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東京バレエ団でベジャール振付《ザ・カブキ》を見た!

日本の伝統芸能にして世界遺産の歌舞伎の人気演目《仮名手本忠臣蔵》から着想を得て、日本文化に造詣の深かったフランスのバレエ振付家の巨匠モーリス・ベジャールが東京バレエ団のために振付た作品だ。

モーリス・ベジャール、20世紀を代表する振付家で、その功績は大きく、マリウス・プティパやニジンスキーと匹敵する偉大な振付家。

バレエの創世記は男性ダンサーが主役だったが、現代でも演じられる19世紀のロマンティック・バレエないしクラシック・バレエは、女性ダンサーに重きを置いていた作品が多かった。

しかし20世紀の作品は、また男性ダンサーが重要な役割を果たすようになる。
男性の方が身体的能力が高いので(スポーツの世界で立証済み)、バレエの世界では男性ダンサーの方が驚異の技を成し遂げるからである。
(もちろん女性ダンサーにしか出せない可憐さ優美さ艶やかさは現代バレエでも重要だが)

男性ダンサーに焦点を当てた振付家として、もっとも有名な20世紀の振付家の代表格がフランスのモーリス・ベジャールとロシアのグリゴローヴィチであろう。

話しを戻して。

《ザ・カブキ》は仮名手本忠臣蔵を基にしているので、由良之助を始めとする四十七士が主人公のバレエ、つまり男性ダンサー中心のバレエなのである。

黛敏郎が音楽を担当している。音楽が面白いし、音楽が無いところでは、義太夫や拍子木を使ったりしていた。

歌舞伎の見得を切るポーズを取り入れていたり、日本舞踊の要素を取り入れていたりした。

バレエの素晴らしいところは、世界中で踊れるだけの普遍性を持っている事だが、その大きな理由は世界中の舞踊の要素を取り入れられるだけの柔軟性を持っている事だと思う。今回のバレエは日本舞踊や見得の要素を取り入れていたけど、すでに19世紀のバレエにはフラメンコやコサックダンスやベリーダンスやチャールダッシュの要素を取り入れたいたのだからスゴイ。

現代の日本のゲーセンを舞台に始まるけど、四半世紀も前に完成した作品なので、衣装も舞台セットも古めかしい(笑)
四半世紀前の日本にしないで、本当に現代にした方が良いんじゃないかな。
毎回、上演する度に、衣装や舞台セットだけは、その年の流行の物にする方が作品の意図に合っているのでは無いだろうか。
一つだけ、舞台セットのゲーセンのモニターがブラウン管から液晶には変わってたかな~??他にもちょこちょこ変えてるんだろうけど、なんか中途半端。

現代から江戸時代にタイプスリップし、現代の日本と錯綜しながら、物語が続く。
この世界観って、なんかすごいと思った。

歌舞伎に登場する人物が、けっこう出てくる。顔世御前と、甚平や おかる だ。
甚平と おかる は、現代の甚平と おかる と、江戸時代の甚平と おかる が出てくるのも面白いな~。
斬り付けや切腹のシーン、あだ討ちや、討ち入りのシーンまである。

主役の由良之助を演じる高岸直樹は、本作品を日本で踊るのが最後となる。
21歳の時に抜擢されてから24年間も踊り続けている。ベジャールから直接、指導を受けているダンサーだ。
来年の5月にパリのオペラ座の舞台を最後に、高岸の由良之助は見る事が出来なくなるのだ。

演技は凛々しく若々しく、また踊りは、若干の粗があるものの相対的に完成度が高く、ベジャールの世界観を体現出来ているのでは無いだろうか。
本当にあと一歩なんだけど、日本最後の舞台なので、ここで指摘を入れても、仕方ないので、止めて置こうっと。
そもそもベジャール先生の振付って、尋常じゃない無理な体勢を取らせるから、出来なくて当たり前のような気がする。高岸が若い頃のパリのパレ・ド・コングレで公演中にベジャールから指導を受けた時、振りを直された時に肩が三ヶ所も外れてしまい、寝返りもうてないほどに肩が腫上がりながらも、パリ公演を続けたエピソードなんか聞いた時は、プロの世界の壮絶さを垣間見た気がした。

ソロパートが多くて、特に1幕目の最後のヴァリエーションは、本当に目を見張る豪快な美しさで、素晴らしかった。踊り終わった時の高岸の表情からも、本人も満足の行く演技が出来たようだった。

2幕目のソロパートや、コール・ドとの掛け合いも、すごく良かった。

そして、顔世御前役の上野水香、もうこの人の演技には言う事なんか無いよ。あまりにもスゴ過ぎて。頭の上まで真っ直ぐに上がる足、絶妙のバランス、姿勢、何をとっても完璧過ぎる。こんなに良いダンサーが日本のバレエ団に留まってくれているなんて、日本バレエ界の宝だね!!
ソロパートが多くて見所満載。おっとりとした日本女性の優美さを上品に演じていた。

そして、おかる役の小出領子と、甚平役の宮本祐宜、この二人のパートはほとんどがパ・ド・ドゥを踊る。
やはりベジャールの振付は難しく、特にリフトが、かなり印象に残る振付。
宮本のサポートも的確かつ自然で、すごく滑らかにリフトしていたし、小出もさすがはプリンシパル、伸びやかに踊り、また特にリフトが本当にすごく良かった。
実は、おかる役の方が顔世御前よりも踊るシーンが多いような気がする。

最後の四十七士のコール・ドもすごく良くて、さすが東京バレエ団だな~と思った。

楽しい舞台が見れたな♪

12/17
東京バレエ団
ベジャール振付《ザ・カブキ》

由良之助: 高岸直樹
直義: 柄本弾
塩冶判官: 長瀬直義
顔世御前: 上野水香
力弥: 井上良太
高師直: 木村和夫
判内: 高橋竜太
勘平: 宮本裕宜
おかる: 小出領子
現代の甚平: 梅澤紘貴
現代のおかる: 高村順子
石堂: 谷口真幸
薬師寺: 安田俊介
定九郎: 松下裕次
遊女: 吉川留衣
与市兵衛: 永田雄大
おかや: 田中結子
お才: 西村真奈美
ヴァリエーション1: 松下裕次
ヴァリエーション2: 長瀬直義

音楽は録音のもの