“傍聞き” | 江戸むらさき 野村オフィシャルブログ『Men's クラブ』powered by アメブロ

“傍聞き”

我ながら、かなり早いスパンで本を完読し倒してるな~。


このペースだと、去年より多く本読めそうだわい。


まっ、今回の本は薄いのでサクッと読めました。



長岡弘樹の“傍聞き”です。

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傍聞き(かたえぎき)とは、傍らにいて人の話を聞くともなしに聞くこと、です。

本書では、そうやって漏れ聞きした言葉は直接相手に言われるより信用しやすい(漏れ聞き効果)があるとなってます。


んでこの本は表題の「傍聞き」、そして「迷走」「899」「迷い箱」の4つの短編からなってます。


短編読むなんて凄い久し振りだから、ワクワクしながら読み始めました。


「傍聞き」は、主婦で刑事の羽角敬子が主人公で、娘の不可解な行動と事件の間で揺れ動く話。

「迷走」は救急隊員・蓮川潤也が搬送した男は、偶然にも自分の婚約者を車椅子生活にさせた事件の関係者だった…その時、蓮川は…。

「899」は消防士・諸上将吾の好きになったシングルマザーの女性宅が火事になり、その女性の赤ちゃんを助け出す際に痛恨のミスを犯してしまう。

「迷い箱」は更生保護施設を営む中年女性・設楽結子と元・受刑者の揺れる切ない気持ちを描いた作品。


刑事、救急隊員、消防士、更生保護施設を営む女性とみんな誰かの為に、仕事をしている人達が主人公。


これねぇ、どれも面白かったわ!


特に表題にもある「傍聞き」は、かなり秀逸。


一切無駄が無いし、かと言っていかにもオチへの振りですよ、って感じじゃなくて自然なんだよね。

「傍聞き」というモノを、最大限に活かしつつ、これにもこれにも意味があったんだ、と感心させられる。


・泥棒にあった隣の家のおばぁちゃん。

・機嫌が悪くなると一切喋らなくなり、わざわざ手紙で文句を言ってくる娘。

・自分が逮捕し、出所してきた元犯罪者。


これが、まぁ~見事に一つのお話になるからね。

「傍聞き」をキーにして。


簡潔でいて、トリックも奥深く、なんか最後にニコッとしちゃう、素敵な本…


と絶賛してんだけど、日本推理作家協会賞 短編部門を受賞してるし、「おすすめ文庫王国」国内ミステリー部門1位を獲ってるお墨付きの作品でした。

そりゃ、面白いわな。


ミステリーって言うと、誰かが死んで犯人探しをする刑事や探偵…ってイメージだけど、この本のミステリーはちょっと違った切り口でした。



よかったら、読書の参考にしてください。