

東京文化会館の2日のマチネに行った。
シュッツットガルト・バレエ来日公演の《じゃじゃ馬馴らし》
正直、前世紀の作品で、喜劇の物語バレエだから、技術的な事は期待せずに、演技や雰囲気を楽しもうと思って行った。フリーデマン・フォーゲルみたいなスーパースターは、じゃじゃ馬には出ないみたいだし。
しかし、その技術の高さに驚いてしまった。
超人的技巧を、観客に難しさが分からないように、華麗に決めていた。
アリシア・アマトリアンの暴虐無人な演技と踊りには脱帽。
のっけから異才を放っていて、彼女の登場とともに、舞台の雰囲気がガラっと変わる。
そう、アマトリアンがじゃじゃ馬の女房役。
動きがシャープでありながら、リフトなんかはシャープな動きのまま、滑らかに運び、さすがだと思った。
演技では雑なヒステリー女を演じているのに、技術の一つ一つがとても正確で丁寧。複雑なアンシェヌマンやポワントの運びが多かったけど、綺麗にシャープに決めていた。
これは技術と役作りが大変な役だけれど、完璧に体現できていて素晴らしかった。
そして、旦那の紳士ペトルーチオ役のアレクサンダー・ジョーンズ、マネージュを描いてのグラン・ジュテの跳躍の美しい事。それに、パ・ド・ドゥでのリフトのサポートも、じゃじゃ馬女房の無理な動きに対応して、すごく難しそうなのに、ふんわりと華麗にリフトをする所も、さすがだと思った。
妹のビアンカと、ルーセンショーとのアダージオも、素晴らしく優雅で美しい。ゆたっりとした動きに気品があり、とても綺麗。
そして、どこか若々しい純朴な雰囲気も伝わるからすごい。もともとアダージオはバレエの中でも難しいシーンだけれど、本当に優雅だった。
それにコール・ド・バレエも良かった。
音楽は、大編成のオーケストラだけど、バロック音楽を彷彿とさせるメロディーで、喜劇なので滑稽な音を出したりして、面白かった。
ジェームズ・ダグル指揮による東京シティ・フィルの演奏も良くて、正直、東京シティ・フィルって、こんなに上手かったっけな~?とさえ思ってしまった。木管楽器のトリルやターンなど装飾音まで完璧。金管もなんて調子が良いのだろう。
極上の笑いを、なんて事がチラシに書いてあるけど、そんなに大爆笑するような事は無いけど、楽しげな雰囲気も伝わって来て、良い作品だったな~。
振付家のジョン・クランコは歌舞伎を見た事があるのかな?
白鳥の湖での荒れ狂う湖の表現で、青い布を舞台一面に広げてバタバタさせたり、ロットバルトが大見得を切ったりするし。
今回のじゃじゃ馬馴らしでも、足音をわざとダッダッダッダってだんだんと大きくならすところなんか、歌舞伎みたいだった。
シュツットガルト・バレエ団2012年
《じゃじゃ馬馴らし》
ウィリアム・シェイクスピアによる2幕バレエ
振付:ジョン・クランコ
音楽:クルト=ハインツ・シュトルツ
(ドメニコ・スカルラッティ作曲による)
装置/衣裳:エリザベス・ダルトン
バプティスタ(裕福な紳士) : ローランド・ダレシオ
キャタリーナ(バプティスタの長女、じゃじゃ馬) : アリシア・アマトリアン
ビアンンカ(バプティスタの次女) : ヒョ=ジュン・カン
グレミオ(ビアンカの求婚者) : プレント・パロリン
ルーセンショー(ビアンカの求婚者、のちに結婚) : ウィリアム・ムーア
ホーテンショー(ビアンカの求婚者) : ダミアーノ・ペッテネッラ
ペトルーチオ(紳士) : アレクサンダー・ジョーンズ
ふたりの娼婦 : ナタリー・グス、デイジー・ロング
司祭/宿屋の亭主 : マッテオ・クロッカード=ヴィラ
召使たち : オズカン・アイク、エドアルド・ボリアーニ、ダニエル・カマーゴ、ルドヴィコ・パーチェ
パ・ド・シス : ミリアム・カセロヴァ、エリザベス・ワイゼンバーグ、エレナ・ブシュェヴァ、ロマン・ノヴィツキー、ダニエル・カマーゴ、ローランド・ハヴリカ
指揮 : ジェームズ・ダグル
演奏 : 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団