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東京バレエ団で『白鳥の湖』を観た!

ミラノ・スカラ座のスターダンサー、ロベルト・ボッレが客演すると思い、張り切ってチケットを取ったのに、わずか一週間ほど前に原発事故の影響で降板したとの知らせが。

登板したのは、オランダ国立バレエ団のマシュー・ゴールディング。

今年4月に初来日したけど、よう知らんしボッレ出せや!ごらー!!ぐらいに思っていたけど、すごいダンサーだったから良かった良かった♪♪

いや~!まず日本が世界に誇る上野水香は素晴らしいダンサーだ♪
映画で話題になったけど、白鳥湖は、オデット(白鳥)とオディール(黒鳥)の一人二役。
繊細でしなやかなオデットと、妖艶さと媚態のオディールを、うまく演じていた。
つま先立ちのアチチュードの静止や、グラン・フェッテ・アン・トゥール・ナンなどの大技も素晴らしく、グランド・スコンドばりに足を上げながら前進したり、もう何一つ取っても人間技じゃない。
観る者をまったく不安にさせない安定感と自信。
超絶技巧を軽々とこなして、まだまだ難しい事が出来るのよ!と言っているようにも感じた。
ずば抜けたダンサーだ。

そして、客演のマシュー・ゴールディング。
ゴールスキーの改訂版を踊るのは今回が初めてと言う事だったが、とても優雅に踊っていた。
クラシックバレエの男役はこれと言った変化の無い役が多い中、この作品は純情で腕白な二十歳の王子様が、魔法によって白鳥に変えられた姫の真の姿を見て、初恋をする話し。つまり恋を知って少年から大人になる変化に富んだ役柄。
その役柄をこなしていたかと言うと、残念ながら答えはNoだが、そこは芸術監督の落ち度に他ならない。

とは言え、まったく期待していなかったが、なかなか!ここまで踊ってしまうとは!!
グランド・ピルエットの時なんか、かかとを付けずに6回転もした時はビックリして、ゎ゛あ!と感嘆の声を上げてしまった。
ソロパートも完璧だし、跳躍力や大技もずば抜けたレベルで、パ・ド・ドゥのサポートも良いし、すごいダンサーがいたもんだな~!!!

道化役の松下裕次も、お茶目な役を躍動感いっぱいで踊っていたし、ソリスト達も普段は主役を踊ってしまうレベルの人たちもいて、東京バレエ団は相変わらずすごく良いバレエ団だね~!!
白鳥湖は長いので、一幕目は力を抜くバレエ団が多い中、一幕目から注目のソリストを投入する東京バレエ団は観客を退屈させなくて、さすがだと思う。

白鳥湖は、メッセレル版以降はハッピーエンドにしてしまう事が多く、今回のゴールスキー版も、最後は悪魔ロットバルトを倒してハッピーエンド。

オイラはハッピーエンドには、やや不満がある。

白鳥湖はバレエ・ブラン(白のバレエ)の一つで、
白鳥は、他のバレエ・ブランである『ジゼル』や『ラ・シルフィード』と同じく、この世の者でないものを暗示している。
事実、白鳥は世界各国で死者の化身とされている。
死者との恋が成就してしまっては、おかしい。

また、オデットは王子から永遠の愛を誓えば人間に戻れたはずなのに、王子はオディールをオデットと間違えて永遠の愛を誓ってしまい。魔法が解けなくなる事。

ワーグナーのオペラ、ローエングリンにも白鳥の騎士が登場する。
姫が白鳥の騎士に猜疑心を抱かずに信じていたら結ばれたのに、姫が白鳥の騎士に猜疑心を抱いてしまい、白鳥の騎士は去ってしまう。

ギリシャ神話のオルフェウスとエウリディーチェは、亡き妻エウリディーチェをオルフェウスが黄泉の国に向かえに行った時に、振り返ってはならないと言われたにも関わらず、妻が着いてきているか不安になりオルフェウスが振り返ったがために、エウリディーチェは永遠に蘇る事がなくなってしまった。

日本の神話や童話にも、イザナギとイザナミ、夕鶴(鶴の恩返し)、等、酷似した作品が多いが、これらは全て冥界下降譚と呼ばれる。

生者が死者を向かえに行くが、禁止事項を破ってしまい、死者を蘇らす事が出来ないのだ。

以上の、点から、白鳥の湖は、悲劇で終わる方が、内容的にしっくり来るのだ。

最近は、そこまで考えている芸術監督が少ないからか、初演時もプティパによる蘇演時も悲劇だった作品が、お子様ランチに改定されて、テキトーにハッピーエンドにしてしまっているのが現状だ。悲劇版も、同じくらい定着はしているものの、
少々、残念だ。

東京シティ・フィルの演奏はチューバの音に難があったし、全体的にまとまりが今一つで、すごく上手い楽団なのに指揮者の力量不足なのかと思った。
ややゆったり目に演奏したり木管楽器やヴァイオリンのソロパートは素晴らしく、音の強弱も良いし、ところどころ良い部分があったので、ちょっと残念だ。

欧米の中堅楽団でもヒドい演奏する事もあるから、それに比べたら、シティフィルの方がずっと良かったし、きっと難しい曲なんだろね~。


『白鳥の湖』

音楽/ピョートル・チャイコフスキー

原振付/マリウス・プティパ、レフ・イワノフ
振付/アレクサンドル・ゴールスキー/イーゴリ・スミルノフ

オデット/オディール:上野水香
ジークフリート王子:マシュー・ゴールディング
王妃:松浦真理絵
悪魔ロットバルト:柄本弾
道化:松下裕次

【第1幕】
家庭教師: 佐藤瑶
パ・ド・トロワ:高村順子-佐伯知香-長瀬直義
ワルツ(ソリスト):乾友子、奈良春夏、吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子

【第2幕/第4幕】
四羽の白鳥:佐伯知香、森志織、岸本夏未、阪井麻美
三羽の白鳥:高木綾、奈良春夏、田中結子

【第3幕】
司会者:佐藤瑶
チャルダッシュ
(第1ソリスト):乾友子-長瀬直義
(第2ソリスト):森志織、阪井麻美、氷室友、小笠原亮
ナポリ(ソリスト): 高村順子-松下裕次
マズルカ(ソリスト): 奈良春夏、渡辺理恵、宮本祐宜、梅澤紘貴
花嫁候補たち:高村順子、西村真由美、村上美香、吉川留衣、岸本夏未、小川ふみ
スペイン:井脇幸江、川島麻実子-木村和夫、後藤晴雄

指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団