今回は本来2部作のものを1本にまとめて上演。女好きで臆病で大ぼら吹きの巨漢・フォルスタッフと「放蕩息子が更生して立派な王様になった」という伝説を持つハル王子(後のヘンリー五世)が活躍する姿は実に痛快!この2人のキャラクターはシェイクスピア作品の中でも特に人気なのだとか。今回、主役のフォルスタッフに扮するのは蜷川作品でお馴染みの吉田鋼太郎さん、そしてハル王子には松坂桃李さん。とにかくフォルスタッフが愉快で、巨漢の体で無理やり客席の中を通る演出があったり、縦横無尽に動き続けるので目が離せません。そして松坂さんも前半のハツラツとした王子から後半になるにつれ皇太子として成長していく変化も見どころです。真っ白な王子様の衣裳もとっても素敵でした!
劇中は突然、大きな馬が現れて驚いたり、美しい照明と舞台美術にうっとりしたり、役者同士の掛け合いに笑ったりと、4時間20分という長丁場だったのですが、全くその長さを感じさせませんでした。最後はスタンディングオベーションも起こり、松坂さんの手を無理やりとって手を振らせている吉田鋼太郎さんのおちゃめな姿も(笑)。蜷川作品は今回で2度目でしたが、やっぱりエンタテインメント性の高さはさすがの一言。蜷川シェイクスピア、ぜひまた鑑賞したいです。