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東京文化会館で東京バレエ団の公演『オネーギン』を見に行った。
前回のブログに続いて、別キャストで。

シュツットガルト・バレエからプリンシパルのエヴァン・マッキーが来日し、タイトルロールを踊った。
一幕目の鏡のパ・ド・ドゥでは、驚異的とも言える、リフトを流麗に演じていたのが印象的だ。
ピルエットのトリプルを続けるところでは、カルティブルにするなど、技巧を見せ付けられた。
オネーギンのニヒルな雰囲気も、よく捉えていて、良い意味で無表情な感じが、役にすごくあっていた。

タチヤーナ役は吉岡美佳。やはり鏡のパ・ド・ドゥでの出来は、サポートの良さもあってなのか、実に良いシーンに昇華していた。

しかし、マッキーと吉岡の、ラストのパ・ド・ドゥでは、よくも悪くも模範的な演技で、正確さは、よく出ているものの、ややリハーサル不足なのか、ちょっと練習光景を見ているような気がしてしまった。「せーの!」って掛け声が聞こえてくるような感じの。
なので表現力の点で、やや難点が残ってしまった。
なので前日のようなスタンディング・オーベーションとまでは行かなかった。

前日の木村とユカリューシャのペアの名演技が、あまりにもすごかった事も、あるかもしれない。

レンスキー役で客演予定だったマライン・ラドメーカーは急遽、降板し、アレクサンドル・ザイツェフが客演した。
ザイツェフも、シュツットガルトでプリンシパルをつとめる逸材。
マッキーに比べると、背が低くて童顔なので実年齢よりも、かなり若く見える。どことなくあどけなさが残るので、20年近くもキャリアがあるベテランには見えない。
1幕目から安定した美しい演技に、惹きつけられた。二幕目のヴァリアシオンも、すごく良かった。難技の繰り返しなのに、自然と演じて、表現力に重きを置いているところは、さすがはジョン・クランコが育て上げたシュツットガルトのプリンシパルだなと、大いに感心しながら見ていた。

オリガ役の小出領子も、ぶれない演技で、すごく際立っていた。

東京シティ・フィルの演奏は、3日目とあって、前日の演奏よりも遥かに良い演奏で、1幕目から、迫力のある演奏だった。
もともとチャイコフスキーの音楽を拝借しているとは言え、恐らく編曲者が意図的に普段は演奏される事の無い曲ばかりを選んでいるので、多少は演奏にムラがあっても仕方が無いかもしれない。
今回の演奏は、管が特に絶好調で、クラリネットやフルートの音も、序盤から、すごく綺麗な音が出ていた。

総じて、精錬された良い公演で、とても楽しく見る事が出来た。

ちなみに音楽は、すべてチャイコフスキーから拝借しているようで、ピアノ曲の「謝肉祭」をオーケストラ用に編曲したものであったり、鏡のパ・ド・ドゥとラストのパ・ド・ドゥでは、歌曲「ロミオとジュリエット」を用いているようだ。ロミジュリを歌曲でも作っていたとは知らなんだ。
チャイコフスキーの研究者とかで無い限り、一般では演奏されない知らない曲ばかりだった。

「オネーギン」(全3幕)

ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく


振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディーター・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト


◆主な配役◆

オネーギン:エヴァン・マッキー

レンスキー:アレクサンドル・ザイツェフ

ラーリナ夫人:矢島まい

タチヤーナ:吉岡美佳

オリガ:小出領子

乳母:坂井直子

グレーミ ン公爵:高岸直樹

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団


指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団