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初台の新国立劇場オペラパレスでオペラ《ローエングリン》を見た。

今回のチケットは、早々にソールドアウトしたプレミアムチケット。
正直、チケットを入手するのが困難な公演だった。
ローエングリン役のクラウス・フロリアン・フォークトは、大変な有名歌手らしく、オペラファンやワグネリアンの知人達数人から薦められた。
オペラもワーグナーも大好きだけど、あまりその分野に詳しい訳では無いので、こういった情報は有難いものだ。

新制作と言う事で、演出が気になっていた。

映像を使うなんて邪道だと思っていたけど、実際には映像は、ほとんど動かず、むしろ照明の役割をしている方が比重が多く、たまに白鳥が抽象的に写されたりする程度で、その点では好感が持てた。
それもプロジェクターとかで写すのではなく、A1サイズぐらいの液晶画面が格子状に積み上げられた映像なので、それもなんだか面白いと思った。もちろん、その分、映像のための舞台装置にお金がかかっていそうだけれど。

なので、ほとんど舞台セットと言うものが無い。バランシン振付のバレエ公演が始まるのか?と思うほど、ほとんど何も無い。
白鳥の騎士は天から白鳥の箪笥みたいなものに入って降りて来た。
ローザンヌのボーリュ劇場のように、舞台の奥が高く観客側に行くにつれ低く斜めに傾斜を付けているので、観客から見易く、それだけで平べったい舞台と違った味わいが出ていた。

衣裳は比較的に、ちゃんとしていたけど、昔ながらのオーソドックスな衣裳では無く、花嫁のベールがわっかが繋がったもので表現していたり、ドイツで流行っている舞台衣装だった。

舞台セットや衣裳に付いては、斬新と言えるほどのものではなく、ドイツで流行っている現代的な手法だ。保守的な日本人の感性には合わないと感じる人が多い気もするが、個人的には、それほど嫌では無かった。
誉めるほどの演出でも無かったが、悪くは無かった。

そして注目のローエングリン役のクラウス・フロリアン・フォークトだが、正直なところ期待外れ。
声は安定していて、たしかにローエングリン役にぴったりの理想的な美声。声量もかなりある。技術的にも素晴らしい。見た目も正統派。
確かに世界の名だたる一流歌手だ。演技もかなり良い。
ただ一点だけ言わせてもらえば、声をややセーブしていて、素人耳に聴いても、もっと出せる声を持っているのに、わざと出していないのが分かってしまう。
ここが好感が持てなかった。
それでも普通の歌い手よりは声量がかなりあるんだけど、もっと全開で歌って欲しい箇所もあった。

その点では、エルザ役のリカルダ・メルベートの方が、大いに好感の持てる歌手であった。
最初から、大丈夫かな?と思うくらいの声量を出していた。結婚初夜のローエングリンに名前を聞いてしまうシーンのヒステリックとも言える爆声には、「おお!」と思った。
メルベートの持つ技量を駆使して極限の声で勝負をしているのが、よく伝わる。
そして、その声の素晴らしい事。美しいこと。声量もある。ワーグナーの長ったらしいアリアやデュオも、非の打ち所の無い出来だった。
これこそ本当の一流歌手だと思った。

ハインリッヒ王のギュンター・グロイスベックも、伸びやかな深みのある声で声量もあり、良い歌手だと思った。

ペーター・シュナイター指揮による東京フィルの演奏も、ずば抜けて素晴らしく、細かな点で気になるところが少しだけあった(金管)けど、ワーグナーの大曲を、あそこまで表現してくれるなんて、さすがは東京フィルだな~と思った。
東京フィルの演奏は、本当に信頼出来る楽団だ。。
ペーター・シュナイターの指揮は、強いくせも無く、ワーグナーの指揮では天下一品では無いだろうか。

ワグネリアン達は大満足だったみたいで、終演後はカーテンコールでブラボーと拍手の嵐。
きっと、あの雰囲気だとスタンディング・オーベーションが起こっていたんだろうけど、オイラも一緒に行った友達も、14時開演で終演が19時、5時間もオペラハウスに閉じ込められていたものだからエコノミー症候群になるし、外の空気を吸いたくて、カーテンコールは少しだけ見て、早々に劇場を後にしてしまった。

でも、本当に良質のオペラを見る事が出来たと思う♪

新国立劇場オペラパレス
オペラ《ローエングリン》
作曲・台本:リヒャルト・ワーグナー

指揮 : ペーター・シュナイダー
演出 : マティアス・フォン・シュテークマン
美術/光メディア彫塑/衣裳 : ロザリエ
照明 : グイド・ペツォルト

ハインリッヒ王 : ギュンター・グロイスベック
ローエングリン : クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ・フォン・ブラバント : リカルダ・メルベート
フリードリヒ・フォン・テルラムント : ゲルト・グロホフスキー
オルトルート : スサネ・レースマーク
王の伝令 : 萩原潤
4人のブラバントの貴族 : 大槻孝志 羽山晃生 小林由樹 長谷川顯
4人の小姓 : 前川依子 友利あつ子 丸山真木子 松浦麗

合唱 : 新国立劇場合唱団
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団