、メソポタミア、インカ、黄河、それに日本だって、昔は野蛮で非道な事があった訳で。

約1時間半で休憩無しの作品。

うん。この作品は休憩無しで一気に見る事に意味があるよ。
途中で休憩なんか入ったら作品が台無し。

ドイツオペラなので、途中で拍手や歓声が入らない事も作品に集中する事が出来る。

東京でも上演回数が少ないから始めて見た。

タイトルロールを歌うエレクトラ役は、ずっと出ずっぱりの歌いっぱなし。ソプラノ殺しとしても有名な役。
エレクトラ役はCHRISTINE GOERKE クリスティーン・ゴールクと読むのだろうか。
日本では、まだ無名のソプラノ歌手だが、なんともアッパレな声量と力強い高音の持ち主で圧倒される。
こんな難しい役を、ここまで歌い上げ演じきるなんて、すさまじい歌手だと思った。

エレクトラ姫の妹のクリソテミス姫も出番が多く、エレクトラ姫とは180度違った大人しく清楚な役。声もリリコ。ADRIANNE PIECZONKA アドリアン・ピークゾンカって読むのかな?引き込まれるような澄み渡った声で、声量もあり、すごく良い歌手だった。

母も、このオペラでは重要な役だが、正直、力量不足だった。

指揮者はアンドリス・ネルソンス。まだ日本では無名な若手指揮者。演奏は英国ロイヤルオペラオーケストラ。
さすが、レベル高く音にムラも無く、すごく難しい曲なのに管楽器がぶれない。
しかもプロでも演奏する事に必死になるくらい難しい曲なのに、ちゃんとロイヤルオペラ独特のオリジナリティを出して演奏しようとする所なんか、さすがで、文句無い。

そしてヨーロッパの乾燥した空気によって、クラシックの音色の美しさが断然に増すんだと、それにも驚き。楽器にとっても乾燥した空気って重要だ。

MUSIC(音楽) : RICHRD STRAUSS(R.シュトラウス)
LIBRETTO(脚本?) :HUGO VON HOFMANNSTHAL

CONDUCTOR(指揮者) : ANDRIS NELSONS(アンドリス・ネルソンス)

DIRECTOR,SET AND LIGHTING DESIGNS(演出?): CHARLES EDWARDS
COSTUME DESIGNS : BRIGITTE REIFFENSTUEL
ROYAL OPERA CHORUS

ORCHESTRA OF THE ROYAL OPERA HOUSE

FIRST MAID : ANNA BURFORD
SECOND MAID : CATHERINE CARBY
THIRD MAID : ELIZABETH SIKORA
FORTH MAID : ELIZABETH WOOLLET
FIFTH MAID : JENNIDER CHECK

OVERSEER : ELAIN MCKRILL

ELEKTRA : CHRISTINE GOERKE

CHRYSOTHBMIS : ADRIANNE PIECZONKA

KLYTAMNESTRA :MICHAELA SCHUSTER

CONFIDANTE : LOUISE ARMIT

TRAINBEARER : MARIANNE COTTERILL

OREST : IAIN PATERSON

オペラを見終わって英国ロイヤルオペラハウスを出ると危険なロンドンにいる現実に我に帰り、オペラハウスからすぐにタクシーを拾ってホテルに帰った。

着替えて、普段着のセーターにして、すぐ近くのコンビニにサンドイッチと飲み物を買いに行った。

ロンドンの人はお洒落しない。
東京のデパートで何気なく買ったセーターが、東京では普通のセーターなのに、ロンドンでは上等な金持ちセーターに見えるとは、この時は、まだ気付いて無かった。

思えば物の品質が悪く物価の高いロンドンで、いかにも上等な革靴を履いていた。
東京では普通の革靴なのに。