
東京は初台にある新国立劇場のオペラ《ラ・ボエーム》を見に行った。
今回は、東京交響楽団がピットに入った。
今までの新国の公演では、東京交響楽団の演奏を気に入る事が無かったので、期待しないで行ったが、非常に綺麗な演奏で、かなり良かった。
指揮者のコンスタンティン・トリンクスが良かったんだろうな~。
東京交響楽団が本領を発揮した演奏で、秀逸な名演だった。
歌手陣も良かった。
ミミ役のヴェロニカ・カンジェミ、声量は良かったし、歌声もすごく良かった。ただ、なんとなく個性が無くて、主役を演じるには、どこか物足りなく感じる歌手だった。もう一歩、何か欲しい。
美人な歌手だったから良かったけど。
ロドルフォ役のジミン・パク、まだ若い歌手で、これからの人だけれど良い声していた。甘く深みのある声で、声量もあって、良かったな~。
韓国は芸術に関しての教育機関が国を挙げて充実しているためか、去年はチャイコフスキー国際コンクールの男声と女声の両方で優勝するなど、世界的なオペラ歌手を輩出するようになった。確かにすごく良いオペラ歌手が多いんだけど、なぜか肥満体の人が多い。
韓国ではデブの方が声が良いと国を挙げて間違った教育をしているのだろうか?
実は肥満体と声の良し悪しは、まったく関係しない。
むしろ舞台芸術なので、主役のイケメンをやるのだから、デブは問題あり。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場では最近はデブの歌手は使わなくなったんだとか。当然の成り行きである。
韓国出身の歌手を招聘する事に不満は無いけど、日本でもデブの歌手は使わないでもらいたいものだ。
マルチェッロ役のアリス・アルギリス、こちらは少々、声量不足。
ムゼッタ役のアレクサンドラ・ルブチャンスキー、すごく良い声をしていた。声量も抜群だし、技巧も卓越して、演技もかなり良かった。
日本人歌手も健闘して、特にベテランの妻屋秀和は、いつ聞いても安定した良い声だったな。
…、と、少し批判も書いてしまったけど、全体的には良い歌手を招聘して頂いたと思う。
演出もオーソドックスな感じで、正鵠を射た演出だった。
まあ奇抜な演出は、やりにくいオペラだから、ああなるんだろうけど、正直、このセットなら、どっかの歌劇場から借りてきても良いよな~とは思ってしまう。
すごく良い演出だったけど。
これと言って印象に残ったものは何も無い演出だった。
演奏、演出、歌唱力、どれを取っても良質の好演が見れたのに、なんでわざわざ粗を見つけて批判を書いてしまうかな~?と、自分でも不思議に思ってしまう。もともとラ・ボエームの貧乏くさいメロドラマの脚本が、あまり好きでは無い事に起因しているかもしれない。
パリのカルチェ・ラタンの苦学生が主人公で、貧乏のせいで彼女が病気で死んでしまうなんて、世話物歌舞伎みたいなオペラ。内容も音楽も昼のメロドラマみたいな展開で、まったく感情移入出来ない。
でも、本当に良い舞台が見れたと思う。
新国立劇場オペラ《ラ・ボエーム》
作曲 : ジャコモ・プッチーニ
台本 : ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イリッカ
原作 : アンリ・ミュルジュ
指揮 : コンスタンティン・トリンクス
演出 : 粟國淳
美術 : パスクアーレ・グロッシ
衣装 : アレッサンドロ・チャンマルーギ
合唱指揮 : 三澤洋史
ミミ : ヴェロニカ・カンジェミ
ロドルフォ : ジミン・パク
マルチェッロ : アリス・アルギリス
ムゼッタ : アレクサンドラ・ルブチャンスキー
ショナール : 萩原潤
コッリーネ : 妻屋秀和
ベノア : 鹿野由之
アルチンドロ : 晴雅彦
バルビニョール : 糸賀修平
合唱 : 新国立劇場合唱団
児童合唱 : TOKYO FM少年合唱団
管弦楽 : 東京交響楽団