スピード体、bloghiro-diveさんのエントリでニーチェの言葉を思い出した。
「人たるもの、飛ぶことよりも、まず立つことを覚えろ」。
ググってみると、意外な文脈でこの言葉はさんざん引用されている。いわく成功者になるための格言集といった場所に。
そういうものに、思えばよく収録されてきたかもしれないという記憶が蘇る。
全文はこうである。
「飛ぶことを学んで、それをいつか実現したいと思う者は、まず、立つこと、走ること、よじのぼること、踊ることを学ばなければならない。最初から飛ぶばかりでは、空高く飛ぶ力は獲得されない。」
だが、これはかなり意訳されていると思う。前向き過ぎる。
ニーチェは弱者としての人一般について言いたかったはずだ。
二本足で歩くことさえ大変なのだ。その足下を見ずに、「飛びたい」などとは傲岸であろうと言いたかったのだ。
いきなりフィジカルな話で恐縮ではあるが、腰痛などに悩むのはヒトだけである。
身体的に、ヒトは相対的に弱者であり、総体的に弱者である。
その姿勢がすでにして辛いのである。
むしろ弱さの自覚から、とニーチェは言いたかったのではないか。
スピード体hiroさんの文脈だからこそ、教えられたニーチェの智恵である。
弱ることに弱る必要はない。
うまくやろうとし過ぎてはいけない。
弱さから弱さを出でよ。
よわっちくて上等なのだ。
ヒトたるもの。