お互いに。 | 江戸むらさき 磯山オフィシャルブログ『跳べないボールはただのボール ~そして伝説へ~』powered by アメブロ

お互いに。

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先日、福井県に仕事に行ったのですが


いつものように、福井でも変わらず


コーラやらファンタやらをジャブジャブ飲んでたわけです。


すると


案の定、膀胱がパンパンになってきまして


よし!トイレ的な場所に行ってやろう!


バァ~!とぶっ放してやろう!


と、近くにあったデパート的商業的な場所の、トイレに行ったわけです。


オシッコをする方で


俺の44マグナムを出し(アメリカンジョーク的な表現)


バァ~!


と銃刀法違反よろしくかましてやったわけです。


いやいや、今回も充実したトイレタイムでしたね。


ありがたいね。


おっぱいがあったらなお良しだね。


なんて、安心していると


便器横の文字が目に飛び込んできまして


『お互いに清潔にしましょう。』











ピピピ!


ピピピ!


ピピピ!


麻子は、布団から手を伸ばすと


『う~ん。』


とうなりながら、6時15分を指した目覚まし時計を止めた。


もう朝かぁ…。


昨日の夜『ダイバスター』なんて観るんじゃなかった。


面白くてついつい観てしまうのだけど。


眠い目をこすりながら


さっきまで見ていた久留米のスナックでカラオケを歌うと言う謎の夢を思い出し


ボ~っとしながら、コーヒーを淹れた。


コーヒーを飲みながら、カレンダーにふと目をやると


『桃井君送別会』


と書いてある。


あ、そうだった。


今日は、1年後輩の桃井が会社を辞めるので、会社終わりで、送別会があるんだった。


桃井は、真面目でなかなか仕事も出来る。


週にピザを3回も食べると言う噂を聞いたことがある。


好き嫌いが多くて料理人殺しとか言われてるとか言われて無いとか。


この桃井とは、特に仲良かったわけでは無いが、やっぱり社内の誰かが辞めるのは寂しい。


と言うか、自分も早く送られる立場にならなくては。


結婚をして、寿退社しなければ。


相手全くいないけど。


ヤバい。


いろいろ思い出してきた。


泣いちゃいそう。


だって、女の子だもん。


朝からかなりネガティブモード。


ダメダメ。


テンション上げないと。


と、このところずっと朝の恒例になっている


安室奈美恵のDVDを観る為


テレビのスイッチを入れた。











『お疲れ様で~す。』


鼻にかかったような甘えた声が後ろから聞こえた。


『佑子~。』


ホッとした表情で、麻子は佑子に駆け寄った。


『先輩早いですね。』


『誰も来てないから、送別会の場所間違えてるかと思って、不安だったよ~。』


なんて、麻子と佑子の他愛もないやりとりをしていると


『お疲れ様~!』


と、ゾクゾクと会社の仲間たちが入ってきた。


ちょっと照れくさそうに、本日の主役の桃井も。


目立ちたがり屋の駒澤課長がいつものように仕切り


金子社長の挨拶で、この送別会が始まった。


送別会なんて言ってるが、簡単に言うと飲み会で


いつも定期的に行ってる社内飲み会で使う和民よりも、ちょっと高い居酒屋さんに変わった程度だ。


ちょっと高いだけあって、料理も美味しいのだが。


麻子が名物の出汁巻き玉子を口に入れると


なんとなく、さっきまで楽しい雰囲気から一変したことに気がつき、あたりを見回した。


その一変した原因は、今夜の主役桃井だった。


結構飲まされたのだろう。


その酒のせいもあり、泣いてしまっているのだ。


泣いてと言うよりも、号泣と言ったかんじで


『本当に、皆さんには…、僕なんか…、嬉しくて…』


と、何を言ってるか、なんとなくしかわからない。


『わかりますよ…。うん…。うん…。』


なぜかその横で、佑子がもらい泣きしていた。


『じゃあ、ここで桃井君にプレゼントを。』


と、加藤部長が言うと


桃井と同期入社の岡田が大きな花束を渡した。


『桃井君、次の職場でも頑張ってね。』


『あ…がと…。ありが…うご…いま…。』


ますます泣いていてニュアンスでしか伝わってこない。


泣きすぎ。


オカマかよ。


また駒澤課長が仕切り


桃井が別れの挨拶をし


加藤部長の三本締めで無事にこの会は終わった。


なんだかんだでなかなか良い会だった。


桃井には、是非とも次の会社でも頑張って欲しいものだ。


麻子は佑子と2人、店を出ようとすると


『松山さ~ん。』


と呼び止められた。


桃井だ。


『松山さんに、きちんと挨拶出来なかったので。』


と頭を深く下げた。


『挨拶だなんて、いいのよ。』


と麻子は恐縮した。


『それと、伊勢崎商事との取引の時は、本当にご迷惑かけました。』


『本当よ~。今時、0を1つ多く書いちゃうなんて。そんなミス許されないわよ。』


『すいません。』


とさっきよりさらに深々と頭を下げた。


『あれ?』


桃井をよく見ると、スーツが涙やよだれや一気をさせられたお酒で汚れていた。


『ちょっと!凄く汚れてるじゃない。次の会社はちゃんと綺麗にしなきゃダメよ。』


『はい!すいません。』


『わかればよろしい。』


『お互いに清潔にしましょう。』




お互いに?




お互い?




なんで同等なかんじ?


別に良いんだけど。


麻子は



なんだかわからないけど、桃井にほんの少し殺意を覚えた…。












みたいに、ここのトイレで





『お互いに』って言われたら、ちょっとイライラするね。