そのテクスト(テキスト)、もったいない! ~あなたの文章・原稿、プロの編集者が赤入れします~

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編集者・ライターのツキカワが、日々至るところで遭遇する「どうにも惜しいテクスト/テキスト(文章や原稿)」について、“お直し”コメントするブログ。
メールでの文章・原稿の添削&編集も、有料にて近日中に開始する予定です。

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この春、「DRESS(ドレス)」という名前の女性誌が創刊された。巻頭のファッションテーマは「ドレスを着て恋しよう!」(※うろ覚え)。
その誌面を飾るのは、春らしく華やかな数々のドレス、いや、ワンピース?
……おっと、いきなり「ドレス」と「ワンピース」、どちらの単語を使うか迷ってしまった。

考えてみると、「ワンピ」はともかく「ドレス」という語を日常会話で使うことって、今の日本でそうそうあるのだろうか? 少なくとも私にはあまりない。

「あのドレス、素敵」「あの店でドレスを買ったんだって」などと言う時のドレスは、単に一体型の衣服(=ワンピース)というだけでなく、ウェディングドレスやフォーマルドレスな
ど、非日常っぽい「ハレ」の日のイメージ。

ドレスが非日常ではなく日常だというのは、ステージに立つ職業の人(音楽家や舞踊家)か「夜の蝶」のような、ある意味特別な人たちに限られるのじゃないかしらん、と思うのだ。

その一方で「ワンピ」は、とても日常的なイメージ。チュニックワンピにカットソー素材のワンピなど、私ですらけっこうな数を持っているし、「そのワンピかわいいね」など、てらいなく言うことができる。




(これはドレスじゃなくて「ワンピ」。)

ドレスという語、英語ではそう大層な衣服を意味しないのに(日本でいうワンピと同じく、単に一体型の衣服ってとこだろう)、日本ではなぜか、ワンピースのなかでも「ドレッシーな」ものだけを指すようになった。
その経緯はよくわからない(詳しい人がいたら教えてほしい)。



(こっちは「ドレス」。H&Mで1万円以下の値段でも、着る人がヴァネッサ・パラディでもそうでなくても、ドレスはドレス。)

というわけで「ワンピ」と「ドレス」、それぞれの語を口にするときのニュアンスはかなり違うと思えるのだが、上述の女性誌が「ドレス」の語を選んだのは、たぶん意図的に、なのだろう。
ふつーに職場に着ていけそうな「ワンピ」を着ることは、日々の生活を変えるようなチャレンジにはならないから、「ドレス」の語にまつわる華やかなイメージ込みで、「ドレスをまとえるような、ハレのシーンをもっと増やそう!」
というメッセージなんだろうと推測する。

その心意気あるいはアジテーションはわかる。わかるのだけど、果たして私は「ドレス」を着(られ)るのか? いつ? どこで? 
タレントのYouじゃないから夏以外にノースリーブ着たりしないし(関係ないか)、そもそも華やかなお出かけやパーティ、めっきり減っちゃったんだよね~。ていうか全般的にチャレンジしようという気概が、衰えちゃってるんだよね~。

そんな私のようなダラケた読者は、具体的にどうしたらいいのか。ハレのシーンを増やすって、どうやるの?
例の雑誌には、そこまでの答は用意されていなかった。次号にその答が提示されるといいのだけれど。

でなければ、舞踏会もないのにドレスだけ持っているという、なんだかなあ…な灰かぶりになってしまうもの。