どアウェイ。
バレてない…。
バレる訳がない…。
日曜日の昼下がり。
表参道の喧騒から道を一本入った、静かな通りのオシャレなカフェ。
カップル達が愛を語らい、女子達がガールズトークに華を咲かせている中、32歳の男が一人、本を読む。
その本が…
‘孫子の兵法・下巻'だなんて、バレる訳がない!
周りはきっと素敵なポエム集だとか、オシャレな白黒のフォトアルバムだと思ってるに違いない!
これが中国の伝説の兵法家・孫武の一生を描いた歴史小説だと店員や他の客にバレた日にゃ…
店‘オシャレじゃないヤツがいるぞ~!!!'
客‘キャ~ッ!!!オシャレじゃないヤツなんか、店からつまみ出して~!!!'
客‘俺たちのオシャレは、俺たちの力で守るんだ!やっちまえ~!'
客‘この青山で買ったサテンのおっぱいベルトで柱に縛りつけてやる!'
客‘代官山でゲットした、スパンコールのパンプスで踏みつけてやる!'
店‘イタリア製のカプチーノ作る機械の角に頭ぶつけろ~!'
魔女狩りである…。
野‘ちょちょちょっと待って!俺はオシャレだよ!'
客‘ウソよ!この人が洗濯物を部屋干ししてる所、私はこの目で見たもん!'
客‘イヤァ~!!!浴室乾燥もないなんて、オシャレな訳ないじゃん!'
野‘そんなんでオシャレは計れないじゃないか!'
客‘私、この人の寝室に三国志のフィギュアが並んでるって聞いた事ある!'
野‘三国志はオシャレじゃないかもしれないけど、ダサくもないって!'
店‘そんなオッサンみたいな趣味で、オシャレ面してんじゃね~っ!!!'
野‘ごごご誤解だって!'
客‘オシャレじゃない証拠に目ヤニ付いてんじゃねーかよ!'
野‘オシャレ関係ねーじゃん!'
客‘本当のオシャレは目ヤニなんか付けねーんだよ!付けるのはアクセサリーだけなんだよ!!!'
一同‘かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!'
地獄だわな…。
よし。端の席で静かに読む事にしよう…。
ウム…。
ウムウム…。
ウムイラウム…。
ウムイライラ…。
イライライラ…。
ざけんじゃね~ぞっ!!!
なんで俺がコソコソ読まなきゃなんねーんだよっ!!!
俺がどこで何を読もうと勝手じゃねーかっ!!!
スカした面して、クランベリージュースすすってんじゃねーぞ、テメェら!
テメェらなんぞ、孫元帥の兵法で、全滅させんぞ!
五、六合戦って、こりゃとてもじゃないけど勝てないと敗走するふりして、追ってきたところを左右の山に伏兵忍ばせといて、雨の如く矢を食らわすぞ!
ムカつくから、店内に響き渡るくらいのデカい声で朗読したろかっ?!
‘武力がぁ~敵を服従できる力だということだけはぁ~だれも否認できないだろぉ~!だぁ~がぁ~!武力それ自体はかならずしも万能ではないという新たな事実をぉ~孫武は改めて思い知ったのであるぅ~~~!!!'
みてぇ~な!
んで、その後…
‘エビバディセイッ!'
つって、みんなに言わせたろかっ?!
まっ、単純に頭のおかしな迷惑なヤツと思われること間違いなしだから、やりませんがぁ~。
ただ、アウェイ感は拭いきれないなぁ…。
よしっ!
本の続きは…
中華料理屋で読も!
バレる訳がない…。
日曜日の昼下がり。
表参道の喧騒から道を一本入った、静かな通りのオシャレなカフェ。
カップル達が愛を語らい、女子達がガールズトークに華を咲かせている中、32歳の男が一人、本を読む。
その本が…
‘孫子の兵法・下巻'だなんて、バレる訳がない!
周りはきっと素敵なポエム集だとか、オシャレな白黒のフォトアルバムだと思ってるに違いない!
これが中国の伝説の兵法家・孫武の一生を描いた歴史小説だと店員や他の客にバレた日にゃ…
店‘オシャレじゃないヤツがいるぞ~!!!'
客‘キャ~ッ!!!オシャレじゃないヤツなんか、店からつまみ出して~!!!'
客‘俺たちのオシャレは、俺たちの力で守るんだ!やっちまえ~!'
客‘この青山で買ったサテンのおっぱいベルトで柱に縛りつけてやる!'
客‘代官山でゲットした、スパンコールのパンプスで踏みつけてやる!'
店‘イタリア製のカプチーノ作る機械の角に頭ぶつけろ~!'
魔女狩りである…。
野‘ちょちょちょっと待って!俺はオシャレだよ!'
客‘ウソよ!この人が洗濯物を部屋干ししてる所、私はこの目で見たもん!'
客‘イヤァ~!!!浴室乾燥もないなんて、オシャレな訳ないじゃん!'
野‘そんなんでオシャレは計れないじゃないか!'
客‘私、この人の寝室に三国志のフィギュアが並んでるって聞いた事ある!'
野‘三国志はオシャレじゃないかもしれないけど、ダサくもないって!'
店‘そんなオッサンみたいな趣味で、オシャレ面してんじゃね~っ!!!'
野‘ごごご誤解だって!'
客‘オシャレじゃない証拠に目ヤニ付いてんじゃねーかよ!'
野‘オシャレ関係ねーじゃん!'
客‘本当のオシャレは目ヤニなんか付けねーんだよ!付けるのはアクセサリーだけなんだよ!!!'
一同‘かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!かっえっれ!'
地獄だわな…。
よし。端の席で静かに読む事にしよう…。
ウム…。
ウムウム…。
ウムイラウム…。
ウムイライラ…。
イライライラ…。
ざけんじゃね~ぞっ!!!
なんで俺がコソコソ読まなきゃなんねーんだよっ!!!
俺がどこで何を読もうと勝手じゃねーかっ!!!
スカした面して、クランベリージュースすすってんじゃねーぞ、テメェら!
テメェらなんぞ、孫元帥の兵法で、全滅させんぞ!
五、六合戦って、こりゃとてもじゃないけど勝てないと敗走するふりして、追ってきたところを左右の山に伏兵忍ばせといて、雨の如く矢を食らわすぞ!
ムカつくから、店内に響き渡るくらいのデカい声で朗読したろかっ?!
‘武力がぁ~敵を服従できる力だということだけはぁ~だれも否認できないだろぉ~!だぁ~がぁ~!武力それ自体はかならずしも万能ではないという新たな事実をぉ~孫武は改めて思い知ったのであるぅ~~~!!!'
みてぇ~な!
んで、その後…
‘エビバディセイッ!'
つって、みんなに言わせたろかっ?!
まっ、単純に頭のおかしな迷惑なヤツと思われること間違いなしだから、やりませんがぁ~。
ただ、アウェイ感は拭いきれないなぁ…。
よしっ!
本の続きは…
中華料理屋で読も!